【2022年版】海外大学合格実績ランキング

海外大学合格実績ランキング 大学合格ランキング

中学校選びの情報として大学進学実績を参考にするケースも多いと思いますが、ここ数年の傾向として海外大学へ高校から直接進学する生徒も増えています。昨年、広尾学園がのべ200名を超える海外大学合格者を出して衝撃を与えたことなどもあり、東大合格以外の進学指標として、注目度も増しているのではと感じます。

今回、首都圏の中学受験対象校について、海外大学への合格実績をランキング形式でまとめました。実は構想してから数ヶ月が経ってしまいましたが、ようやくある程度まとまったので記事にしておきます。

エンタメ要素としてランキング形式にはしてありますが、優劣を付けることが目的ではなく、海外進学に対して前向きな学校を見つけるとか、学校が説明している内容に対して実際の動きはどうなのか、といった視点で見ていただくのが良いのかなと思っています。

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前提条件

当初は単純に海外大学合格者数というのを一括りにして人数を出そうとしていたのですが、ひと口に海外大学と言っても、誰もが知る超名門大学から語学学校レベルまで様々あり、それらを一緒くたに並べるのはいかがなものかという考えも拝見し、それもそうかと考え直しました。

とはいえ、じゃあ何を基準にするかと考えた場合、世界大学ランキングも3種類あったりするようで、その中のどれを使うか、またどの順位までで切るかによって合計人数も変わってきてしまったりするので、なかなか難しい問題だったりします。できるだけ客観的な数字にしようと模索しましたが、そもそも進学実績のページに海外大学○名とだけ書いて大学名を公表していない学校も多かったり、さらに真偽が怪しい数字の学校もあったりして(作成年度の資料によって数字が変わっているとか)、そもそも正確な値を出すのは無理だとなったので割り切って、私なりのひとつの切り方として数字を出すことにしました。(なので勝手ランキングとしています)

ランキング集計対象の大学

ランキング集計対象として掲げる大学(上位大学と記載します)は以下の通りとします。

集計対象の大学

リサーチ系:

リベラルアーツ系:

私も知らなかったので軽く解説しますが、ハーバードやMITなど一般的に有名な大学はリサーチ系や総合大学と呼ばれていて、学部に分かれ研究活動を行う、我々が一般的にイメージするような大学がこれに当たります。世界大学ランキングはこれら総合大学から構成されています。それに対し、入学後2年間に幅広い教養を学んだあとに専攻を決める形式の小規模な大学がアメリカにはあり、それがリベラルアーツカレッジと呼ばれているようです。海外大学、特にアメリカの大学を目指す場合にはここに大きな分岐点があるようで、THE世界大学ランキングに挙げられる大学だけが上位の進学先とは限らないので、リベラルアーツ系の上位大学も集計対象としました。

あとは、有名なアイビーリーグ8大学のうちTHE100位から外れている3大学と、8年前に設立されたばかりではあるものの世界中のエリートが目指し超難関と言われるミネルバ大学は入れるべきかなと思って入れています。(ミネルバ大学は個人的にとても興味があるので別の機会に書きたいと思います)

集計年度

毎年安定して合格者を出している学校は多くなく、単年度で集計するとゼロになったりデコボコが出てきてしまうので、2017年度からの6年間の合計人数でランキングを出しました。(6年間というのはたまたま調査できた年度という話で深い意味はありません)

抜け漏れはあり

具体的な大学名をカウントしたので、合格実績として海外大学名を記載していない学校や、過去データがなく調査できなかった年度についてはゼロカウントになり、今回の集計からは漏れています。表の中で、ゼロではなく空欄の部分は調査できなかったもので、その分合計値が実際より低く出ている可能性も多分にあるのでその点ご了承ください。

また、上位大学ではなく海外大学合格者数全体の数字も併記しますが(カッコ内の数字です)、学校の公式サイトにないものは進学情報誌さぴあの学校案内に記載があった数字を使用して集計しました。ただこちらは学校サイトの数字と異なっているケースも多く信頼性はそれほど高くないと思っているので、それも含めあくまで参考情報として見ていただければと思います。

