【大学附属】早稲田大学の附属校を徹底調査

学校の横比較シリーズ
早稲田大学

中学受験を選択する際の検討項目として外せないであろう、大学附属校について調査します。私立大学は系列化・附属校化の動きが活発で、総合選抜型(AO)入試との相乗効果で一般入試が徐々に狭き門になってきているという話があります。その辺りも含め、上位私立大学の附属校を見ていくことで解き明かしたていきたいと思います。

学校案内的な内容にも多少触れますが、それよりも入学定員や進学先といった数字を追いかけていくことにフォーカスします。これによって、早稲田を目指そうとしたときに、小学校・中学・高校・大学受験のどの段階からどの学校を目標にするかといったような、戦術面を考えられるような材料を提供できればと思っています。

こんな人におすすめ
  • 早稲田の各学校を全体像として掴みたい
  • 志望校の方向性について迷っている
    (大学付属校か進学校かなど)
  • 中学受験・高校受験・大学受験を考える上での検討材料がほしい

親世代よりも受験事情は複雑になってきているので、大学受験からはじまる受験全体の大きな流れを見るのにも活用していただければと思います。

大学入学定員の全体像

まずは早稲田大学の入学定員についてざっとまとめます。

総計政治経済学部法学部教育学部商学部社会科学部国際教養学部文化構想学部文学部基幹理工学部創造理工学部先進理工学部人間科学部スポーツ科学部
入学定員*18940名900名740名960名900名630名600名860名660名595名595名540名560名400名
外部入試計7315名560名605名690名735名595名550名750名565名495名500名430名530名310名
 一般選抜5045名300名350名560名535名450名175名475名415名320名315名300名385名150名
 共通テスト利用入試50名100名50名15名100名
 総合型選抜等若干名若干名35名100名若干名10名25名若干名若干名60名
 英語による学位取得(9月入学)100名60名250名30名30名30名
 外国学生入学試験20名若干名若干名若干名若干名20名20名若干名若干名若干名若干名若干名
 指定校推薦1480名90名155名130名200名25名225名130名135名130名130名130名
 外部入試割合
(うち一般入試)
73%
(56%)
62%
(39%)
82%
(61%)
72%
(58%)
82%
(59%)
94%
(79%)
92%
(29%)
87%
(55%)
86%
(63%)
83%
(54%)
84%
(53%)
80%
(56%)
95%
(71%)
78%
(63%)
内部推薦枠想定*21625名340名135名270名165名35名50名110名95名100名95名110名30名90名
出典:早稲田大学 入学センター
*1 学部全体の入学定員はStudyplusより
*2 内部推薦枠は想定値(入学定員から外部入試を引いた値)
*帰国生入試は2025年度までに教育学部(若干名)以外の募集がなくなるので省略

内部推薦枠の人数は公開情報がなかったので想定値です。

内部推薦の進学数は公開値があるので、実数ベースで入学者数との割合を出すと次の通りです。

総計政治経済学部法学部教育学部商学部社会科学部国際教養学部文化構想学部文学部基幹理工学部創造理工学部先進理工学部人間科学部スポーツ科学部
2022年度入学者数(4月+9月)9025名922名777名966名925名595名594名869名662名582名612名553名582名386名
内部推薦7校合計
(2021年度)*
1593名288名178名130名166名139名58名105名82名137名136名104名43名27名
内部進学割合18%31%23%13%18%23%10%12%12%24%22%19%7%7%
学生数は早稲田大学HP、内部推薦は各学校HPより
* 大学の2022年度に合わせ2021年度卒業生の実績を使用、ただし早稲田摂陵は2022年度実績、早稲田渋谷シンガポール校は推薦枠の数字を使っています

想定値と実数とで大きな差はなかったので、内部推薦は想定値の方でも良いと思います。ただ社会科学部のみ100人くらい差がある点だけご注意(2023年度より英語学位プログラムAOが40→60名、2025年度より一般入試が450→370名になるなど変動があるためと思います)。

