2022年 大学合格率ランキング 〜首都圏中学受験校編〜

大学合格率ランキング 大学合格ランキング

前回、全国の高校を対象に難関大学合格率ランキング1〜50位を作りました。

ただこれだとトップ圏の学校しか出てこないので、今回は首都圏の中学受験の対象になる学校に絞って表にしてみます。

またせっかくなので、東京一工医だけでなく、旧帝大、全国公立、早慶上理医、GMARCH(+関関同立)についても出せる範囲で出してみました。

一応ランキング形式にしてはいますが、順位付けというよりも、その学校で大体何%くらいに入っているとどの辺の大学に行くのか、といった視点で見ると良いのではと思います。例えば国公立の合格率が30%の学校なら、学年の1/3に入ることを目標にしようといった感じで。

私大については重複が多く学校によって違いも大きいと思うので分からないですが、例えばその学校のボリュームゾーンが、国公立/早慶上理医/GMARCHのどの辺りなのかというのは、周りの学校との比較である程度は見えてくると思います。

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データの見方

データの見方は以下の通りです。

《データの出処》

《区分けの意味》

  • 区分:[中]国私立中高一貫校 [公]公立中高一貫校
  • 男女:[男]男子校 [女]女子校 [共]共学校

《注釈の付いた学校》

  • * 卒業生数が公表されていないので代わりに定員で集計しています
  • 医学部医学科の合計合格者数が公表されていないので数字に含んでいません
    (実際より少し少ないと予想されます)

《各指標について》

  • 東大:東大合格率(合格者/卒業生)
  • 東京一工医:東大・京大・一橋大・東京工業大・国公立大医学部医学科
  • +旧帝大:東京一工医 + その他旧帝大(北大・東北大・名大・阪大・九大)
  • 全国公立:国公立大すべて(文科省管轄外の大学校も含む)
  • 早慶上理医:早稲田・慶應・上智・東京理科・私立医学部医学科(現役のみ)
  • GMARCH+関関同立:GMARCHと同レベルと言われる関関同立も合算(現役のみ)

《S偏》

  • 目安としてSAPIX偏差値を載せました
    (サピックスを選んだ理由は共学校の男女偏差値が同じであるため)
  • 2022年第1回志望校判定SO 80%偏差値表より
  • 複数入試日程の学校は低い回のものを使用

では実際のデータを見ていきます。ランキングは東京一工医の現役合格率順となっています。

1〜25位

大学合格率ランキング 1-20位

基本的には学校ごとのパーセンテージを見てもらえばよいと思っていますが、せっかくなのでランキング的な視点で勝手考察してみます。ちょうど5位ずつ傾向が違うグループができそうなので、勝手に名前を付けてコメントします。

1〜5位:五強(聖光・開成・筑駒・桜蔭・栄光)

上位3校で三強な感じですが、これに桜蔭と栄光を加えて五強としました。桜蔭と栄光の間にやや差があるようにも見えますが(特に現役率)、栄光学園は注釈の通り医学部医学科の数字を含んでいないので、それを含むとおそらく桜蔭に並ぶくらいが実際のところだと思います。と見たとき、6位の駒東との間でひとつの壁ができそうです。また、全国ランキングでも全て10位に入っているのはこの5校だけなので、まあここで括るのは妥当かと。

まあどこを取っても凄い数字が並んでいて、指標の切り方によって順位が入れ替わる感じです。東大の率なら筑駒だし、絶対数なら開成、現役率なら聖光といったところ。この中で現役志向が強いのが聖光と桜蔭で、難関私大の数字が高いところにもこれは現れていて、浪人して難関国公立よりも現役で上位私大を取る人が多いというのがイメージできます。あと栄光学園は昔より下がっているようなイメージを一般的に持たれていそうですが、これは聖光学院が強くなりすぎたために相対的に下に見えるだけで、このデータを見る限り十分トップランクと言っていいのではと思います。

