中学受験を選択する際の検討項目として外せないであろう、大学附属校について調査します。私立大学は系列化・付属校化の動きが活発で、総合選抜型(AO)入試との相乗効果で一般入試が徐々に狭き門になってきているという話があります。その辺りも含め、上位私立大学の付属校を見ていくことで解き明かしたていきたいと思います。
学校案内的な内容にも多少触れますが、それよりも入学定員や進学先といった数字を追いかけていくことにフォーカスします。これによって、慶應を目指そうとしたときに、小学校・中学・高校・大学受験のどの段階からどの学校を目標にするかといったような、戦術面を考えられるような材料を提供できればと思っています。
- 慶應義塾の各学校を全体像として掴みたい
- 志望校の方向性について迷っている
(大学付属校か進学校かなど) - 中学受験・高校受験・大学受験を考える上での検討材料がほしい
親世代よりも受験事情は複雑になってきているので、大学受験からはじまる受験全体の大きな流れを見るのにも活用していただければと思います。
大学入学定員の全体像
まずは慶應義塾大学の入学定員についてざっとまとめます。
総計 | 文学部 | 経済学部 (A+B) | 法学部 法律学科 | 法学部 政治学科 | 商学部 (A+B) | 医学部 | 理工学部 | 総合政策 学部 | 環境情報 学部 | 看護医療 学部 | 薬学部 薬学科 | 薬学部 薬科学科 | |
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入学定員 | 6402名 | 800名 | 1200名 | 600名 | 600名 | 1000名 | 110名 | 932名 | 425名 | 425名 | 100名 | 150名 | 60名 |
外部入試計 | 4921名 | 700名 | 670名 | 420名 | 420名 | 800名 | 66名 | 845名 | 375名 | 375名 | 70名 | 130名 | 50名 |
一般選抜 | 3656名 | 580名 | 630名 | 230名 | 230名 | 600名 | 66名 | 650名 | 225名 | 225名 | 70名 | 100名 | 50名 |
総合型選抜 | 580名 | 120名 | 80名 | 80名 | 若干名 | 150名 | 150名 | 若干名 | |||||
学校推薦型(指定校) | 585名 | 80名 | 80名 | 200名 | 195名 | 30名 | |||||||
帰国生入試 | 若干名 | 20名 | 10名 | 10名 | 若干名 | 若干名 | 若干名 | 若干名 | 若干名 | 若干名 | 若干名 | 若干名 | |
IB入試 | 10名 | 10名 | |||||||||||
外国人留学生入試 | 若干名 | 20名 | 10名 | 10名 | 若干名 | 若干名 | 若干名 | 若干名 | 若干名 | 若干名 | 若干名 | 若干名 | |
外部入試割合 (一般選抜のみ) | 77% (57%) | 88% (73%) | 56% (53%) | 70% (38%) | 70% (38%) | 80% (60%) | 60% (60%) | 91% (70%) | 88% (53%) | 88% (53%) | 70% (70%) | 87% (67%) | 83% (83%) |
内部推薦4校合計 (2022年度実績) | 1364名 | 48名 | 405名 | 208名 | 208名 | 154名 | 41名 | 181名 | 40名 | 57名 | 0名 | 18名 | 4名 |
定員ベースでの外部入試割合は全体で77%です。要するに1/5強は内部進学生であるということになります。
学部ごとに見ていくと、経済学部・医学部・法学部・看護医療学部では外部が7割以下、つまり内部進学の割合が多いというのがわかります。慶應の看板学部とも言われる経済学部は、半分近くが内部生であるというのはおさえておきたい数字かもしれません。
さらに言うと、従来型の学力試験である一般選抜は全体でも6割を切り、法学部に至っては38%しか枠がない(内部進学や総合型選抜、指定校推薦が多い)というのが数字として出ています。
今後どう進んでいくのかはわかりませんが、世の中全体の空気感として学力試験から脱却していこうという流れがあることを念頭におくと、向かう方向性がどっちにあるかは明らかではと思います。
以上が大学入試における現状認識です。
これを踏まえ、入学者の1/5強を占めることになる内部進学ルートについて深掘りしていきましょう。
内部進学ルートの全体像
慶應義塾の系列校は小中高ごとに複数あります。
- 高校
- 慶應義塾高校(塾高)
- 慶應義塾志木高校(志木高)
- 慶應義塾女子高校(女子高)
- 湘南藤沢高等部(湘南藤沢/SFC)
- 慶應義塾ニューヨーク学院
- 中学校
- 普通部
- 中等部
- 湘南藤沢中等部(湘南藤沢/SFC)
- 小学校
- 幼稚舎
- 横浜初等部
