前ページからの続きです。
3. 入試の比較
最後に中学入試の比較です。
偏差値の推移
入手できている2009年以降の四谷大塚50偏差値を使います。ちなみに50偏差値表を見るのは、過去記事(50%偏差値表って何に使うの?)で書きましたが、50%偏差値が合否ラインになっていて難易度をより正しく表していると考えているためです。
まず男女で動きに大きな違いはなさそうなので、どちらを見てもよいかと思います。
10年前は渋幕1強+3校並列という構図だったところから、ここ数年で市川が一歩抜き出てきたように見えます。
それが大学合格実績にも現れてきているためこの流れは当面続いていくのかなと感じますし、そうなるとその先、渋幕との差をどこまで詰めていくことができるかまで焦点が当たってもおかしくはないかもしれません。
あと気になるのは昭和秀英の午後特別入試ですかね。
2018年の導入以来偏差値が年々上昇しており、それに引っ張られるかたちで別日程も後追いで上昇するというのは他校の例でもあるので、そういう動きになっていくのか要注目かと思います。
入試問題のポイント
続いて入試問題の違いについてです。これは四谷大塚中学案内に掲載されている情報を参照します。基本的には前年度の入試問題分析ですが、学校の傾向としてポイントだと思われるところにアンダーラインを引いておきます。
| 算数 | 国語 | 理科 | 社会 |
---|---|---|---|---|
渋谷幕張 | 大問5題の構成。題意を読み取る力、条件を まとめる力、思考力、そして計算力が求めら れる。過去問で出題傾向に慣れておきたい。 また、年によって難度の変動が大きいので、 どのような問題が出ても慌てることなく、解 けそうな問題を確実に解いていく冷静さも必 要。近年は一次入試で「定規・コンパスを 使った作図問題」が出題されていないが、二 次入試では出題が続いている。募集要項に 「定規コンパスの携行」の記載がある限り、 作図対策は怠れない。 | 大問2問構成。記述問題は昨年の4題から1 つ増えて5題に、そのうち2題が字数制限の あるもの(60字以内と70字程度)となってい る。言語事項は語意・慣用表現・文学史など であった。大人の視点で書かれた文章を、受 験生がいかに工夫して表現するかを見たい、 というのが本校の出題の最大の特色であろう。 | 「長文やデータから必要な内容・条件を読み 取る力があるか」「初見の内容と、これまで 学んだ知識や経験を結びつけてどのように課 題を解決するか」の2点がポイントとなり、 基本的な知識・計算力に加え、分析力・洞察 力が求められる。過去問演習の際は、問題文 や条件をよく読んで正しく把握することや、 理由を考えながら解くことを意識したい。ま た、机上の学習だけでなく、日常の生活や身 の回りのことに幅広く興味・関心を持ち、思 考することを心がけたい。 | 一次・二次とも昨年同様大問3題。出題分野 もほぼ例年通り。時事的なテーマを切り口に 政治分野を中心とした政治国際、歴史分野、 地理分野。例年、身の回りのものが取りあげ られている。現在の道具・制度・習慣などに ついて、その歴史や変遷を追いかけてみるこ とを心がけたい。初見の資料や図版などから 答えを導いていくため、基礎知識を活用して 「推理」する能力を鍛えていくこと。さらに は、論理的に思考するための基礎となる「読 む力」を身につけてるようにしたい。 |
