【進学校の横比較】男子Y65編(麻布・栄光・駒東・武蔵・海城・早稲田・浅野)

学校比較 〜麻布x栄光x浅野x駒東x武蔵x海城x早稲田〜 学校の横比較シリーズ
更新情報
  • 2023.9.28 進学実績を3年平均に変更(2021〜2023年)
  • 2022.11.22 初版投稿(2022年データ)

同偏差値帯の進学校を集めて横比較してみようという企画です。

大学合格実績や教育内容、入試情報などを深掘りし、グラフ化するなど見やすくして横比較していきます。こんな感じでシリーズ化しています。

基本的には学校のWebサイトを中心とした公開情報をまとめたもので、表に出てこないような裏話ではなく、複数の学校を横比較することで見えてくるものを発見するという感じです。

こんな方におすすめ
  • 志望校や併願校をまだ絞り込めていない
  • 東大ランキング以外の進学実績を見てみたい
  • 教育内容・環境を横並びで比較してみたい
  • 単純に国私立の中学・高校に興味がある

記事全体の構成は次の通りです。

記事の全体構成

  1. 大学合格実績の比較[ページ1
  2. 教育内容の比較[ページ2
  3. 入試の比較[ページ3
  4. まとめ[ページ3

*ページ分けしているため、各ページの目次ではページ内の項目のみを表示しています。

データの羅列だけではつまらないのでそれぞれ簡単にコメントを入れていきます。極力第三者的な視点で書くつもりではありますが、それでも好みや主観は入ってしまうと思うのでそこは割り引いて見ていただければと思います。

第2回は男子二番手(と言うと怒られそうなのでタイトルは変えましたが)の、四谷大塚偏差値65前後の学校群です。

麻布・栄光学園・浅野・駒場東邦(駒東)・武蔵・海城・早稲田の7校で、ちょっと学校数が多いとは思いますが、偏差値や大学合格実績を見てもこの7校でひとかたまりと私は感じているのでこれでいきます。

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1. 大学合格実績の比較

大学合格実績は、昨今の現役重視の流れを汲んで現役合格のデータを使用します。また並び順は、東京一工医(東大・京大・一橋・東工大と国公立医学部)の黄色ラインを基準にしています。

より分かりやすくするため、同難易度の共学校である渋谷教育学園幕張(渋幕)・渋谷教育学園渋谷(渋渋)の2校を比較対象として、グラフを並べて表示します。男子最上位編にも載せているので、この2校を軸に比較してもらえればと思います。

国公立大学現役合格者割合(2021〜2023年)

国公立大学は、卒業生数を現役合格者数で割った数字を合格率として集計します。

以下2校はややイレギュラーです。

武蔵:基本的に進学者数のみの公開ですが、2022年まで、国公立大学については合格者と進学者の差分情報が別枠で載せられていました。残念ながら2023年から消えてしまいましたが、とは言っても数人分程度の話なので、ほぼ実数と思って見ていいと思います。

早稲田:半分が内部推薦で早稲田大に行きながらも進学校でもあるという独特な学校なので、比較は難しいですが一応推薦分も明示して同列で比較を出してみました。

(画像タップで拡大します)
一工:一橋大+東工大、旧帝大:北海道大+東北大+名古屋大+大阪大+九州大
*合格者数データは各学校Webサイト、卒業生数は日能研入試情報より
*栄光学園・駒場東邦・渋幕の医学部データは進学情報誌さぴあより
*重複カウントを避けるため、旧帝大には東大・京大、医学部には東大理Ⅲと京大医学部、旧帝大と他国公立には医学部の数字を含みません
*栄光学園の旧帝大は医学部との重複カウントがある可能性があります
*武蔵の2022年・2023年は進学者数のみです(2022年は東工大+1、医学部+3の可能性あり)
*早稲田は早稲田大学への内部推薦も併せて表示しています
*渋幕の旧帝大には名古屋大・九州大は含まれません(他国公立に含まれます)

ここだと駒東と栄光学園が同じくらいで、東大で20%、東京一工医で35%くらいになります。

次のグループが海城・浅野・麻布で、東京一工医で30%くらい、その中で海城が医学部多め、浅野が東工大多め、麻布が東大多めという違いが見えます。ちなみに浅野は東工大の合格者数で全国トップを取る年が多いです(2023年は東大が多く東工大は少なかったですが)。

武蔵は一時期偏差値を落としていましたが、ここ数年で人気を回復してきました。2019年を底に合格実績が少しずつ上向いているようには見えるので、今後に注目かなと思います。

早稲田は約半数が推薦で早稲田大に行くので、実質的に外部受験するのは半分の母数です。仮に外部受験する人数を母集団として割合を出すと、東京一工医で33%ということで、栄光学園に近い数字になります。

渋幕・渋渋は共学校で女子も含まれているので同列で比較はできませんが、ここで挙げている学校群と渋幕・渋渋がだいたい同じくらいのところにいるというのがグラフからわかるかと思います。

私立大学現役合格者数(2021〜2023年)