進学先がやや複雑なので、それぞれの進学人数も加味して、大学までの内部進学ルートを図にしてみます。矢印の太さは人数を表現しています。

・各入試からの入学者は募集定員を記載
・慶應義塾ニューヨーク学院(高校課程)は省略
ざっくり言葉にまとめます。
細かく言えばこの矢印以外のルート(幼稚舎から湘南藤沢中等部など)もわずかにありますが、中等部のサイトに「2024年度より湘南藤沢高等部への内部進学はできなくなる」との記載もあり、原則的な進学ルートは上の図のイメージになると考えられます。
男子校の塾高・志木高の高校入試枠が大きいので、男子は高校受験が最も間口が大きくなっています。一方で女子については女子高の枠が小さく、さらに共学の中等部・幼稚舎でも女子枠が半分だったりするので、どの段階から狙うにしても女子には相当厳しいと言えます。
とりあえず慶應ならどの学校でもいい!というコスパだけで考えるなら、男子限定で高校受験が良いと言えなくはないと思いますが、そんな視点だけで学校選びをするのもつまらないので、この先はもう少し各学校を深掘りして見ていこうと思います。
高校
高校は、慶應義塾高校(男子校)、慶應義塾志木高校(男子校)、慶應義塾女子高校(女子校)、慶應義塾湘南藤沢高等部(共学校)、慶應義塾ニューヨーク学院の5校があります。
このうち湘南藤沢高等部については、湘南藤沢中等部との中高一貫教育が主体で、高校からの募集は一部のみであるため、中学校の欄でまとめて掲載します。またニューヨーク学院は、日本から一般的に受験する位置付けの学校ではないと思うのでここでは割愛します。
慶應義塾高等学校
元々は大学予科として発足し、戦後の学制改革によって普通部が中学校となったことにより、小・中・高・大までの一貫教育を担う高校として位置付けられました。大学の日吉キャンパスの一角に立地する男子校で、図書館など大学の施設を利用することもできます。

校風・教育の特徴など
- 40人×18クラスの大規模校。普通部・中等部からの内部進学生(男子)のほとんどがこの学校へ進学し、約半数を占める。
- 1・2年次は全科目必修、3年次も必修科目を中心に学習し幅広く豊かな知性と教養を獲得する。3年次は選択科目を置き、大学進学を視野に入れた準備をしていく。ただ課題はあまり出ないので、自ら勉強する姿勢がないと落ち込んでいく可能性もあり注意が必要。
- 部活動が盛んで、大規模校を活かした多様なクラブがある。直近では2023年春の甲子園に出たことも有名。
入学者数の内訳は、外部生と内部生が半々くらいのようです。
年度 | 入試より | 普通部より | 中等部より | 生徒数 |
---|---|---|---|---|
2023年度入学 | 342名 | (256名?) | 137名 | 735名 |
入試情報
推薦入試:第1次選考(書類審査)[1月16日提出]⇒第2次選考(面接・作文)[1月23日]
一般・帰国生入試:第1次試験(国語・英語・数学)[2月10日]⇒第2次試験(面接)[2月13日]
年度 | 区分 | 一般 | 推薦 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
定員 | 受験者数 | 1次合格者 | 合格者数 | 実質倍率 | 定員 | 受験者数 | 1次合格者 | 合格者数 | 実質倍率 | ||
2023年度 | 一般 | 330名 | 1206名 | 575名 | 457名 | 2.6倍 | 40名 | 89名 | 55名 | 41名 | 2.2倍 |
帰国 | 若干名 | 52名 | 34名 | 24名 | 2.2倍 | ||||||
2022年度 | 一般 | 330名 | 1173名 | – | 479名 | 2.4倍 | 40名 | 92名 | 60名 | 40名 | 2.3倍 |
帰国 | 若干名 | 73名 | – | 38名 | 1.9倍 | 23名 | |||||
2021年度 | 一般 | 330名 | 1017名 | – | 470名 | 2.2倍 | 40名 | 81名 | 49名 | 40名 | 2.0倍 |
帰国 | 若干名 | 66名 | – | 37名 | 1.8倍 | 22名 | |||||
2020年度 | 一般 | 330名 | 1141名 | 552名 | 445名 | 2.6倍 | 40名 | 102名 | 60名 | 40名 | 2.6倍 |
帰国 | 若干名 | 96名 | 48名 | 45名 | 2.1倍 | 33名 |
実質倍率は概ね2倍から3倍といったところで、年によって二次試験(面接)があったりなかったりします。中学での内申が良ければ、推薦入試と一般入試の2回チャンスがあるのが今どきの高校受験の特徴ですね。
学費
入学金 | 340,000円 |
年学費 | 971,000円 |
授業料 教育充実費 保護者会費 生徒会費 | 750,000円 200,000円 13,000円 8,000円 |
総額(塾高卒業まで) | 3,253,000円 |
進学先