6〜10位:偏差値<実績(駒東・浅野・海城・小石川・渋渋)

次のグループは、偏差値では最上位ではないが合格実績が良い学校、と括れそうです。SAPIX偏差値では50代後半〜60まで(四谷大塚でも65近辺)で11〜15位の学校より下ながら、難関大の現役合格率では上回った学校群です。

駒東・浅野・海城の男子校3校は併願や比較されることも多い学校だと思います。この中では現浪合わせた数字では駒東が少し抜けていて、浅野が現役志向強め、海城はその中間という感じですかね。ちなみに神奈川男子御三家と言われる3校はここまでに全てランクインしました。

そして都立一貫校の小石川がここに入っています。全ての指標ではないのですが、このランキングでの共学トップは僅差で小石川になりました。国公立と現役率の高さが目をひきます。渋谷教育学園の2校は現役率の差でわずかに渋渋が上回りました。

11〜16位:人気難関校(渋幕・女子学院・筑附・豊島岡・麻布・県立千葉)

いわゆる中学受験で人気の難関校たちです。6〜10位までとそれほど差はないので、6〜16位までを一括りにしても良さそうな感じではあります。(今回は偏差値ではっきり色分けできて面白かったので分けてみました)

この中で異色なのが豊島岡で、医学部志向が強いために医学部を入れたランキングだと跳ね上がります。東大より医学部、という文化なんですかね。なおJGと豊島岡の女子校2校は現役率高め、渋幕・筑附・麻布の3校は浪人生も多く難関志向という違いが明確で、現浪合わせた数字だとまた違った順位になります。県立千葉も、現役志向の強い公立一貫校の中では割と浪人に寛容な文化に見えます。

17〜20位:偏差値<<実績(サレジオ・並木中教・芝・暁星)

ここが個人的に一番面白かったです。偏差値との乖離が非常に興味深く、21位以下と見比べてもここだけちょっとバグっている感じです。

サレジオ学院は都内受験生にはあまり馴染みがない感じですが、横浜市にあり神奈川御三家に次ぐ難関といった位置付けかと思います。神奈川の上位校全般に言えることとして、入口の偏差値に対して出口の実績が良い学校が多い気がします。

並木中教はつくば市にある公立一貫校です。立地的に研究者だったりハイスペックな親が多いんでしょうかね。茨城県の受験事情はよくわかりませんが、最近茨城県内のトップ高校が軒並み中高一貫化に舵を切ったのはこの学校の影響もあるのではと邪推しています。

芝は都内では人気の男子名門校ですが、芝温泉(ぬるま湯?)と揶揄されたり人気の割に進学実績がいまひとつと言われることもあります。ただこの数字を見る限り全然そんなことはなく、むしろ実績に対して偏差値の方がまだ低いようにも見えます。特進クラスで稼いでいる学校でもないので、学年全体で大学受験に向かう空気感は名門校のそれなんじゃないでしょうか(知らんけど)。

暁星は歴史のある名門校で、親世代が今の偏差値を見るとその低さに驚くのだろうと思います。1学年の人数が少ないのでどうしても進学実績が小さく見えてしまいますが、医学部進学が多く、率で見れば素晴らしい進学実績を出していると言えると思います。国公立の数字が相対的にあまり高くないのは個人的に少し気になりますが、偏差値とネームバリューからすれば穴場と言っていいのではないでしょうか。

21〜40位

大学合格率ランキング 21-40位

比較的偏差値に沿ったかたちでランキングが形成されている印象ですが、その中で特異なポジションというか、個人的に気になる学校がいくつかあるのでコメントします。

早稲田:早稲田は学年の約半数が早稲田大学へ推薦で行くので、実受験する人数を半分として計算しなおすとこの倍くらいの数値になり、それで考えると6〜10位の難関男子校ポジションに行きます。高三の12月までは全員が大学受験に向かって勉強すると聞きますし、本来の位置というか、大学を目指す空気感はそっちのポジションの方が近いのではと思います。