市川 | 計算・一行問題が合わせて4問程度並んだ後、 大問形式の問題が4題程度並ぶ。易しい順に 並んでいないことも多く、大問では規則を読 み取る問題など、思考力が求められる。基礎 を固め、解ける問題を素早く探して正確に処 理する能力を鍛えよう。作図の問題も見られ るので、対策をしておきたい。 | 物語文(短編の全文)と論説風随筆の読解2 題に、やや難しい書き取り8問という出題構 成は変わらず。物語文は人物の様子と言動の 心情や理由を中心に表現の特色・人物像を、 随筆は筆者の考えの理由と詳細な説明に内容 合致を、5択の選択か記述(3問計190字) で問われた。 | 大問4題4分野から出題。物理は電気から太 陽光発電の問題が、生物は植物でレンコンを 題材にした問題が、物理はものの溶け方から、 地学は日食・月食の問題が出た。選択問題は 基本知識だけでは迷う問題も多く、思考力が 問われている。計算問題・記述・作図もあり、 思考力を問う入試問題を多く解きたい。 | 地理・歴史・政治の大問3題構成。設問数の わりに問題の分量が多く、比較的長めのもの も含めて記述問題が計4問出題されている。 全体に表やグラフ、地図や写真などを読み解 く問題が多いため、時間配分に注意が必要。 記号選択は複数の解答を答えさせるものが多 く、用語記述は多くが漢字指定となっている。 |
東邦大東邦 | 計算問題2問、一行問題4問程度、大問5題 の問題構成。極端に易しい問題も難しい問題 もなく、一行問題を含め、標準レベルの問題 が万遍なく出題される。学習成果が確実に反 映される問題なので、苦手分野を作らないよ う、典型題の解き方をしっかり身につけてお くことが大切である。 | 説明文と物語文の読解2題(言語事項の設問 を少し含む)という出題構成で、解答形式は すべて記号選択か抜き出し(後期もほぼ同じ) である。説明文は言いかえ箇所と筆者の考え の根拠と内容合致とを、物語文は人物の様子 や言動の意味・心情・理由などを問われた。 | 大問6題で、生物・化学分野から各2題、物 理・地学分野から各1題の出題。生物分野は 生き物のつながりと植物の性質、化学分野は 炭酸水素ナトリウムの熱分解と溶解熱、地学 分野は太陽と地球、物理分野は遠心力が出題 された。基礎知識をかためた上で、論理的に 思考する訓練も積んでおきたい。 | 大問3題構成。地理・歴史・政治がバランス よく出題。カラー写真や色づけされたグラフ から発展的な問題が毎年出題される。難易度 が高く見れるが、基礎・基本の理解と知識を 正しく使いこなして解答。物事の因果関係を 論理的に理解する学習を心がける。記号選択 の多くは選択肢が多く、正誤の正確な判断が 必要。 |
昭和秀英 | 一行問題が小設問数8問程度、大問3題の問 題構成。前半は基本的な問題が多いので、確 実に得点しておきたい。幅広い分野から出題 されているが、図形問題の出題が目立つ。大 問の中には途中式や考え方を書かせるものも あるので、日頃から丁寧に式を書く習慣を身 につけたい。 | 説明文と物語文の共に短め読解2題(書き取 り・文中語句の意味などを含む)が出題。説 明文は言いかえ・文章整理・内容合致などを 通して文脈の正確な読み取りと筆者の考えを、 物語文は人物の言動・心情とその理由を、記 号選択と記述5問(30~60字)で問われた。 傾向の異なる午後の試験は要注意。 | 4分野から出題。物理は2題で、音・ドップ ラー効果1題、圧力1題。化学は水や物質の 状態変化、生物は昆虫、地学は気象から前線 の問題、防災気象情報が出た。定番の問題も あるが、問題文を読み取り思考する問題、時 事問題、作図、一部に難問の計算問題もあり、 思考させる過去問演習を重ねたい。 | 大問は昨年と同じ5題構成。地理は統計資料 や地図を活用したものが多く、日ごろから統 計資料や地図帳に慣れ親しむことが重要。歴 史は歴史上のできごとのならべかえや人物名 を問う問題が例年出題されている。政治は時 事的な話題を切り口とした出題が多い。記述 問題は2問出題、要点を的確に説明できる力 が必要。 |
全体として偏差値なりの難度なのかなという感じです。東京都からの前受けも多く受験者数が多いのですが、その割には記述問題もそれなりにありそうです(東邦大東邦以外)。
4. まとめ
以上、千葉最上位となるであろう4校をまとめました。何かの気付きになったり判断材料になるものが少しでもあればと思います。
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