さて実際の数字ですが、実数で見ると内部進学は20%前後で残りが外部から、ということになっています。

以前、早稲田大学が指定校を含めた推薦比率を6割に増やすというニュースが出て衝撃が走りました。ただ出処と思われるYahooニュースの記事は削除されていて、元情報も見つからないので、このニュースの信憑性は疑わしいと個人的には思います。とはいえ、早稲田大学のサイトで確認する限り、毎年のように入試変更は行われていて、基本的には従来型の一般入試は減る傾向にはある、というのは抑えておくべき内容だと思います。

学部ごとの差はそこまで大きくなさそうですが、内部進学が最も多い政治経済学部(一般選抜枠39%)と、総合型選抜や9月入学が中心の国際教養学部(一般選抜枠29%)といった辺りは目立ちます。

看板学部や人気学部で内部進学や総合型選抜の割合が多いというのが、慶應とも共通した特徴のように見えます。(一般選抜の人数が少ないために難易度が高く見える、という逆の見方もできるのかもしれませんが)

内部進学ルートの全体像

早稲田大学の系列校は以下の通りです。

  • 早稲田大学 高等学院・高等学院中学部(早大学院)
  • 早稲田大学 本庄高等学院(早稲田本庄)
  • 早稲田実業学校 高等部・中等部・初等部(早実)
  • 早稲田中学校・高等学校
  • 早稲田佐賀中学校・早稲田佐賀高等学校
  • 早稲田摂陵高等学校(中学校は募集停止)
  • 早稲田渋谷シンガポール校(高校課程)

このうち、早稲田大学と名前のつく2校が直系の附属校(学校法人が早稲田大学)、それ以外は系属校ということになっています。

早稲田の場合、中学・高校と同系列の学校に進学するのが基本で、慶應のように進学先が入り組んでいないので、ある意味わかりやすいと思います。図にするとこんな感じでしょう。

首都圏の4校(図の左4校)に絞り、入試の特徴を挙げると以下の感じです。

  • 小学校受験は早実のみ
  • 男子は中学受験で3校、高校受験でも3校の入試がある
  • 女子は中学受験で早実1校のみ、高校受験は2校

進学校ながら半分の推薦枠がある特殊な早稲田中も含めて考えると、男子の場合は、男子校2校の存在によって、中学入試でも高校入試でも同じくらい大きな人数枠があります。共学校でも男子の方が人数枠が多かったりします。一方で女子の場合は、中学受験では早実のみ(定員40名)、高校受験でも早実(定員30名+推薦)と早稲田本庄(定員100名+帰国生)くらいしか選択肢がないので、どこを取ってもかなり狭き門に感じます。

早慶ともに女子に門戸が狭いのは、現代社会では問題じゃないかと個人的に思いますが、それについては別の機会に考えたいと思います。

ではここから、具体的に各学校を深掘りして見ていきます。ただし早稲田渋谷シンガポール校は、日本から一般的に受験する位置付けの学校ではないと思うので、ここでは割愛します。

早稲田大学 高等学院・高等学院中学部

学校法人早稲田大学が設置する直系の付属校です。大学予科としてスタートしたあと、戦後の学制改革で高校となり、2010年には中学部が開設されました。最寄りは西武新宿線の上石神井駅ということでやや都心から離れていますが、敷地は広く、雰囲気のある欅並木が門から校舎まで続き自然を感じることのできる環境にあります。

校風・教育の特徴など

  • 制服や校則はほとんどなく自由で、ほぼ全員が早稲田大学へ進学できる。やりたいことに打ち込むことのできる反面、自ら学ぶ姿勢も必要。欠席日数や成績により留年もある。
  • 学部進学を見据えた高校2年次からのゆるやかな文理コース制と高校3年次での大学準備講座・自由選択科目、また第二外国語の必修、卒業論文など、大学受験にとらわれない教育が行われている
  • 高大一貫教育の推進:学部進学説明会、モデル講義、大学教員による授業、大学正規授業の履修(先取り単位認定もあり)など、大学との連携を進めている

入学試験

高等学院(高校)

一般入試:筆記試験(英語・国語・数学・小論文)[2月11日]+出願書類(調査書等)
自己推薦入試:出願書類(調査書・出願者調書等)+面接[1月22日]