年度 | 卒業生数 | 推薦数 | 推薦 進学率 | 文 | 経済 | 法-法律 | 法-政治 | 商 | 医 | 理工 | 総合政策 | 環境情報 | 看護医療 | 薬-薬 | 薬-薬科 | 他大等 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2022年度 | 724名 | 711名 | 98.2% | 15名 | 210名 | 112名 | 112名 | 93名 | 22名 | 102名 | 16名 | 20名 | 0名 | 5名 | 3名 | 13名 |
2021年度 | 706名 | 699名 | 99.0% | 12名 | 211名 | 112名 | 112名 | 93名 | 22名 | 102名 | 11名 | 21名 | 0名 | 3名 | 0名 | 7名 |
2020年度 | 732名 | 726名 | 99.2% | 20名 | 210名 | 112名 | 112名 | 95名 | 22名 | 100名 | 24名 | 27名 | 0名 | 2名 | 2名 | 6名 |
2019年度 | 808名 | 797名 | 98.6% | 21名 | 230名 | 112名 | 112名 | 115名 | 22名 | 109名 | 32名 | 42名 | 0名 | 2名 | 0名 | 11名 |
2018年度 | 680名 | 669名 | 98.4% | 10名 | 210名 | 112名 | 112名 | 95名 | 23名 | 83名 | 10名 | 10名 | 0名 | 4名 | 0名 | 11名 |
18クラスという大規模校で、男子の内部進学生をほぼ受け入れながらもそれなりの規模の外部募集があります。学校の内容や好みなどは一旦無視して「慶應に入る」という点だけにフォーカスするなら、それなりの規模感のあるこの入試が狙いやすいという見方もできそうです。(とはいえ難易度は高いでしょうが)
慶應義塾志木高等学校
戦後に慶應義塾農業高校として開校し、その後普通高校へ転換した経緯をもつ男子校です。埼玉県の志木に立地し、森に囲まれた自然豊かなキャンパスで学生生活を送ります。

校風・教育の特徴など
- 自由な校風で、日常での制服着用義務や校則もほとんどない。
- 24言語という言葉と文化を学ぶ授業や、ディベート通して学ぶ授業、レポート課題、演習・実習形式など、大学受験の枠にとらわれない独自の教育が行われている。
- 受験をして入ってくる外部生がほとんどで入学時の学力レベルが高く、課題も多めで塾高に比べて勉強量は多いとのこと。
入試情報
自己推薦入試:第1次選考(書類選考)[1月5日提出]⇒第2次選考(面接)[1月23日]
一般・帰国生入試:1次試験(国語・数学・英語)[2月7日]⇒2次試験(面接)[2月11日]
年度 | 区分 | 一般 | 推薦 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
定員 | 志願者数 | 1次合格者 | 合格者数 | 実質倍率 | 定員 | 志願者数 | 1次合格者 | 合格者数 | 実質倍率 | ||
2023年度 | 一般 | 190名 | 1105名 | 532名 | 348名 | 3.2倍 | 40名 | 104名 | 80名 | 46名 | 2.3倍 |
帰国 | 若干名 | 59名 | 32名 | 22名 | 2.7倍 | ||||||
2022年度 | 一般 | 190名 | 1149名 | 610名 | 352名 | 3.3倍 | 40名 | 113名 | 80名 | 48名 | 2.4倍 |
帰国 | 若干名 | 82名 | 46名 | 30名 | 2.7倍 | ||||||
2021年度 | 一般 | 190名 | 1106名 | 518名 | 329名 | 3.4倍 | 40名 | 154名 | 80名 | 41名 | 3.8倍 |
帰国 | 若干名 | 70名 | 42名 | 28名 | 2.5倍 | ||||||
2020年度 | 一般 | 190名 | 1267名 | 548名 | 340名 | 3.7倍 | 40名 | 146名 | 80名 | 43名 | 3.4倍 |
帰国 | 若干名 | 104名 | 54名 | 40名 | 2.6倍 |
埼玉県に立地し都内の学校とは入試日程がずれていることもあり、倍率や難易度は塾高よりもやや高めです。
学費
入学金 | 340,000円 |
年学費 | 1,007,500円 |
授業料 教育充実費 生徒会費 PTA会費 諸費用* | 760,000円 200,000円 5,500円 12,000円 30,000円 |
総額(志木高卒業まで) | 3,362,500円 |
*諸費用は学校行事の費用等のために預かるもので卒業時に精算
進学先
