2024年入試の日能研R4偏差値(80%判定偏差値)が公開されているので、2023年入試からどう変化したのかを見ていきます。男子と女子とで分けてみていきます。(女子編はこちら)
ここでは、2024年度と2023年度のR4偏差値表を並べて、それぞれ前年からの上昇・下降を色分けすることで、直近年度の変化を一覧で見てみたいと思います。偏差値表はその数字だけでなく、見たときの印象も大事だと考えているので(偏差値表を見る人が抱くイメージになる)、偏差値表のイメージのままで見ていきたいと思います。
偏差値表を見て志望校を考える際、基本的には自分の塾で使っている今年の偏差値表を見る人が多いと思います。ただ、偏差値表はその年の入試を反映した断面でしかないので、去年の偏差値表を見ていた人がどう考えていたのか、それに対して今年の人はどう見るか、という視点で見てみるのは受験戦略を考える材料になります。
また、模試ごとに偏差値の並びは結構違っているのですが、入試では他塾(他の模試)の人も一緒になるので、他塾の人がどんな見方をしているのかというのも意外と重要です。
受験戦略を立てる材料として、また単にエンタメとして、ご覧いただければと思います。
女子編と合わせてご活用ください。
2月1日午前入試
まずは2月1日午前・男子の偏差値表です。
2024年で消えている(おそらく受験者人数が不足した)入試回は次の3つです。
広尾小石川①
芝国際①前
八王子①東医
いずれも募集定員が少なく、合格者も少ないので偏差値が出せなかったと考えられます。そもそも人数が少ない入試回については偏差値の精度は低くなるので、あまりアテにしない方がいい気がしますね。
全体の印象
2023年は高偏差値帯で濃い赤が多く大きな上昇のところが多かった印象ですが、2024年はそれに比べると変動が少ないイメージです。2024年に大きく上げたところもその前年はマイナスだったところがほとんどなので、単に隔年現象というイメージで捉えるのが合っているかなと思います。
2024年の表を俯瞰して見てみると、偏差値62あたりと54あたりで、それぞれ集団を区切るラインがなんとなく見えます。上位だと、64〜67でひとつの集団、そこから渋渋がやや上に抜け出た感じに見えます。次に大きな集団は55〜57あたり、そして50〜53あたりという感じで、全体でざっくり3つくらいの集団には見えますかね。
あえて集団にわけて見ていますが、これは、志望校、特に併願校を決める際は、ある程度のかたまりの中で横比較して選んでいくことが多いだろうと考えられるからです。
2年前からの変動が大きい入試
2022年から2024年の間に3ポイント以上の上下動があった入試をピックアップしてみます。
- 広尾① :62→65→65
- 青山横浜英和A:54→56→57
- 開智日本橋① :53→57→57
- 高輪A :51→54→55
- 等々力①特選 :51→56→54
- ドルトン①前 :46→48→49
- 公文国際A :53→49→53
- 都市大付① : 60→56
- 世田谷① :55→53→52
- 鎌倉学園① :55→52→52
- 帝京大① :55→52→51
これらは、2年前の偏差値イメージとは大きく変わってきていると思うので注意が必要でしょう。個別の学校にコメントすると次の感じでしょうか。
広尾学園①は2年前は芝①や本郷①と同程度の難易度と見えていましたが、2024年では海城①も超え駒東と同偏差値になっているので、ひとつ上の集団として見られると思われます。
青学横浜英和Aは本家の青山学院と並ぶ偏差値になり、開智日本橋①とともにひとつ上位の集団に入った感じです。都市大等々力①は2024年で一旦下げたので、どちらに定着するかは来年次第かと思います。
高輪Aも、男子校で並べたときは攻玉社・城北・巣鴨・世田谷あたりの3番手集団(?)よりも一つ下に見えていたと思いますが、世田谷と入れ替わるようなかたちでこの集団に入ってきた感じです。
都市大付①は1日午前参入の初年度につけた60という偏差値がちょっと高すぎたのかもしれず、この辺が落ち着きどころかなという印象です。
世田谷①・鎌倉学園①・帝京大①は揃って同じような動きになっています。昨年が一時的な下落でないとすると、50〜53の集団として見られるようになるかもしれません。
2025年に向けて
男子の中学入試は前年の大学合格実績に左右されることが多いので、それを踏まえながらちょっとだけ予想してみます。
まず渋渋の上昇ですが、東大合格者の40名越えが2年続いたことで、これは一時的なものでは終わらなそうです。そして逆に今年あまり奮わなかった麻布は、2番手集団に飲み込まれるかたちで2024年の傾向をそのまま維持しそうです。
個人的な次の注目は偏差値50台の男子校ですが、大学合格実績を見る限り大きな浮き沈みはなさそうなので、結局ここも2024年の傾向が維持されるのではと見ています。実績的には世田谷学園はもうひとつ上でいい気がしますが、今の流れで大きく上昇するというのは(別の要因がなければ)なかなか難しい気がします。
あとは、大学附属校への流れが少し来ているのかなという感じもあり、大学のランクからすれば明大八王子はこの辺りで妥当(定着)と見てもいいと思います。あと注目は日本学園ですが、いずれは他の明大系列と同ランクになる学校だと思いますが、本格的に上がるのは明大世田谷と名前が変わったあとの2026年入試からですかねぇ。
最後に45で顔を出した横浜創英ですが、最大の上昇要因だった工藤校長が辞任されてしまったということなので、残念ながらこれ以上の上昇余地はないかなと思います。
2月1日午後入試
次に2月1日午後です。
全体の印象
こちらは、2023年に比べて2024年は上昇したところが目立つ印象です。数えてみると、下落を示す青がわずか3校に対して、上昇の赤が23校もあります。
ここもざっくりと、偏差値60と54のあたりに区切りがあり、大きく3つの集団があるように見えます。
2年前からの変動が大きい入試
ここでも2022年から2024年の間に3ポイント以上の上下動があった入試をピックアップしてみます。
- 獨協② :54→52→57
- ドルトン①後 :48→49→53
- 淑徳巣鴨(スカラ①):44→46→52
- 東京電機② :48→49→52
- 駒込② :42→47→49
- 京華①特後 :43→47→48
- 横浜創英② :□→45→48
- 多摩目黒(特①) :43→44→47
- 日工大駒場② :39→41→45
- 日本大学A② :54→51→53
見ての通りほとんどが上昇でした。
また、上位校ではそれほど大きな動きはなく、偏差値40台で上昇した入試が非常に多いことがわかります。これは、1日午後でしっかり抑え校を確保しておこうという動きと捉えられるかと思います。
午後入試が定着してきたと言われて久しいですが、上位層から中堅層まで幅広く受験者を拡大してきたことによって、1日午後は全体的に偏差値が上方へと動いてきている感じがあります。
同じ学校でも、2月1日午前の偏差値表で見る印象とは全く違った偏差値が付いているので、その辺りは注意が必要になりそうですね。
2025年に向けて
個別の学校の動向は正直よくわかりませんが、全体的にやはり午後入試で抑えを作っておきたいという流れは続いていると思われるので、易化するよりは難化の方向だろうなとは思います。
上位校の動きはある程度落ち着いてきているように見えますが、募集定員の少ない入試だと急に跳ね上がるということはあり得るので、そうなるともはや抑えにはならなくなってしまうので注意が必要だと思います。
次ページは2月2日・3日入試へと続きます。
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