東京都市大付属:学校改革後の卒業生が出たここ2〜3年で急激に進学実績が伸び、今年は東大合格者が二桁に乗せたことで注目されています。データを見ると特に東大に偏っている訳でもなく(むしろこの位置としては東大はまだ少なめ)全体の数字が伸びているのがわかります。

洗足学園:こちらも今年の東大合格者が20名でて話題になりましたが、東大だけではないというのがデータからわかります。あと女子校全体の傾向ではありますが、早慶など難関私大が多いというのも特徴的ですかね。

鴎友学園:ここはSAPIX偏差値が低すぎる気もしないではないですが、偏差値の割に高い実績ということではこの学校も要注目ですかね。

公立中高一貫校(都立武蔵・相模原・南多摩・立川国際):公立一貫校は全体として、国公立・現役志向が強いというのが傾向のようです。コスパの面でとても親孝行なルートじゃないかと思います。

あとフェリスは医学部実績が加算されていないので、本来はもう少し高いのかもしれません。

41〜70位

70位で現役東京一工医が5%以上とキリがいいので、41〜70位までを一気に出します。ちなみにこのあたりから主戦場が私大に移ってきてこの指標ではほとんど差がつかなくなってくるので、一旦ここまでで切ります。

大学合格率ランキング 41-70位

このあたりは公立中高一貫校が続々と入ってきます。公立一貫校はやはり国公立・現役率の高さが特徴的ですね。

あとは頌栄女子の難関私大の数字が際立っています。全体で見ても、早慶上理医のトップは女子学院(191%)で、頌栄女子の181%はそれに次ぐ2位になります。GMARCHも集計した中ではトップでした。国公立と難関私大の数字はリンクすることが多いですが、ここまで極端に難関私大に振れている学校も珍しい感じがしますね。

まとめ

以上、首都圏の中学受験対象になる学校に絞って合格率を見てきました。

表にするとどうしてもランキング順位が気になってしまいコメントもそんなかたちになってしまいますが、その学校の合格率を見ることで、大学受験に対する学校の空気感を見ることができるのではと思います。例えば、東京一工医が半数を超える学校なら皆が自然と東大や医学部を目指しているだろうし、国公立が半数を超えるなら基本的に国公立を目指すことになるだろうといった具合です。また浪人してでも上位の大学に行くのか、多少妥協しても現役合格を目指すのかというのもありそうです。

また、早慶上理医とGMARCHのどちらの割合が多いかでボリュームゾーンの動向を見ることができ、平均的な生徒がどのあたりに着地するのかという予測を立てることもできそうです。この点は、ランキング20位くらいからあとは、国公立の順番とはあまり相関がなく学校ごとの違いと言えそうです。

学校選びの際はいくつかの軸で考えていくことになると思いますが、付属校でなければ受験のゴールはまだその先にあるので、進学実績というのもひとつの大きな軸ではあるでしょう。現在は塾の力も大きいので学校の教育と実績とは必ずしもイコールではないと思いますが、よく学校の空気感という言葉で言い表されるように、目の前の先輩たちが目指している大学とその現実感というのが、結局はその学校の進学実績に繋がっているというのは事実だと思います。既に明確な将来の目標を持っている子なら別ですが、大多数は周りにいる仲間の空気感で何となく目指す大学が決まってくるものだというのもよく聞くので、学校の教育方針と共にこの空気感を見るというのは学校選びのひとつの指標になると思います。

今回は個人的な関心とデータ取得のしやすさから今年の東京一工医の現役合格率をメインの指標として集計しましたが、他の指標で見ればまた見方は変わってくると思います。各学校のWebサイトには進学実績が載っているので、関心のある学校については集計して比較してみることをおすすめします。

あと、今回やれていない海外大学実績についてはまた別途書きたいと思います。

以上、参考になれば幸いです。

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