年度一般推薦
定員受験者数合格者数実質倍率定員志願者数合格者数実質倍率
2023年度260名1410名516名2.7倍100名204名103名2.0倍
2022年度260名1389名520名2.7倍100名244名105名2.3倍
2021年度260名1141名497名2.3倍100名235名100名2.4倍
データ元:早稲田大学高等学院 入試データ

高等学院中学部(中学)

一般入試:筆記試験(国語・算数・社会・理科)・面接(グループ面接)[2月1日]

年度定員受験者数合格者数実質倍率
2023年度120名433名131名3.3倍
2022年度120名438名133名3.3倍
2021年度120名407名134名3.0倍
データ元:早稲田大学高等学院中等部 入試データ

高校入試は自己推薦と一般入試があり定員もそれなりに多いので、チャンスが多いという意味ではいいですね。ただ、どちらも調査書が合否判定に使われるようなので、内申点が取れるというのは必須のようです。

学費

高等学院中学部
入学金260,000円260,000円
授業料(1年時)684,000円855,000円
授業料(2年時)732,000円915,000円
授業料(3年時)768,000円960,000円
教育環境整備費(年)228,000円285,000円
実験実習料(年)14,000円14,000円
諸会費(年)8,500円7,500円
総額(学校単体)3,195,500円3,909,500円
総額(高校卒業まで)3,195,500円7,105,000円
データ元:早稲田大学高等学院 学費・奨学金・就学支援制度早稲田大学高等学院中学部 学費・奨学金

進学先

年度卒業生数推薦数推薦
進学率
政治経済教育社会科学国際教養文化構想基幹理工創造理工先進理工人間科学スポーツ科学
2022年度470名470名100%110名76名25名45名30名10名27名14名68名35名30名0名0名
2021年度490名474名96.7%110名76名13名45名30名15名22名12名56名58名32名3名2名
2020年度479名479名100%110名78名15名45名30名9名27名16名52名51名42名3名1名
データ元:早稲田大学高等学院 早稲田大学への進学状況
卒業生数は日能研入試情報より

他の系列校よりも大学への進学枠が多く、希望の学科への進学はしやすいようです。政治経済学部への進学数は他の系列校よりかなり多いです。

個人的な感覚ですが、高等学院は高校というより大学の自由さに近い印象で、かつての大学予科の現代版と考える方がしっくりきます。大学へ行く目的意識が明確な子であれば、高校からの3+4年間で学問をすることができ、非常に有意義な学生生活になるのではと思えます。

早稲田大学 本庄高等学院

早大学院と同じく学校法人早稲田大学が設置する直系の付属校で、1982年に早稲田大学(前身の東京専門学校)創立100年を記念して開校しました。男子校として設立されましたが、2007年に共学化しています。埼玉県本庄市の丘陵地の広大な敷地にキャンパスが作られていて、都心からもだいぶ離れて立地していますが、上越新幹線の本庄早稲田駅という学校のためのような名前の駅が作られているので、(寮もありますが)都内から通うことも可能でしょう。

校風・教育の特徴など

  • 制服や校則はほとんどなく自由で、ほぼ全員が早稲田大学へ進学できる。やりたいことができる反面、自ら学ぶ姿勢が必要。欠席日数や成績により留年もある。
  • 2年次までに一部を除く必修科目を全て履修し、3年次は大学0年生として文理それぞれ選択科目を指定して、大学での専門へ接続するカリキュラムを組んでいる。2年次には教科の垣根を超えた独自の教科横断型学習プログラム「大久保山学」を履修する。
  • 卒業論文:3年間の学習の集大成として、担当教員の指導を受けながら調査・文献収集をし、自分の定めた1つのテーマについて1400字×15枚以上の論文にまとめる。

入学試験

国内生
一般入試:
筆記試験(国語・数学・英語)[2月9日]+調査書
α選抜(自己推薦):書類選考[1月5日必着]→面接[1月23日]

帰国生
帰国生入試:筆記試験(国語・数学・英語)[2月9日]+調査書
I選抜(帰国生自己推薦):書類選考[1月5日必着]→基礎学力試験(数学・国語)+面接[1月23日]

