先日以下の記事を書きました。
去年の受験時にもこれを知ったことで偏差値の見方は多少変わったのですが、改めて記事を書いてみると色々考えることが増えました。ふと、他の受験(大学受験や高校受験)はどうなっているんだろうと疑問に思い調べてみたので、その辺りを書いてみます。
大学受験でイメージする偏差値は80%じゃなかった
中学受験でも模試によって学校偏差値は違いますが、大学受験でも模試によってだいぶ異なります。しかも学部・学科で細かく出るのでより複雑ですね。
ただ何となく持っているイメージは、国立は東大の70前後からはじまって旧帝大の辺りで60くらい、私立だと早慶が70前後でMARCHの上の方で60辺りというのが一般的な感覚じゃないでしょうか。本当にざっくりイメージですが。
そのあたりを具体的に見てみます。
大学受験の偏差値表
ということで偏差値表を見てみました。代表的だと思われる4つを取り上げます。
河合塾:50%
ボーダーラインは河合塾が予想する合否の可能性が50%に分かれるラインを意味します。
出典:河合塾 Kei-Net 入試難易予想ランキング表
東進ハイスクール:50%
合格可能性50%大学入試偏差値ランキング
偏差値「Cライン」は、入試本番時における合格可能性50%以上の数値を示しています。
出典:【2023年度入試対応】東進の大学入試偏差値一覧(ランキング)
ベネッセ(進研模試):60%
※掲載している偏差値・共通テスト得点率は、2022年度進研模試3年生・総合学力記述模試・7月のB判定値(合格可能性60%)の偏差値・共通テスト得点率です。
駿台:(80%)
合格目標ラインとして示した偏差値は、合格可能性80%に相当する駿台全国マーク模試の偏差値です。〜(中略)〜【情報提供:駿台予備学校】
出典:キャリタス進学 合格目標ラインの偏差値から学校を探す
*駿台の偏差値は現在非公開とのことで外部サイトの情報ですが、情報提供元が駿台予備学校とのことなのでこちらでよいかと。
見てる偏差値正しいよね?というのを確認するため、少しピックアップします。
河合塾 (50%) | 東進 (50%) | 駿台 (80%) | ベネッセ (60%) | |
---|---|---|---|---|
東京大 文Ⅰ | 67.5 | 68 | 71 | 87 |
東京大 理Ⅰ | 67.5 | 70 | 69 | 78 |
北海道大 総合文系 | 62.5 | 63 | 61 | 71 |
北海道大 総合理系 | 57.5 | 63〜64 | 58〜60 | 64〜66 |
早稲田大 政治経済 | 67.5〜70.0 | 67〜68 | 69〜71 | 84 |
慶應義塾大 経済 | 67.5 | 67 | 66〜69 | 82〜84 |
慶應義塾大 理工 | 65.0 | 67〜68 | 63〜65 | 75 |
青山学院大 経済 | 62.5 | 63〜65 | 56〜61 | 68〜73 |
青山学院大 理工 | 55.0〜60.0 | 59〜64 | 53〜59 | 63〜73 |
ベネッセ(進研模試)は受験者層の違いもあって偏差値が高く出るというのは昔からなので、まあこんなものじゃないかということで一旦脇に置いておきます。
あとの3つは学部により多少バラつきはありますが、大体揃っていそうです。最初に書いた、70前後が東大や早慶、60近辺に旧帝大やMARCHというのは大きく外れてないですよね。
ちなみに駿台は、上位層の受験者が多く偏差値が低く出るというのが昔からの傾向です(中学受験におけるサピックスオープンのような感じですね)。で面白いのが、駿台が80%にすることで結果的に河合塾・東進とほぼ横並びになっているというところです。それによって結局、私たちがイメージする大学偏差値はこの辺りに落ち着く感じになっています。
河合と駿台どっちの偏差値が信用できるとか色々論争があるみたいなのでそこに足は突っ込まないようにしたいですが、とにもかくにも、受験者数が多く成績帯の偏りも少ない河合塾と、そこと似たような偏差値を出す東進が50%偏差値ということで、こう結論付けることにします。
大学受験は50%偏差値がメジャー
ちょっと強引といえば強引ですが、一般的な大学の偏差値イメージも大体そのあたりにあるということで。
高校受験の偏差値表
続いて高校受験も見てみます。こちらは駿台とサピックスがメジャーのようですが、都立高校などはVもぎとWもぎというのがあるようです。
駿台:80%
本表は、全国の主要国立・私立高校の合格確実圏(合格可能性80%)を一覧にしたものです
出典:2022年度 駿台高校受験公開テスト 参考資料 主要国・私立高校 偏差値一覧表(男子)
サピックス:80%
SAPIX中学部 公開模試の結果をもとに判定した高校受験合格偏差値(※2022年実施「サピックスオープン」においての合格可能性80%)を、5科目入試校・3科目入試校ごとに掲載しています。