年度 | 卒業生数 | 推薦数 | 推薦 進学率 | 文 | 経済 | 法 | 商 | 医 | 理工 | 総合政策 | 環境情報 | 看護医療 | 薬 | 他大等 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2022年度 | 237名 | 234名 | 98.7% | 13名 | 80名 | 74名 | 20名 | 7名 | 33名 | 2名 | 5名 | 0名 | 0名 | 3名 |
2021年度 | 243名 | 241名 | 99.2% | 12名 | 79名 | 74名 | 21名 | 5名 | 39名 | 1名 | 9名 | 0名 | 1名 | 2名 |
2020年度 | 255名 | 252名 | 98.8% | 13名 | 80名 | 74名 | 19名 | 7名 | 50名 | 4名 | 5名 | 0名 | 0名 | 3名 |
2019年度 | 256名 | 254名 | 99.2% | 25名 | 80名 | 74名 | 22名 | 7名 | 33名 | 3名 | 9名 | 0名 | 1名 | 2名 |
2018年度 | 243名 | 242名 | 99.6% | 18名 | 73名 | 74名 | 30名 | 7名 | 37名 | 1名 | 0名 | 0名 | 2名 | 1名 |
日程的に開成など都内のトップ高校との併願ができるため、難易度は高めのようです。男子は志木高→塾高と併願ができ、内申によっては推薦入試と2回受けることもできるので、チャンスが多いというのは良いですね。
慶應義塾女子高等学校
慶應義塾内で唯一の女子校で、高校過程の女子生徒は原則ここに進学することになります(中高一貫校である湘南藤沢中高と海外校であるニューヨーク校以外)。大学の三田キャンパスに隣接し、大学施設を利用することもできます。

校風・教育の特徴など
- 細かな校則で型にはめるのではなく、それぞれの個性を尊重しながら、自由な雰囲気の中で共に学ぶ学校。
- 2年次から選択科目があり、第二外国語や大学教員が担当する専門的な内容の授業を履修することもできる。
- 入学者数の内訳は、外部生と内部生が半々くらい。
年度 | 入試より | 中等部より | 生徒数 |
---|---|---|---|
2023年度入学 | 99名 | 91名 | (190名) |
入学試験
推薦入試:書類選考[1月15日提出]⇒試験(適性検査・面接)[1月22日]
一般・帰国生入試:筆記試験(国語・英語・数学・作文)[2月10日]
年度 | 区分 | 一般 | 推薦 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
定員 | 受験者数 | 合格者数 | 補欠合格数 (入学許可) | 実質倍率 | 定員 | 受験者数 | 合格者数 | 実質倍率 | ||
2023年度 | 一般 | 80名 | 450名 | 131名 | 9名 | 3.2倍 | 20名 | 113名 | 25名 | 4.5倍 |
帰国 | 若干名 | 42名 | 17名 | 1名 | 2.3倍 | |||||
2022年度 | 一般 | 80名 | 437名 | 127名 | 0名 | 3.4倍 | 20名 | 143名 | 24名 | 6.0倍 |
帰国 | 若干名 | 60名 | 22名 | 0名 | 2.7倍 | |||||
2021年度 | 一般 | 80名 | 438名 | 130名 | 0名 | 3.4倍 | 20名 | 120名 | 24名 | 5.0倍 |
帰国 | 若干名 | 56名 | 23名 | 0名 | 2.4倍 | |||||
2020年度 | 一般 | 80名 | 454名 | 137名 | 0名 | 3.3倍 | 20名 | 113名 | 25名 | 4.5倍 |
帰国 | 若干名 | 51名 | 20名 | 0名 | 2.6倍 |
女子の高校受験枠はほぼこの学校しかなく、定員も少ないので入学のハードルはかなり高そうです。
学費
入学金 | 340,000円 |
年学費 | 903,000円 |
授業料 教育充実費 生徒会費 保護者会費 | 690,000円 200,000円 8,000円 5,000円 |
総額(女子高卒業まで) | 3,049,000円 |
進学先
年度 | 卒業生数 | 推薦数 | 推薦 進学率 | 文 | 経済 | 法-法律 | 法-政治 | 商 | 医 | 理工 | 総合政策 | 環境情報 | 看護医療 | 薬-薬 | 薬-薬科 | 他大等 |
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2021年度 | 不明 | 189名 | 15名 | 55名 | 27名 | 27名 | 25名 | 5名 | 9名 | 7名 | 11名 | 0名 | 8名 | 0名 |
他の系列高校と違い、外部受験して他大に合格した実績も掲載されています。
2022年 | 北里大学医学部/東京歯科大学歯学部/東京大学文科一類/ 東京医科歯科大学医学部/順天堂大学医学部/東京女子医科大学医学部 |
慶應医学部の推薦枠が5つと少ないので、医学部志望者で外部受験する人が毎年いるようです。