年度区分一般自己推薦
定員受験者数合格者数実質倍率定員志願者数1次合格合格者数実質倍率
2023年度男子100名1744名493名3.5倍45名204名56名46名4.4倍
女子70名741名228名3.3倍30名133名46名32名4.2倍
帰国(男子)15名99名40名2.5倍20名
(男女)
81名39名21名3.9倍
帰国(女子)10名63名24名2.6倍
2022年度男子100名1677名518名3.2倍45名96名48名2.0倍
女子70名842名222名3.8倍30名161名33名4.9倍
帰国(男子)15名119名49名2.4倍20名
(男女)
73名22名3.3倍
帰国(女子)10名63名22名2.9倍
データ元:高校受験の情報サイト「スタディ」

一般入試は日程的に都内の学校と併願できるため、偏差値は高めですが受験者数も合格者数も多めです。

学費

入学金260,000円
授業料(1年時)684,000円
授業料(2年時)732,000円
授業料(3年時)768,000円
教育環境整備費(年)228,000円
実験実習料(年)11,000円
その他(年)16,500円
総額(高校卒業まで)3,210,500円
データ元:早稲田大学本庄高等学院 学費・奨学金・就学支援制度

進学先

年度卒業生数推薦数推薦
進学率
政治経済教育社会科学国際教養文化構想基幹理工創造理工先進理工人間科学スポーツ科学他大(指定校推薦)
2022年度308名303名98.4%73名35名14名32名20名13名21名16名38名28名13名0名0名日本医科大学(1)
2021年度340名336名98.8%77名42名18名36名21名15名25名19名29名34名15名4名1名日本医科大学(3)
2020年度322名322名100.0%73名44名28名32名20名11名21名16名32名23名16名3名3名
データ元:早稲田大学本庄高等学院 進学

ほぼ早稲田大学へ進学していますが、医学部志望の人へは日本医科大学への推薦枠(2名)があるようです。

高等学院の印象と同じく、現代版の大学予科として捉える方がしっくりきます。大学へ行く目的意識が明確な子であれば、3+4年間で学問をすることができ、非常に有意義な学生生活になるのではと思えます。高等学院よりさらに大学寄りに踏み込んだ教育内容に見えるのと、立地・帰国生・共学といった部分に魅力を感じるかで、どちらがいいか印象が変わりそうです。

早稲田実業学校 初等部・中等部・高等部

早稲田大学直系の2校とは学校法人が異なり、こちらは系属校という位置付けです。実業学校の名の通りかつては商業科がありましたが、2002年に普通科のみとなり、同時に男女共学化と初等部の開設が行われ、国分寺への移転も行われました。ちなみに早稲田系列の学校で小学校があるのはこの早稲田実業のみです。ほとんどが早稲田大学へ推薦で進学できますが、直系2校とは学部枠に違いがあります(政治経済などは少ない)。

校風・教育の特徴など

  • 去華就実(華やかなものを去り、実に就く)の校是のもと「実業」の精神を育てるという教育方針があり、自由な直系2校よりもやや堅い校風の模様。
  • 同じ敷地内に小中高があり、子ども同士の交流や教員の連携、初等部からの国際教育など、小中高の繋がりを意識した教育が行われている。
  • スポーツ推薦もありクラブ活動が非常に盛んなことで有名、特に硬式野球部は甲子園の常連校で有名選手を多数輩出している。

入学試験

高等部

一般入試:筆記試験(英語・国語・数学)[2月10日]
推薦入試:課題作文・面接(本人のみ)[1月22日]+大会等の実績・推薦書・調査書

年度区分一般推薦(スポーツ・文化分野+指定校)
定員受験者数合格者数実質倍率定員志願者数合格者数実質倍率
2023年度男子50名449名119名3.8倍40名
(男女)
90名36名2.5倍
女子30名240名55名4.4倍23名10名2.3倍
2022年度男子50名406名121名3.4倍40名
(男女)
88名33名2.7倍
女子30名302名61名5.0倍28名16名1.8倍
データ元:高校受験の情報サイト「スタディ」

