同偏差値帯の進学校を集めて横比較してみようという企画です。
大学合格実績や教育内容、入試情報などを深掘りし、グラフ化するなど見やすくして横比較していきます。
- 志望校や併願校をまだ絞り込めていない
- 東大ランキング以外の進学実績を見てみたい
- 教育内容・環境を横並びで比較してみたい
- 単純に国私立の中学・高校に興味がある
基本的には学校のWebサイトを中心とした公開情報をまとめたもので、表に出てこないような裏話ではなく、複数の学校を横比較することで見えてくるものを発見するという感じです。
記事全体の構成は次の通りです。
記事の全体構成
- 大学合格実績の比較[ページ1]
- 教育内容の比較[ページ2]
- 入試の比較[ページ3]
- まとめ[ページ3]
*ページ分けしているため、各ページの目次ではページ内の項目のみを表示しています。
データの羅列だけではつまらないのでそれぞれ簡単にコメントを入れていきます。極力第三者的な視点で書くつもりではありますが、それでも好みや主観は入ってしまうと思うのでそこは割り引いて見ていただければと思います。
今回は女子の最難関を取り上げます。
大学合格実績で見ると桜蔭1校だけが突出しているのでどう取り出すか迷いましたが、最終的に四谷大塚偏差値で70を超えているところを基準にしました。
で、桜蔭・女子学院・豊島岡の女子校3校を挙げたのですが、女子の場合は共学校も選択肢として割と大きな存在になっていると感じるので、渋谷教育学園幕張(渋幕)・渋谷教育学園渋谷(渋渋)も一緒に取り上げようと思います。
2022年のサピックス偏差値では渋幕も渋渋も今や桜蔭(62)以上になっていて、女子最上位層が選ぶ学校としては無視できない存在に見えます。
女子編だけで取り上げるのもどうかと思ったのですが、共学校編というのは色んな軸があってちょっと一括りにできない感じがしたのでこちらに入れることにしました。
一応男子編でも合格実績だけは比較対象として出したので、この記事と合わせてご覧いただければと思います。
ただし共学校の合格実績は男女合わせた数字になるので、完全にフラットな比較ではない点だけお気を付けください。
1. 大学合格実績の比較
大学合格実績は、昨今の現役重視の流れを汲んで現役合格のデータを使用します。
国公立大学現役合格率(2022年)
国公立大学は、卒業生数を現役合格者数で割った数字を合格率として集計します。


*合格者数データは各学校Webサイト、卒業生数はインターエデュより
*桜蔭の全データ、女子学院・豊島岡・渋幕の医学部データは進学情報誌さぴあより
*重複カウントを避けるため、旧帝大には東大・京大、医学部には東大理Ⅲと京大医学部、旧帝大と他国公立には医学部の数字を含みません
*桜蔭の他国公立大学はデータがないため反映されていません(私立・浪人に含まれます)
*渋幕の旧帝大は北大・東北大のみのデータです(それ以外の旧帝大は他国公立に含まれます)
一見して分かる通り桜蔭が頭ひとつ抜けている感じです。共学最難関といわれる渋幕・渋渋よりもだいぶ上で、もはや男子最上位の3校(筑駒・開成・聖光学院)と比較した方が良い感じになっています。
女子の場合、将来的な職業も考え医学部を目指す人も多いという話を聞くので、東大の数にこだわらず医学部までの数字で見た方が良いかなと思っています。
ということで、東京一工(東大・京大・一橋・東工大)に医学部を加えた黄色部分までを見てコメントしようと思いますが、桜蔭以外は大体20〜30%の間ということでそこまで学校間の差はないように見えます。
その中で、女子学院は東大が多め、豊島岡は医学部が多めという方向性の違いは割と明確に出ている感じがします。
渋渋・渋幕の2校は男女混ざった数字なので女子の実績というのは分かりませんが、そこと比較してもこの3校は国公立の数字でかなり健闘しているのではと個人的には思います。
私立大学現役合格者数(2022年)
私立大学は重複合格が多く合格率が意味をなさないので、合格者数を積み上げたグラフにします。ただ卒業生数もわかるようグレーで表しています。


*合格者数データは各学校Webサイト、卒業生数はインターエデュより
*桜蔭の全データ、女子学院・豊島岡・渋幕の医学部データは進学情報誌さぴあより
男子校の場合と大きく異なるのがこの私立大学グラフで、女子校の場合はどこも私立大学への現役合格者が多いという特徴があります。
グレーのバーが卒業生数なのですが、全ての学校で色塗りされた部分に埋まっている状態です。
桜蔭・女子学院・渋渋ではバーが早慶の枠内に収まっていて、要するに医学部+早慶だけで卒業生の100%を超えているイメージになります。豊島岡・渋幕でも100%に近しいところに着地します。
そして渋幕以外は、MARCHまでの合格人数で卒業生の2倍程度に達します。
女子の場合は現役志向が強いので、このあたりの学校は国公立を目指しつつも私大も受けているということなんでしょう。
海外大学合格者数(2018〜2022年)
最後に海外大学への合格者数です。単年度だと波が大きいので5年間の表を出します。
上位大学計 | 全大学計 | 2022 | 2021 | 2020 | 2019 | 2018 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
*桜蔭 | 33 | / 1 | / 9 | / 0 | / 19 | / 4 | ||||||
*女子学院 | 6 | 17 | 0 | / 0 | 4 | / 9 | 2 | / 6 | 0 | / 0 | / 2 | |
*豊島岡 | 11 | 27 | 3 | / 7 | 5 | / 9 | 3 | / 4 | 0 | / 2 | / 5 | |
渋谷渋谷 | 103 | 168 | 13 | / 30 | 24 | / 27 | 10 | / 15 | 27 | / 55 | 29 | / 41 |
渋谷幕張 | 65 | 143 | 8 | / 36 | 17 | / 30 | 21 | / 27 | 5 | / 15 | 14 | / 35 |
*年度ごとの数字は[上位大学/全大学]となっています。空欄はデータが取れなかった年度です。
*上位大学はTHE世界大学ランキング100位以内などを基準としています。具体的にはこちらの記事の指標となります。
*具体的な合格大学名(上位大学)は各学校名のリンクからご覧ください。
*桜蔭、女子学院(2018年)、豊島岡(2018年)は進学情報誌さぴあより


海外大学は一人で複数(5〜10校とか)合格を取ることが割と普通のようなので、総数よりは毎年コンスタントに出ているかを見た方が良いかなと思っています。
という視点だと、豊島岡は毎年必ず海外大学を取りに行く人がいるということがわかります。
桜蔭は学校Webサイトの合格実績に詳細がないので、残念ながらどんな大学にどのくらい行っているのかよくわかりません。
まあいずれにしても渋渋・渋幕の圧倒的な数の前では少なく見えますね。この2校での比較だと、渋渋の方が卒業生が2/3くらいなのに全合格者数も上位大学の数も多い状態なので、渋渋の方がより海外志向が強いのかなと思えます。
次ページへ続きます。
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