別ルートの湘南藤沢(とニューヨーク校)以外では、女子の高校はこの学校のみになります。それにしては内部生も外部生も枠が小さいので(共に100人程度)、女子が付属校から入るのはなかなか厳しい戦いになるのではと感じます。
中学校
慶應義塾の中学校は、普通部(男子校)・中等部(共学校)・湘南藤沢中等部(共学校)の3校があります。それぞれ内部からの進学者と、外部から受験して入学してくる生徒がいます。
普通部
最も歴史が古く、慶應義塾の王道とされている(?)普通部です。立地は大学キャンパスと同じ日吉駅ですが、線路を挟んだ反対方向(5分ほど歩いた場所)にあります。

校風・教育の特徴など
- 受験を離れて、どの科目も満遍なく基礎・基本を確実に身につけさせ、学問の本質を探求する。
- 2・3年生は40人学級(6クラス)に対し、1年生は24人の少人数学級(10クラス)で、普通部生活に慣れるまで指導を手厚くしている。
- 労作展(自身でテーマを設定し数ヶ月かけてひとつの作品・研究を作る)と、目路はるか教室(卒業生による授業や講演)が代表的な行事。
- 進級基準を満たさない場合は再修(留年)となる。再修できるのは1回のみ(1学年を2回まで)、それを越えた場合は退学となる。
入学試験
筆記(国語・算数・社会・理科)、面接試問(本人のみ)、体育実技[2月1日]
年度 | 定員 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
---|---|---|---|---|
2023年度 | 180名 | 557名 | 195名 | 2.9倍 |
2022年度 | 180名 | 575名 | 205名 | 2.8倍 |
2021年度 | 180名 | 563名 | 195名 | 2.9倍 |
2020年度 | 180名 | 589名 | 180名 | 3.3倍 |
2019年度 | 180名 | 594名 | 180名 | 3.3倍 |
学費
入学金 | 340,000円 |
年学費 | 1,198,000〜1,345,000円 |
授業料 教育充実費 普通部会費 保有金 林間・自然学校費用 その他 | 880,000円 200,000円 15,000円 95000円/55000円/85000円 55000円/48000円/45000円 100,000円(1年生) |
総額(普通部卒業まで) | 4,108,000円 |
総額(塾高卒業まで) | 7,361,000円 |
また任意で慶應義塾債(10万円×3口以上、大学卒業時に返還)、教育振興資金(年額3万円以上)があります
出典:慶應義塾普通部 普通部の学費・費用
進学先
進学先の数字は公開情報がありませんでしたが、ほとんどが慶應義塾高校へ進学していると思われます。
2月1日〜3日まで普通部・湘南藤沢・中等部と日程が分かれているため、男子の場合は最大で3校併願することも可能です。問題傾向が違うので3連戦はおすすめされないと思いますが、選択肢が多いというのはメリットですね。
慶應義塾中等部
戦後に創設された共学校で、大学本部のある三田キャンパスの隣に位置しています。

校風・教育の特徴など
- 制服はなく(式典等で着る基準服はあり)校則もほとんどなく原則自由で、生徒一人一人を「独立」「自立」した一人の個人として大人扱いする
- 慶應義塾の大学を卒業して社会の中枢の人物になり得る素地を作るために、いろいろな学問の基礎を学び、様々な体験を積み重ねる教育を行う。英語Ⅲでは本人の希望や習熟度に応じた少人数クラス授業、技術・家庭と国語演習・数学演習でもクラスを2つに分けた少人数教育を行なっている。
- 3年次に週2時間の選択授業があり、落語・小説・書道・法律学・SDGs・実習・外国語など、教科に捉われず教員の専門や特技を活かした内容を、自分の興味・関心に合わせて受講する。
各学年の人数は次の通り(2023年度)。内部生割合は、男子は2割程度に対し女子は約半数となっています。
1年生 | 2年生 | 3年生 | |
---|---|---|---|
男子 | 156 (28) | 156 (14) | 157 (25) |
女子 | 96 (47) | 96 (47) | 97 (40) |
入学試験
一次試験(国語・社会・理科・算数)[2月3日]
→二次試験(体育・保護者同席の面接)[2月5日]
年度 | 区分 | 定員 | 受験者数 | 1次合格 | 合格者数 | 補欠合格 | 実質倍率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
2023年度 | 男子 | 120名 | 697名 | 289名 | 135名 | 38名 | 5.2倍 |
女子 | 60名 | 352名 | 110名 | 58名 | 29名 | 6.1倍 | |
2022年度 | 男子 | 120名 | 891名 | 304名 | 140名 | – | 6.4倍 |
女子 | 60名 | 372名 | 115名 | 60名 | – | 6.2倍 | |