ではランキングに入ります。

トップ10

1位〜10位の学校です。
左側が過去6年間を合計した上位校合格者の数、カッコ内は海外大学合格者の総数です。

#学校合計 (総数)202220212020201920182017
1広尾学園269 (657)84 (184)101 (222)33 (78)30 (74)16 (82)5 (17)
2渋谷教育学園渋谷123 (195)13 (30)24 (27)10 (15)27 (55)29 (41)20 (27)
3開成99 (123)12 (21)18 (23)33 (34)9 (13)8 (10)19 (22)
4学芸大附属国際中教80 (176)12 (26)20 (36)18 (43)16 (28)11 (33)3 (10)
5渋谷教育学園幕張73 (169)8 (36)17 (30)21 (27)5 (15)14 (35)8 (26)
6洗足学園33 (96)3 (10)3 (28)6 (13)10 (17)3 (12)8 (16)
7海城26 (36)17 (20)6 (13)1 (1)1 (1)1 (1)0 (0)
8聖光学院15 (46)4 (4)3 (3)5 (17)3 (3)  (12)  (7)
8都立小石川中教15 (32)2 (5)1 (5)4 (11)8 (11)0 (0)0 (0)
10東京学芸大附属14 (50)5 (7)0 (13)1 (13)3 (5)2 (6)3 (6)
学校名のリンクがある学校は、リンク先で詳細な合格校をまとめてあります

5位渋幕(73人)と6位洗足学園(33人)で倍近く差があるので、上位5校が先頭グループ、続く10位までが第2グループというイメージかなと思います。

以下、学校ごと簡単に考察してみます。

広尾学園

【上位校269名、合格者657名】
一見して分かる通りダントツです。2019年に渋渋を越えて以降、特にここ2年は圧倒的な数字といえると思います。大学のリストはリンク先を見てもらえればと思いますが、素人でも聞いたことのある学校名が並んでいて、単に合格者数が多いだけではという批判は的外れと言えるでしょう。進学実績全体を眺めていると2018年あたりで明確に路線を海外に振った感じがあり、学校のWebサイトではより上位校の合格者を増やしたい旨の記載もあって、本気度を感じます。

渋渋 / 渋幕

【渋渋:上位校123名、合格者195名】
【渋幕:上位校73名、合格者169名】
中学受験界で海外大学といえば渋谷教育学園というイメージもあり、順当といえば順当です。この2校の比較では、渋渋の生徒数の方が半分ほどにも関わらず上位校も総合格者数も上回っていて、渋渋の方が海外志向が強い傾向が見て取れるかと思います。

開成

【上位校99名、合格者123名】
柳沢前校長時代から海外志向が強まったとは聞いていましたが、今回集計して一番驚いたのが開成でした。上位校では渋幕を完全に上回り渋渋と肩を並べる感じだし、その上位校の中でもトップレベルの錚々たる大学名が並んでいます。学力トップ層を集めてその気にさせたらこうなるかという感じですが、この先、大体この辺りの人数で落ち着くのか、東大から海外大へのシフトが加速しさらに増やしていくのかというあたりは個人的に注目しています。

学芸大学附属国際中教

【上位校80名、合格者176名】
国公立で国際バカロレア資格(IB)を導入している数少ない学校で、国際教育のモデル校的な位置付けのようです。半数以上が帰国生や外国籍の生徒らしく、最初から海外に目が向いていると想像します。1学年が120名程度という少人数であり、率で考えれば広尾学園とトップ争いというポジションになります。

洗足学園

洗足学園【上位校33名、合格者96名】
女子校トップは洗足学園でした。今年東大合格者数で躍進して話題になりましたが、以前からコンスタントに海外大学の数字も残していて人数も多いです。ここ20年ほどで人気・実力とも急上昇した学校ですが、人気になるのもわかる気がします。

海城 / 聖光学院

海城【上位校26名、合格者36名】
聖光【上位校15名、合格者46名】
海城は2018〜20年まで1人ずつ、そして直近の2年で一気に人数を増やしました。聖光は2018年以前の学校名が入手できなかったので実際はもう少し多い気がしますが、以前から一定の合格者はいたようです。この2校は開成と同じく、合格者全体の人数の割に上位校が多いのが特徴で、学校が海外に目を向けはじめると優秀な子が行き出すというのが男子校のひとつのパターンなのかなと感じます。

都立小石川 / 学芸大附属

都立小石川【上位校15名、合格者32名】
学芸大附属【上位校14名、合格者50名】
都立一貫校最難関の小石川がここに顔を出しています。この学校は全員参加の海外研修があったりするので、海外に目を向ける機会があるということですかね。学芸大附属も東大ランキングの常連校で、海外大学というのが学力上位生のひとつのムーブメントかなというのはここからも感じます。

海外大学の場合は一人で何校も受験し合格ももらうというのが一般的のようで、実際に進学した数はこの数分の1と考えた方が良さそうです。ただ、ここまでに入ってくる学校は、年間で2ケタ以上の合格者、もしくは毎年合格者を出している学校なので、一人の受験生が予備校などを使ってたまたま稼いだ数字ではないというのはひとつのポイントだと思います。

学校情報を見ていても、これらの学校では海外大学に進学した卒業生による講演会を開いて後押しするなどがあり、程度の差はあれ、学校側で何らかバックアップする体制があると考えて良いのではと思います。

