同偏差値帯の進学校を集めて横比較してみようという企画です。
大学合格実績や教育内容、入試情報などを深掘りし、グラフ化するなど見やすくして横比較していきます。
- 志望校や併願校をまだ絞り込めていない
- 東大ランキング以外の進学実績を見てみたい
- 教育内容・環境を横並びで比較してみたい
- 単純に国私立の中学・高校に興味がある
基本的には学校のWebサイトを中心とした公開情報をまとめたもので、表に出てこないような裏話ではなく、複数の学校を横比較することで見えてくるものを発見するという感じです。
記事全体の構成は次の通りです。
記事の全体構成
- 大学合格実績の比較[ページ1]
- 教育内容の比較[ページ2]
- 入試の比較[ページ3]
- まとめ[ページ3]
*ページ分けしているため、各ページの目次ではページ内の項目のみを表示しています。
データの羅列だけではつまらないのでそれぞれ簡単にコメントを入れていきます。極力第三者的な視点で書くつもりではありますが、それでも好みや主観は入ってしまうと思うのでそこは割り引いて見ていただければと思います。
第2回は男子二番手(と言うと怒られそうなのでタイトルは変えましたが)の四谷大塚偏差値65前後の学校群です。
麻布・栄光学園・浅野・駒場東邦(駒東)・武蔵・海城・早稲田の7校で、ちょっと学校数が多いとは思いますが、偏差値や大学合格実績を見てもこの7校でひとかたまりと私は感じているのでこれでいきます。
1. 大学合格実績の比較
大学合格実績は、昨今の現役重視の流れを汲んで現役合格のデータを使用します。
また、同難易度の共学校である渋谷教育学園幕張(渋幕)・渋谷教育学園渋谷(渋渋)の2校を比較対象として、グラフを並べて表示します。男子最上位編にも載せているので、この2校を軸に比較してもらえればと思います。
国公立大学現役合格率(2022年)
国公立大学は、卒業生数を現役合格者数で割った数字を合格率として集計します。
以下2校はややイレギュラーです。
武蔵:基本的に進学者数のみの公開ですが、国公立大学の場合は以下の記載があるので合格者数を割り出すことは可能です。ただし現役かどうかの記載がなくなってしまったのでここでは結局正確な情報は出せなくなりました。まあそれほど大きな数ではないので、ここでは全て現役と仮定し追加(一工+1、医学部+3、他+1)して集計しました。なので、武蔵についてはこれが最大値だと思っていただければと思います。

早稲田:半分が内部推薦で早稲田大に行きながらも進学校でもあるという独特な学校なので、比較は難しいですが一応推薦分も明示して同列で比較を出してみました。


*合格者数データは各学校Webサイト、卒業生数はインターエデュより
*栄光学園・駒場東邦・渋幕の医学部データは進学情報誌さぴあより
*重複カウントを避けるため、旧帝大には東大・京大、医学部には東大理Ⅲと京大医学部、旧帝大と他国公立には医学部の数字を含みません
*栄光学園の旧帝大は医学部との重複カウントがある可能性があります
*武蔵は一工(+1)と医学部(+3)分が過剰に計上されている可能性があります
*早稲田は早稲田大学への内部推薦も併せて表示しています
*渋幕の旧帝大は北大・東北大のみのデータです(それ以外の旧帝大は他国公立に含まれます)
ここだと栄光学園が頭ひとつ分くらい抜けているかなという印象ですかね。東京一工(東大・京大・一橋・東工大)に医学部を加えた黄色部分で4割に迫ります。
その次以降はどこの数字を見るかで変わってきそうですが、東京一工医で見ると駒東・海城・浅野、それに渋渋・渋幕を加えた5校がほぼ同じくらいで30%前後と見えます。
ちなみに今回は東大の率で並べてはいますが、並び順はあくまでのひとつの指標として、あまり順番というものには捉われずにそれぞれ注目するポイントを見ていただければと思います。
一工(薄い青色部分)が大きいのが神奈川の2校である栄光・浅野で、特に浅野は東工大の合格者数が全国トップとのことです。医学部(黄色部分)が大きいのは駒東・海城・早稲田です。武蔵は旧帝大が他校に比べると多めに見えます。
東大ランキングの常連である麻布は、2022年が低調だったことと現役比率が低いことで、ここではちょっと不利な見え方になってしまっています。現役浪人合わせた数字だとまた別の見え方になるので、これだけでは判断できないというのだけはお伝えしておきます。
武蔵は偏差値を落としていた時期の学年にあたっていて、ここ2・3年で人気を回復してきているので今後は伸びてくるかもしれません。
渋渋・渋幕は共学校で女子も含まれているので同列で比較はできませんが、国公立の現役割合だけで見れば駒東や海城と似ている感じがします。
私立大学現役合格者数(2022年)
私立大学は重複合格が多く合格率が意味をなさないので、合格者数を積み上げたグラフにします。ただ卒業生数もわかるようグレーで表しています。
注)早稲田は進学校としての比較ができるように、内部推薦を合格者数・卒業生数から除いた外部受験生の数だけを出しています。(なので実際には、これとは別に早稲田大学への内部進学者159名がいるということになります)