出典:SAPIX中学部 公式サイト 【高校受験】2022年受験 合格偏差値
Vもぎ:60%
表中の文字は 学校名 総合得点 [ 換算内申(65点満点) - 偏差値 ] の順に記載。基準は合格可能性60%の位置を表す。
出典:進学研究会 進研Vもぎ 都立高校 総合得点 合格めやす表
Wもぎ:60%
「Wもぎ」で判定する合格基準値は、合格率60%の数値を使っています。
出典:高校受験情報の新教育 SchoolGuideWeb Wもぎ/志望校判定編
こちらもちょっと偏差値を見てみます。
学校 | 駿台 (80%) | サピックス (80%) | Vもぎ (60%) | Wもぎ (60%) |
---|---|---|---|---|
開成 | 69 | 64 | ||
日比谷 | 63.5 | 56 | 70 | |
青山 | 53.0 | 49 | 65 |
Wもぎは非公開
駿台とサピックスはだいぶ低いですね。もしかすると、これで50%を使うと低すぎてしまうので80%を使っているんでしょうか。逆にVもぎが80%を使うと高く出過ぎてしまうのか。
まあそれはさておき、とりあえず国公私立すべて出している駿台とサピックスが80%を使っているということでこう結論付けます。
高校受験は80%偏差値がメジャー
中学受験の偏差値表
最後に中学受験ですが、これは各模試で80%と50%の両方を出しています。ただ、サピックスだと50%偏差値表は模試で出ていたのみ、日能研R3(50%)偏差値表も公開はされていません。学校案内に出ているのも基本的に80%偏差値表なので、一般的には80%と考えられます。
中学受験は80%偏差値がメジャー
一応、同じように各模試の偏差値の違いだけ見ておきます。
サピックス (80%) | 四谷大塚 (80%) | 日能研R4 (80%) | 首都圏模試 (80%) | |
---|---|---|---|---|
開成 | 67 | 71 | 72 | 78 |
桜蔭 | 62 | 71 | 67 | 77 |
芝① | 51 | 59 | 59 | 70 |
頌栄女子① | 50 | 62 | 58 | 70 |
結論
ということで、改めてまとめると以下の感じです。
大学受験は50%偏差値がメジャー
高校受験は80%偏差値がメジャー
中学受験は80%偏差値がメジャー
多少イレギュラーはあるものの、一般的に使われているものとしてはこんな分類になるかと思います。
なぜ違う判定偏差値を使うんだろうか?
ここまで見てきて、こんな疑問が湧きます。なぜ判定偏差値を合わせないんだろうと。基準が違えば見る方は混乱しそうですし、実際、そこまで細かく理解して見ている人の方が少ない気がするので、混同していそうです。
理由に関して特に明示されているものは見つかっていません。で、色々考えた結果、ここまで書いてきた上で何ですが、この記事で深掘りするのもここまでにしようかと思います。
当初は、浪人生の有無で理由付けを考えたり、中学受験は80%偏差値で学校偏差値を高く見せようとしているとか(あまり低いと大学受験経験者の親の印象が良くないので)、ちょっと塾の陰謀論みたいな可能性のことなども書こうかと思っていました。ただ調べているうちに、そもそもそこまで考えて使っていないんじゃないか、単に昔から使われているものを踏襲しているだけじゃないかという気がしたのでやめます。大学受験が50%偏差値である理由も曖昧でよくわからないし、駿台は80%だったりするし。
ということで、何とも歯切れの悪い話になってしまいましたが、せっかく調べたものはもったいないのでこのまま記事にして残しておこうかと思います。
ただ、個人的には50%偏差値の記事で書いたことに対する納得感が強いので、自分は難易度を見るのには50%偏差値を使い、補足的に80%を使うかなと思います。
あとひとつだけ注意喚起として言っておきたいのは、上で見る通り大学入試・高校入試・中学入試それぞれ、また模試によって偏差値の出方は全然違うので、大学入試の先入観だけで学校のレベルや子供の学力を判断するのはやめた方がいいでしょうというところですかね。自分も中学受験に入った頃は50を切るような偏差値を見て衝撃を受けたりしたので、そのときの感覚から、特に大学受験経験者の親御さんは要注意かと思います。
コメント
偏差値表の作成にあたって大切なのは、合格/不合格の結果を把握できているかです。私見ですが、おそらく大学受験(特に河合塾など受験者数が多い模試)では、不明者のデータが多いため、80偏差値
の作成ができない、という事情があるのではないかと考えていますが、いかがでしょうか。
コメントありがとうございます。
確かに、受験者の合否がわからないと偏差値表は作れませんね。
データが少ない場合、80%より50%近辺の方が母数が多いので信憑性がある(まだまし)、ということになりますかね。
実際のところどういう理由なのか、それぞれの関係者に聞いてみたいところです。