2021年度 | 男子 | 120名 | 891名 | 312名 | 158名 | 33名 | 5.6倍 |
女子 | 60名 | 395名 | 117名 | 62名 | 21名 | 6.4倍 |
定員が少ないこともあって、男女ともに超がつく高倍率です。こうなると実力はさることながら、運の要素も必要になってくる気がします。
学費
入学金 | 340,000円 |
年学費 | 1,085,000円 |
授業料 教育充実費 諸会費 | 870,000円 200,000円 15,000円 |
総額(中等部卒業まで) | 3,595,000円 |
総額(男子:塾高卒業まで) | 6,848,000円 |
総額(女子:女子高卒業まで) | 6,644,000円 |
出典:慶應義塾中等部 生徒募集
進学先
塾高 | 志木 | 女子 | 湘南藤沢 | ニューヨーク | 他校 | 合計 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2023年度 | 男子 女子 | 137 – | 4 – | – 91 | 10 0 | 1 2 | 4 1 | 156 94 |
出典:慶應義塾中等部 学校生活
ほとんどの生徒が慶應義塾高校(男子)・慶應義塾女子高校(女子)に進学しています。他校へ進学する生徒も数名はいるようです。
女子は選択肢が少ない(中等部か湘南藤沢しかない)のに、さらに中等部の募集定員は男子の半分しかありません。男子の倍率も高いですが女子はさらに狭き門で、親子面接もあって対策も必要と考えると、ちょっと大変すぎやしないかという感想しか個人的にはありません。
慶應義塾湘南藤沢中等部・高等部
1990年代はじめに作られた湘南藤沢キャンパス内に位置する中学・高校で、中高一貫教育を行なっているのは慶應義塾の中では唯一です。

校風・教育の特徴など
- 生徒の自主性を尊重し、通学時はスラックス/スカートのみ学校指定である以外は基本的に自由。校則も「社会の良識が本校の校則」との考え方に基づき細かい校則を設けていない。
- 国際理解:帰国生入試の生徒が中等部20%、高等部25%と高い割合を占め、異文化の交流が自然な形で学校の中で生まれている。英語は、中1・2は3段階、中3以降は2段階のレベル別クラス分けで授業が行われる。また、多数の海外留学プログラムや留学生受け入れが行われている。
- 情報教育:中等部で独自の「情報」授業でスキルを学び、ほぼ全ての教科での文書作成やプレゼンテーションなどの取り組みを通して身につける。低学年はスキル(実習)重視に対し、高学年は知識重視で深い考察や話し合いを行う。
- 特別カリキュラム(文学や芸術、生活密着の講座)、大学につながる選択授業(論文実習、データ科学、動乱の世界史、地球・惑星の科学)、福澤先生記念講演会(慶應義塾にゆかりの深い方による講演会)など特色のある教育
2023年度入試における中等部入学予定者数は次の通りです。内部生割合は4割程度、男女比はほぼ同数(やや男子が多め程度)になっています。また、高等部からの外部入学者は40名前後のようです。
一般入試 | 帰国生入試 | 内部進学 幼稚舎 | 内部進学 横浜初等部 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|
男子 | 30名 | 19名 | 3名 | (約6割) | |
女子 | 41名 | 20名 | 1名 | (約4割) | |
合計 | 71名 | 39名 | 4名 | 104名 | 218名 |
入試情報
中等部入試
一般生入試・帰国生入試:
一次試験(4科目/3科目*)[2月2日]→二次試験(保護者同席の面接・体育)[2月4日]
* 4科目[国語・社会・理科・算数]または3科目[国語・英語・算数]より選択
年度 | 区分 | 定員 | 受験者数 | 1次合格 | 合格者数 | 繰上合格 | 実質倍率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
2023年度 | 一般 | 70名 | 405名 | 191名 | 86名 | 2名 | 4.6倍 |
帰国 | 30名 | 106名 | 71名 | 40名 | 4名 | 2.4倍 | |
2022年度 | 一般 | 70名 | 481名 | 194名 | 79名 | – | 6.1倍 |
帰国 | 30名 | 148名 | 85名 | 41名 | – | 3.6倍 | |
2021年度 | 一般 | 70名 | 471名 | 192名 | 85名 | – | 5.5倍 |
帰国 | 30名 | 157名 | 87名 | 41名 | – | 3.8倍 |
定員は男女合わせた数字なので非常に狭い枠であり、実質倍率も高くなっています。
高等部入試
全国枠入試:第一次選考(書類選考) →第二次選考(面接)[2月12日]
帰国生入試:国語(課題型小論文)・数学・面接(日本語と英語)[2月12日]