11〜40位

順位にさほど意味がなく細かく区切っても仕方ないので、40位まで一気に挙げていきます。40位までで海外上位校に1人以上輩出している学校が全てリストアップされるかたちになります。

#学校合計 (総数)202220212020201920182017
11豊島岡女子学園11 (27)3 (7)5 (9)3 (4)0 (2) (5) (0)
12市川10 (28)9 (11)0 (3)1 (2)0 (3)0 (1)0 (8)
12逗子開成10 (22)0 (7)5 (9)5 (6)0 (0)0 (0)0 (0)
14千代田区立九段中教8 (26)0 (0)4 (11)0 (6)0 (2)4 (7)0 (0)
15かえつ有明7 (48)4 (12)3 (10) (10) (11) (4) (1)
16開智日本橋6 (24)5 (17)1 (7) ー ー  ー  ー 
16フェリス女学院6 (23)0 (3)1 (3)5 (13) (2) (1) (1)
16女子学院6 (17)0 (0)4 (9)2 (6)0 (0) (2) (0)
19公文国際学園5 (56)0 (1)5 (12) (14) (2) (6) (21)
19横浜市立サイエンス中教5 (30)0 (1)0 (1)2 (11)2 (14)1 (3)
19鷗友学園5 (17)0 (2)1 (2)4 (9)0 (0) (1) (3)
19攻玉社5 (9)0 (0)0 (0)0 (0)5 (6) (0) (3)
23東洋英和女学院4 (39)0 (2)1 (6)2 (10)0 (7)0 (2)1 (12)
23神奈川大学附属4 (39)1 (4)2 (8)1 (8) (11) (4) (4)
23文化学園大学杉並4 (36)4 (17) (9) (6) (0) (4) (0)
23武蔵4 (11)2 (3)2 (3) (1)0 (2) (1) (1)
23横浜市立南4 (11)0 (0)2 (3)2 (8)
28大妻3 (15)3 (3) (5) (2) (5) (0) (0)
28成蹊3 (11)0 (5)2 (2)1 (4)
28桐朋3 (7)0 (0)0 (0)0 (0)3 (5)0 (2)0 (0)
28世田谷学園3 (6) (0) (0) (1)3 (5) (0) (0)
32湘南白百合学園2 (25)1 (7)0 (0)0 (4)1 (3) (3) (8)
32麻布2 (11)0 (2)0 (0)0 (6)1 (2)1 (1)0 (0)
32駒場東邦2 (5)0 (0)1 (2)0 (0)1 (3)0 (0)0 (0)
32開智 (一貫部)2 (3)0 (0)0 (1)2 (2)0 (0)0 (0) (0)
35山脇学園1 (14)0 (4)0 (3)1 (2) (2) (0) (3)
35暁星1 (12)0 (1)1 (1) (0) (1) (1) (8)
35浅野1 (10)1 (9)0 (0)0 (0)0 (0) (0) (1)
35中央大学附属横浜1 (3)0 (0)1 (1) (0) (1) (1) (0)
35都立三鷹中教1 (2)0 (0)0 (0)1 (1) (0) (0) (1)
35サレジオ学院1 (1)0 (0)0 (0)0 (0)1 (1) (0) (0)
学校名のリンクがある学校は、リンク先で合格校の詳細をまとめてあります

データがない学校も多く信頼性には欠けますが、それでも総人数から見てここより上位に入っている可能性がある学校は次の2校くらいかなと思います。

  • かえつ有明
  • 公文国際学園

それ以外は、年度内で合格者が2ケタのケースもほとんどないので、大体この辺りで落ち着くと思います。

学校として海外に目が向いている(バックアップ体制がある、海外という選択肢の働きかけがある)かどうかは、年度ごとの人数ブレの有無で判断かなと思います。このくらいの少人数だと、たまたま海外志向の人がいて数を稼いだ年があるだけという可能性も否定できないので、毎年コンスタントに合格者を出しているかどうかがひとつの指標になると思います。

ざっと見る感じ、豊島岡女子、市川、かえつ有明、開智日本橋、フェリス女学院、公文国際学園、横浜市立サイエンス中教、鷗友学園、東洋英和、神奈川大学附属、文化学園大学杉並、武蔵、大妻あたりは毎年合格者を出している感じですかね。

合格者は出ているが上位校ゼロの学校リスト

以下は、6年間で2ケタ以上の総合格者数は出しているものの、上位校がゼロカウントだった学校です。リストを見ていただければわかりますが、校名が非公開のためにランキング集計から外れている学校がほとんどです。(カッコのない部分の数字が空欄の年度が不明なデータです)