私立大学は重複合格が多く合格率が意味をなさないので、合格者数を積み上げたグラフにします。ただ卒業生数もわかるようグレーで表しています。

注)早稲田は進学校としての比較ができるように、内部推薦を合格者数・卒業生数から除いた外部受験生の数だけで出しています。(なので実際には、これとは別に早稲田大学への内部進学者150〜160名程度がいるということになります)

(画像タップで拡大します)
早慶:早稲田大+慶應大、上理:上智大+東京理科大、MARCH:明治大+青山学院大+立教大+中央大+法政大
*合格者数データは各学校Webサイト、卒業生数は日能研入試情報より
*栄光学園・駒場東邦・渋幕の医学部データは進学情報誌さぴあより
*武蔵は合格者数ではなく進学者数の数字です
*早稲田は合格者数・卒業生数ともに内部推薦分を除いた数字です

このクラス帯の学校では、現役で国公立を受験する時に、難関私大を併願する人が多いかどうかで合格者数に大きな違いが出ます。これは、現役でダメだった場合に浪人で再チャレンジを選ぶのか、私大への現役進学を選ぶのかという、その学校のカルチャーというか雰囲気などが反映されていると考えられます。

という視点で見たとき、卒業生数のグレーのラインが突き抜けていれば私大受験者が少ないので再チャレンジ組が多い学校、ボックスの中(特に早慶など色の濃いところ)へ納まっていれば私大への現役進学が多い学校だろうと分類できます。

前者で代表的なのは麻布ですね。MARCHまで含めても卒業生数の100%にいかないので、私大ではなく浪人を選ぶのだと考えられます。栄光学園もMARCHまででほぼ100%です。

後者は海城・浅野・早稲田で、この3校は早慶をちょっと超えて上理の真ん中あたりで100%に到達しています。渋渋・渋幕も似ていますが、これは女子も含まれるためと想像します(女子の方が現役志向が強い傾向があるため)。

駒東はその中間というイメージでしょうか。

ちなみに武蔵は麻布型に見えますが、進学者数のみなので単純比較はできません。武蔵の数字を見るため、またその他の学校も進学率の雰囲気を見たいので、進学者数を出してくれている学校の進学者割合をグラフにしてみます。

(画像タップで拡大します)
*進学者数データは各学校Webサイト、卒業生数はインターエデュより
*栄光学園の国公立医学部はデータがないので、合格者全員が進学しているものとして点線で示します

最上位編で開成について、早慶の合格者数から進学者数の割合を出してみたところ17%でした。今回は同様にして栄光学園を出したところ23%ということで、私大合格者数の1/4程度が進学者数という感じです。

そして、これを使って武蔵の早慶合格者を計算すると105名となりました。これで早慶の割合をみると62%ということで、近いのは61%の駒東です。なので、駒東のグラフを参考に見ればいいのかなと思います。(逆も然りか)

それにしてもこの進学者割合グラフを早稲田以外の4校で見ると、現役進学率はほぼ6割で揃っていて、進学先が違っているだけというのは面白いなと思いますね。

海外大学合格者数(2019〜2023年)

最後に海外大学への合格者数です。単年度だと波が大きいので5年間の表を出します。

上位大学計全大学計20232022202120202019
駒場東邦381/ 30/ 01/ 20/ 01/ 3
栄光学園013/ 1/ 2/ 5/ 5/ 0
海城29424/ 717/ 206/ 131/ 11/ 1
浅野1100/ 11/ 90/ 00/ 00/ 0
麻布1120/ 20/ 20/ 00/ 61/ 2
*武蔵9195/ 102/ 32/ 3/ 10/ 2
*早稲田00/ 0/ 0/ 0/ 0/ 0
合格者数データは各学校Webサイトより
年度ごとの数字は[上位大学/全大学]となっています。空欄はデータが取れなかった年度です。
上位大学はTHE世界大学ランキング100位以内などを基準としています。具体的にはこちらの記事の指標となります。
具体的な合格大学名(上位大学)は各学校名のリンクからご覧ください。
*早稲田は進学情報誌さぴあより。
*武蔵は合格者数ではなく進学者数のみです。
(画像タップで拡大します)

ここで目立つのは海城で、ここ数年で急激に海外大合格者を増やしています。

あとは武蔵で、毎年必ず進学者が出ているようです(ただこちらは進学者分しかわからないので、実際どの辺りの学校にどのくらい合格しているのかわからないのが残念なところです)。

それ以外の学校はそれほど大きな動きがあるようには見えませんね。

ただ海城でも渋渋・渋幕には遠く及ばず、海外へという流れはまだ一部の特別な例という感じは受けます。とはいえ、最上位編で見た通り、渋幕と同程度の開成でも実際の進学者数は年で数人からせいぜい10人くらいなので、いずれにしても全体から見ればそれほど大きなボリュームにはなっていないと考えられます。そもそも奨学金枠など経済的な問題も大きいので、このデータは慎重に見るべきかなとは思います。

次ページへ続きます。

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