年度 | 区分 | 定員 | 書類合格 | 受験者数 | 合格者数 | 繰上合格 | 倍率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
2023年度 | 全国 | 若干名 | 12名 | 12名 | 6名 | 0名 | 2.0倍 |
帰国 | 20名 | – | 124名 | 47名 | 14名 | 2.0倍 |
学費
入学金 | 340,000円* |
年学費 | 1,175,000円 |
授業料 教育充実費 その他費用 | 880,000円 270,000円 25,000円 |
総額(中等部〜高等部卒業まで) | 7,560,000円 |
出典:慶應義塾一貫教育校 学費
進学先
年度 | 卒業生数 | 推薦数 | 推薦 進学率 | 文 | 経済 | 法-法律 | 法-政治 | 商 | 医 | 理工 | 総合政策 | 環境情報 | 看護医療 | 薬-薬 | 薬-薬科 | 他大等 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2022年度 | 232名 | 231名 | 99.6% | 5名 | 60名 | 32名 | 32名 | 16名 | 7名 | 37名 | 15名 | 21名 | 0名 | 5名 | 1名 | 1名 |
2021年度 | 237名 | 236名 | 99.6% | 8名 | 56名 | 32名 | 32名 | 17名 | 7名 | 42名 | 15名 | 19名 | 4名 | 3名 | 1名 | 1名 |
2020年度 | 231名 | 230名 | 99.6% | 8名 | 52名 | 32名 | 32名 | 22名 | 7名 | 27名 | 20名 | 25名 | 2名 | 2名 | 1名 | 1名 |
2019年度から横浜初等部の進学先になったため、中学受験の定員が減り狭き門となりました。立地的なところも含め色々ハードルが高い学校ですが、教育内容からも根強い人気が伺えます。
小学校
慶應義塾の小学校には、幼稚舎と横浜初等部の2校があります。幼稚舎についてはその名前から幼稚園と間違われることも多いですが、慶應系列の幼稚園はなく、この2校は小学校です。
慶應義塾幼稚舎

大使館の立ち並ぶ広尾に立地する、慶應ブランドを象徴する由緒正しき(?)幼稚舎です。
校風・教育の特徴
- 担任持ち上がり制:6年間クラス替えがなく担任も変わりません。子どもたちは6年間の日々の共通体験により、一生の友や一生の恩師を生み出していくことになります。
- 教科別専科制:担任が受け持つのは国語・社会・算数・総合・体育の一部のみ、そのほかの科目は専任の教員が担当し複数の目で子供を見ることになります。
- 体育活動:春は短距離走やリレー・長距離走、夏は水泳(全員が卒業までに1000m完泳を目指す)、秋は運動会・体力測定・校内大会、冬は全校で毎朝の駆け足・縄跳びの記録作りなど、身体を鍛える活動が重視されています。校外活動でも、海浜学校でのミニマラソン、高原学校での登山、遠泳合宿やスキー合宿などがあります。
入学試験
11月1日〜10日のうち1日間
年度 | 区分 | 定員 | 受験者数 | 合格者数 | 実質倍率 |
---|---|---|---|---|---|
2023年度 | 男子 | 96名 | 931名 | 96名 | 9.7倍 |
女子 | 48名 | 499名 | 48名 | 10.4倍 | |
2022年度 | 男子 | 96名 | 929名 | 96名 | 9.7倍 |
女子 | 48名 | 558名 | 48名 | 11.6倍 | |
2021年度 | 男子 | 96名 | 990名 | 96名 | 10.3倍 |
女子 | 48名 | 568名 | 48名 | 11.8倍 |
小学校受験における最難関の一角と言われるだけあり、数字で見ても厳しい入試だということがわかります。男女ともに10人に1人しか受からないというのは凄まじいの一言です。
学費
入学金 | 340,000円 |
年学費 | 1,290,000円 |
授業料 教育充実費 文化費 給食費 | 960,000円 200,000円 25,000円 105,000円 |
総額(幼稚舎卒業まで) | 8,080,000円 |
総額(男子:幼稚舎→普通部→塾高卒業まで) | 14,928,000円 |
総額(女子:幼稚舎→中等部→女子高卒業まで) | 14,724,000円 |
出典:慶應義塾幼稚舎 入学試験Q&A
進学先
年度 | 区分 | 普通部 | 中等部 | 湘南藤沢 中等部 | 他校 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|
2022年度 (2023年3月卒業) | 男子 女子 | 61名 – | 32名 47名 | 3名 1名 | – – | 96名 48名 |
2021年度 (2022年3月卒業) | 男子 女子 | 51名 – | 39名 45名 | 3名 3名 | 3名 – | 96名 48名 |