学校合計 (総数)202220212020201920182017
三田国際0 (88) (58) (12) (5) (5) (8) (0)
桐光学園0 (38)0 (3)0 (0) (26) (2) (7) (0)
桜蔭0 (33) (1) (9) (0) (19) (4) (0)
桜美林0 (32)0 (12) (15) (5) (0) (0) (0)
頌栄女子学院0 (25)0 (2)0 (2) (5) (9) (3) (4)
東京都市大学等々力0 (19)0 (1) (7) (7) (2) (2) (0)
山手学院0 (19) (0) (1) (3) (6) (9) (0)
0 (17) (0) (12) (1) (3) (1) (0)
雙葉0 (17) (3) (3) (4) (7) (0) (0)
國學院大学久我山0 (17) (0) (8) (4) (5) (0) (0)
栄光学園0 (15) (2) (5) (5) (0) (3) (0)
淑徳0 (14) (5) (2) (0) (3) (4) (0)
晃華学園0 (14)0 (1) (0) (0) (4) (8) (1)
城北0 (13)0 (1)0 (7)0 (0)0 (1)0 (2)0 (2)
栄東0 (12) (0) (8) (2) (0) (1) (1)
【2022.9.12修正:栄光学園の数字に誤りがあったので修正しました】
【2022.9.28修正:三田国際の2022年を追加し順位を入れ替えました】

このあたりからは、学校が人数だけを出しているケースと、全く出しておらず外部資料(さぴあ)から持ってきた真偽不明の数字が混ざっているので、信頼度はだいぶ低いと思ってください。それでもここでリストされている学校については合計で2ケタの人数はいるということなので、海外を目指す層はそこそこいると思っていいと思います。

ただいずれにしても、学校名を公開していないところは進学実績として海外大学合格をアピールする考えではなさそうなので、とりたてて(今は)海外大学進学に力を入れているわけではなさそうだなと個人的には感じます(三田国際については、海外大学は4年間まとめたデータしかなく詳細がわかりません)。もう少し注目度が上がって学校の姿勢が変わってくるといいなと思います。

おまけ:都立(公立)高校

ちょっと興味があって日比谷高校を覗いてみたところ、それなりの人数の海外大学実績が出ていました。そこで、都立進学指導重点校を中心に、都立と周辺3県の公立高校についてだけざっと調べてみました。

結果、まともに進学実績として記載があったのは以下の3校でした。

学校名合計(総数)202220212020201920182017
都立国際101 (311)36 (73)51 (158)14 (80)
埼玉県立浦和19 (38)0 (2)8 (8)2 (5)1 (6)8 (17)0 (0)
都立日比谷17 (44)2 (2)5 (16)6 (12)2 (11)2 (3)

都立国際高校は国際バカロレア認定校で、明確に海外大学の進学を目指すコースも設置されている学校です。都立高校の中での国際教育のモデル校的な位置付けと考えられ、高校受験を経たあと海外に出たいと考える人が目指す学校でしょう。

あとは埼玉の雄である浦和高校と、都立の星である日比谷高校が一定数の海外大学実績を持っています。学校が積極的に関与しているかどうかは不明ですが、どちらも地域トップ校にあたり、それらの学校にのみ海外大学への進学実績があるというのは面白いです。

ちなみにこれ以外だと、横浜翠嵐高校で2020年に1人、船橋高校で2021年に6人というのが確認できた数です。そのほかの学校は集計欄もない感じなので、公立高校ではマイナーというか、そもそも選択肢にも上がらないかもなと感じる結果でした。

まとめ

以上、海外大学上位校の合格者数をランキング形式でまとめてみました。

国際系と括られるような学校が挙がっている以外にも、開成・海城・聖光学院など東大ランキング上位にも出てくる学校や、都立小石川や都立日比谷など公立最難関といわれる学校も挙がってきているのが印象的です。もはや最上位の学校には、東大ではなく海外の名門大学を直接目指す層が一定数いるというのが現在の流れなのかなと思います。

大学に入学したあとに海外の大学や大学院へ行く流れももちろんあるでしょうし、高校から直接海外大学を目指すことが凄いことだと言うのも極端な見方だと思いますが、世の中のニーズからしても、選択肢の一つとして無視はできないものになってきているのではと感じます。コロナ禍がどう影響したのかはわかりませんが、各学校の数字を見るとここ2・3年で明らかに増加しているのは見て取れるので、留学しづらくなっているというよりは逆にオンライン活用により受験しやすくなったと見た方が良さそうです。そしてこの先、この動きは止まるよりは加速する方向だろうなと感じます。あとは経済面で、柳井財団のような奨学金がもっと増えてくれるといいなと思いますね。

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