*合格者数データは各学校Webサイト、卒業生数はインターエデュより
*栄光学園・駒場東邦・渋幕の医学部データは進学情報誌さぴあより
*武蔵は合格者数ではなく進学者数の数字です
*早稲田は合格者数・卒業生数ともに内部推薦分を除いた数字です
私立大学の数字はどう見るのかなかなか難しいですが、ひとつの見方として、現役での進学志向が強いのか浪人で上位を目指すのかという校風(雰囲気)の違いを見る指標にできるかなと思います。これは、卒業生数のグレーのラインが合格者数のどこに着地しているかというところである程度予想できると思います。
このグレーのラインが突き抜けている学校は合格者数が少な目なので、少なくとも現役時は私立大学をあまり受けず強気の受験をしている人が多いと考えられます。栄光・麻布(駒東も?)はそれに該当しそうです。
それに対し、海城・浅野・早稲田は現役志向が強そうに見えます。渋渋・渋幕は女子も含まれるためよりその傾向が強いと見ることができると思います。
武蔵は進学者数のみなので単純比較はできません。そこで、進学者数も出してくれている栄光学園と早稲田も含めて進学率グラフを出してみました。

*進学者数データは各学校Webサイト、卒業生数はインターエデュより
*栄光学園の国公立医学部はデータがないので、合格者全員が進学しているものとして点線で示します
やはり早稲田は特殊なんで比較対象としては難しいですが、現役志向の強くないと思われる栄光学園と比べても高くはないので、現役志向はそれほど強くないというのが考えられると思います。
ちなみに前回(筑駒・開成)と今回(栄光・武蔵・早稲田)の進学先を見ているとMARCHへの現役進学はほとんどなく(最大でも3人!)、このクラスの学校だとMARCHでは満足できない雰囲気なのかなと感じます。
まあ中学受験の偏差値だと早慶附属校にも届いているレベル感なんでそう考えれば納得ですが、それはそれでちょっと恐ろしくなります。
自然に上位校を目指すという意味ではいいんでしょうけど、世間一般ではハイレベルなのに自己肯定感が低くなるとか、ちょっとズレた見方を生み出さないといいなと思いますね。
海外大学合格者数(2018〜2022年)
最後に海外大学への合格者数です。単年度だと波が大きいので5年間の表を出します。
上位大学計 | 全大学計 | 2022 | 2021 | 2020 | 2019 | 2018 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
*栄光学園 | 15 | / 2 | / 5 | / 5 | / 0 | / 3 | ||||||
駒場東邦 | 1 | 5 | 0 | / 0 | 1 | / 2 | 0 | / 0 | 1 | / 3 | 0 | / 0 |
海城 | 24 | 36 | 17 | / 20 | 6 | / 13 | 1 | / 1 | 1 | / 1 | 1 | / 1 |
麻布 | 0 | 11 | 0 | / 2 | 0 | / 0 | 0 | / 6 | 1 | / 2 | 1 | / 1 |
浅野 | 1 | 9 | 1 | / 9 | 0 | / 0 | 0 | / 0 | 0 | / 0 | / 0 | |
*武蔵 | 4 | 10 | 2 | / 3 | 2 | / 3 | / 1 | 0 | / 2 | / 1 | ||
*早稲田 | 6 | / 0 | / 0 | / 0 | / 0 | / 6 |
*年度ごとの数字は[上位大学/全大学]となっています。空欄はデータが取れなかった年度です。
*上位大学はTHE世界大学ランキング100位以内などを基準としています。具体的にはこちらの記事の指標となります。
*具体的な合格大学名(上位大学)は各学校名のリンクからご覧ください。
*栄光学園(2018年)、武蔵(2018年)、早稲田は進学情報誌さぴあより
*武蔵は合格者数ではなく進学者数のみです。


ここで目立つのは海城で、ここ2年ほど急激に海外大合格者を増やしています。
あとは武蔵で、毎年必ず進学者が出ているようです(ただこちらは進学者分しかわからないので、実際どの辺りの学校にどのくらい合格しているのかわからないのが残念なところです)。
それ以外の学校はそれほど大きな動きがあるようには見えませんね。
ただ海城でも渋渋・渋幕には遠く及ばず、この辺りの学校だと海外へという流れはまだ一部の特別な例という感じは受けます。
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