【大学附属】早稲田大学の附属校を徹底調査

学校の横比較シリーズ
早稲田大学

早稲田大学の附属校・系列校を深掘りします。早稲田は附属校と系列校が多数あり、入試形態や推薦枠も複雑なので、その辺りも含めて解き明かしていきたいと思います。

私立大学は系列化・附属校化の動きが活発で、総合型選抜への動きとの相乗効果で一般入試が徐々に狭き門になってきているという話があるので、上位私立校を見ていくことでその現状も見てみたいと思います。

学校案内的な内容にも多少触れますが、それよりも敢えて入学定員や進学先といった数字を追いかけていくことにフォーカスします。これによって、早稲田大学への入学ルートの全体像の把握や、現実的に小学校・中学・高校・大学受験のどの段階を目指すかといった戦術面を考える材料にもなればと思います。

こんな人におすすめ
  • 早稲田の各学校を全体像として掴みたい
  • 志望校の方向性について迷っている
    (大学付属校か進学校かなど)
  • 中学受験・高校受験・大学受験を考える上での検討材料がほしい

親世代よりも受験事情は複雑になってきているので、大学受験までの受験全体の大きな流れを見るのにも活用していただければと思います。

更新情報
  • 2024.4.22 2025年入試情報・2024年結果データに更新
  • 2023.6.1 初版公開
[AD]

大学定員と内部進学の全体像

大学入学定員の全体像

まずは早稲田大学の入学定員についてざっとまとめます。

データ出典:早稲田大学 入学センター(学部全体の入学定員はStudyplusより)
*内部進学枠は明示されておらず、入学定員から外部入試定員を引いて算出したものです(早稲田高校・シンガポール校のみ推薦定員を記載)

定員ベースの入学割合は、外部入試が82%・内部進学が18%となります。慶應に比べると、系列校の数が多い割には外部入試の割合が若干高めです。従来型の学力試験である一般選抜は56%と、半分強まで縮小しています。グラフにするとこんな感じです。

以前、早稲田大学が指定校を含めた推薦比率を6割に増やすというニュースが出て話題になりました。ただ出処と思われるYahooニュースの記事は削除されていて、元情報も見つからないので、このニュースの信憑性は疑わしいと個人的には思います。とはいえ毎年のように入試変更は行われていて、基本的には従来型の一般選抜は減る方向性にあるというのはその通りかと思います。

学部ごとの差はそこまで大きくなさそうですが、一般選抜が極端に少ない政治経済学部(39%)・国際教養学部(29%)といった辺りが目立ちます。早稲田の看板学部と言われる政治経済学部で内部進学が最も多い(34%)というのはおさえておきたいところかもしれません。

看板学部や人気学部で内部進学が多いというのが、慶應とも共通した特徴のように見えます。(一般選抜の人数が少ないために難易度が高く見える、という逆の見方もできるのかもしれませんが)

文系・理系で分けるとこんな感じです。

(政治経済・法・教育・商・社会科学・国際教養・文化構想・文学部で集計)
(基幹理工・創造理工・先進理工学部で集計)
(人間科学・スポーツ科学部で集計)

文系・理系でそれほど目立った違いはないかなというのが印象で、どちらも一般選抜は5割強といったところです。

内部進学ルートの全体像

早稲田大学の系列校は以下の通りです。

  • 早稲田大学 高等学院・高等学院中学部(早大学院)
  • 早稲田大学 本庄高等学院(早稲田本庄)
  • 早稲田実業学校 高等部・中等部・初等部(早実)
  • 早稲田中学校・高等学校
  • 早稲田佐賀中学校・早稲田佐賀高等学校
  • 早稲田大阪高等学校(旧・早稲田摂陵高等学校)
  • 早稲田渋谷シンガポール校(高校課程)

このうち、早稲田大学と名前のつく2校が直系の附属校(学校法人が早稲田大学)、それ以外は系属校ということになっています。

早稲田の場合、中学・高校と同系列の学校に進学するのが基本で、慶應のように進学先が入り組んでいないので、ある意味わかりやすいと思います。図にするとこんな感じでしょう。

データ出典:各学校のWebサイトより
*(カッコ)内の進学枠は推定値
*早稲田大阪(早稲田摂陵)は2025年度以降の数字

首都圏の4校(図の左4校)に絞り、入試の特徴を挙げると以下の感じです。

  • 小学校受験は早実のみ
  • 男子は中学受験で3校、高校受験でも3校の入試がある
  • 女子は中学受験で早実1校のみ、高校受験は2校

進学校ながら半分の推薦枠がある特殊な早稲田中も含めて考えると、男子の場合は、男子校2校の存在によって、中学入試でも高校入試でも同じくらいの大きな人数枠があります。共学校でも男子の方が人数枠が多かったりします。一方で女子の場合は、中学受験では早実のみ(定員40名)、高校受験でも早実(定員30名+推薦)と早稲田本庄(定員100名+帰国生)くらいしか選択肢がないので、どこを取ってもかなり狭き門に感じます。

早慶ともに女子に門戸が狭いのは、現代社会では問題じゃないかと個人的に思いますが、それについては別の機会に考えたいと思います。

各系列校からの進学先割合

細かなデータはそれぞれの学校ごとに見ていくとして、まずどの学部への進学が多いのかを割合で見ておきたいと思います。

データは各学校のWebサイト、2024年卒業生の進学実績より(早稲田本庄は2023年実績)
割合は卒業生数ではなく推薦数を分母として算出(他校への転出は含まない)
シンガポール校は進学実数ではなく推薦定員で算出

まず明確な違いがあるのが政治経済学部への進学数で、大学直系の早大学院・本庄のみ20%を超えています。法学部も同様の傾向です。そこ以外は目立った違いはないかなというのが印象ですね。

人数の多い首都圏4校についてグラフで見てみます。

学院2校はほとんど同じようなグラフです。それと比較すると、早実は政治経済が少ない分だけ商学部・社会科学部が大きめ、早稲田高校は全ての学部に満遍なくといったイメージです。早実の理工系学部比率が少ないのは共学だからでしょうかね。

ちなみにこれは人気動向ではなく、各校の推薦枠がこうなっていると考えられます(公開されている早稲田高校の定員枠はほぼこの通りなので)。成績が良ければ基本的にどこでも選べると思いますが、入学時の学校選びでも意識しておきたい点ではないかと思います。

ではここから、具体的に各学校を深掘りして見ていきます。ただし早稲田渋谷シンガポール校は、日本から一般的に受験する位置付けの学校ではないと思うので、ここでは割愛します。

コメント