2020年度 (2021年3月卒業) | 男子 女子 | 61名 – | 31名 43名 | – 5名 | 4名 – | 96名 48名 |
幼稚舎→普通部→塾高→大学が本物の慶應ボーイとかいう噂も。有名人のご子息が通われていることも少なくないと思われます。
慶應義塾 横浜初等部
横浜市青葉区に2013年に開校したばかりの新しい学校で、卒業後は湘南藤沢中高へ進学し小中高一貫教育を受けるというルートが設定されています。

校風・教育の特徴など
- 週6日授業と専科教員:十分な授業時間を使ったゆとりある教育と、専科教員により確かな学力の定着を図ります。宿題の量も幼稚舎に比べて多めなようです。
- 3つの柱:体験教育・自己挑戦教育・言葉の力の教育
- 独自科目:「書道・古典」「ことば」「生き方」「福澤先生の時間」など
入学試験
一次試験[11月11日]→二次試験[11月21日〜24日(期間中1日)]
年度 | 区分 | 定員 | 志願者数 | 合格者数 | 志願倍率 |
---|---|---|---|---|---|
2023年度 | 男子 | 66名 | 809名 | 66名 | 12.3倍 |
女子 | 42名 | 676名 | 42名 | 16.1倍 | |
2022年度 | 男子 | 66名 | 854名 | 66名 | 12.9倍 |
女子 | 42名 | 685名 | 42名 | 16.3倍 | |
2021年度 | 男子 | 66名 | 800名 | 66名 | 12.1倍 |
女子 | 42名 | 679名 | 42名 | 16.2倍 |
受験者情報がなく志願者数を元にした倍率になりますが、こちらも10倍を軽く超えていて、幼稚舎に負けず劣らずかなり狭き門ということがわかります。
学費
入学金 | 340,000円 |
年学費 | 1,530,000円 |
授業料 教育充実費 給食費 | 950,000円 470,000円 110,000円 |
総額(横浜初等部卒業まで) | 9,520,000円 |
総額(横浜初等部→湘南藤沢卒業まで) | 16,910,000円 |
最近創設されたためか、学校紹介では他の学校よりも現代的な言葉が並んでいます。基礎学力をベースとしながら、体験型学習・チャレンジ精神・プレゼン力を重視した教育を行い湘南藤沢中高での国際教育へと繋げていくというストーリーは、親ウケが悪いわけがありません。ここからの学費全てを計算すると目が飛び出ますが、学費を計算するような小市民はお呼びでないのかもしれません。
まとめ
以上、慶應義塾大学の入試と、附属校についてまとめました。
進学先の横比較
最後に進学先を一覧表でもう一度出しておきます。各学校とも2022年度のデータです(女子高以外)。
年度 | 卒業生数 | 推薦数 | 推薦 進学率 | 文 | 経済 | 法-法律 | 法-政治 | 商 | 医 | 理工 | 総合政策 | 環境情報 | 看護医療 | 薬-薬 | 薬-薬科 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
塾高 | 724名 | 711名 | 98% | 15名 | 210名 | 113名 | 112名 | 93名 | 22名 | 102名 | 16名 | 20名 | 0名 | 5名 | 3名 |
志木高 | 237名 | 234名 | 99% | 13名 | 80名 | 37名 | 37名 | 20名 | 7名 | 33名 | 2名 | 5名 | 0名 | 0名 | 0名 |
女子高* | 不明 | 189名 | – | 15名 | 55名 | 27名 | 27名 | 25名 | 5名 | 9名 | 7名 | 11名 | 0名 | 8名 | 0名 |
湘南藤沢 | 232名 | 231名 | 100% | 5名 | 60名 | 32名 | 32名 | 16名 | 7名 | 37名 | 15名 | 21名 | 0名 | 5名 | 1名 |
*2 2021年度データです
親世代の意識とのギャップ
もう一度、慶應義塾大学の入試で見たポイントを挙げてみます。
そして、親世代にはなかった(世代によっては一部始まっていた)のが次の2つです。
これらは私立大学全体の流れでもあり、少なくとも親世代の受験とは様相が変わっているというのはおさえておくべき視点でしょう。
だから附属校が得だとかいう単純な話ではなく、受験全体を俯瞰して見たときに早慶の影響は大きいので、まずはそんな視点で見ていただければいいのかなと思います。
それぞれの家庭の実情に合わせ、受験を考える際の材料にしてもらえればと思います。
最後に個人的な感想を入れておきます。今回挙げた中では、横浜初等科から湘南藤沢中高へ至るルートが個人的には魅力的に見えました。学力もある程度押さえた上で言語能力を磨き、帰国生もいる中高で国際的な視野に立った教育を受けるというのはとても現代的だと感じます。まあ学費を見なければ、ですが。
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