中等部

一般入試:筆記試験(国語・算数・社会・理科)[2月1日]

年度区分定員受験者数合格者数実質倍率
2023年度男子70名295名82名3.6倍
女子40名188名48名3.9倍
2022年度男子70名314名89名3.5倍
女子40名197名51名3.9倍
2021年度男子85名329名102名3.2倍
女子40名195名50名3.9倍
データ元:四谷大塚 入試情報センター

初等部

1次試験(考査)[11月1日〜5日のうち1日]
→2次試験(面接・本人+保護者)[11月8日〜10日のうち1日]

年度区分定員受験者数1次合格者数最終合格者数実質倍率
2023年度男子72名567名126名80名7.1倍
女子36名448名65名45名10.0倍
2022年度男子72名617名119名85名7.3倍
女子36名529名70名50名10.6倍
2021年度男子72名602名125名87名6.9倍
女子36名449名70名48名9.4倍
データ元:お受験じょうほう

どの段階から入るにしても定員が少なく、ハードルは高い印象を受けます。

学費

項目高等部中等部初等部
入学金*1300,000円300,000円350,000円
父母の会入会金*22,000円2,000円2,000円
授業料(1年時)552,000円
(2年時)582,000円
(3年時)612,000円
612,000円1,406,000円
施設設備資金252,000円252,000円300,000円*3
教育充実費36,000円36,000円
生徒会費9,600円9,600円
父母の会費12,000円12,000円12,000円
総額(学校単体)2,976,800円3,066,800円9,160,000円
総額(高校卒業まで)2,976,800円6,041,600円15,199,600円
*1 各課程の入学時
*2 早実への入学時に1度のみ
*3 初等部入学時のみ(他の課程は毎年)
データ元:早稲田実業学校 学費等

進学先

年度卒業生数推薦数推薦
進学率
政治経済教育社会科学国際教養文化構想基幹理工創造理工先進理工人間科学スポーツ科学他大(指定校推薦)他大(国公立)他大(私立)他大(海外大)
2022年度394名375名95.2%65名33名42名55名50名11名25名20名29名16名23名4名2名日本医科大学(3)4 [東京(1)/京都(1)/東京医科歯科(1)/国際教養(1)]10 [早稲田(2)/慶應義塾(3)/東京理科(1)/慈恵医科(1)/その他(3)]2 [UW-Madison(1)/American(1)]
2021年度418名409名97.8%65名33名60名55名50名10名25名20名23名23名31名9名5名日本医科大学(1)2 [東京(1)/東京外国語(1)]8 [早稲田(2)/慶應義塾(4)/上智(2)]
2020年度435名422名97.0%70名36名65名60名51名10名29名23名20名22名23名8名5名5 [東京(1)/東京医科歯科(2)/筑波(2)]1 [早稲田(1)]
データ元:早稲田実業学校 進路状況

わずかですが外部受験する人がいるというのが、直系の附属2校との大きな違いと言えるでしょう。合格校を見ると東大をはじめ上位大学がほとんどなので、推薦枠が取れないというネガティブ要因ではなく、行きたい大学を狙って受けていると考えられます。これは、初等部上がりの超優秀な子か、医学部に行きたくなった子なんだろうなと想像します。

早稲田中学校・高等学校

学校名に「早稲田」を冠したのは早稲田大より早く(当時の早稲田大は東京専門学校だった)、大学と同じくらいの歴史ある男子校です。早稲田大のすぐ近くに立地しているのもあり、普通なら直系の附属校となりそうなものですが、独自路線を歩んだ歴史もあって系属校となっています。高校からの入学はなく、6年間の中高一貫教育を行っています。

校風・教育の特徴など

  • 早稲田大への推薦枠が半分程度で、全員が東大など大学受験に向けて勉強する超進学校。推薦が決まるのが高3の12月で、最終的に内部推薦になるとしても、そこまでは基本的に大学受験を前提に勉強をすることになる。
  • 都心にあることもあって敷地が狭いという難点があったが、2023年に新校舎建て替えにより校庭の拡大や多目的ホール・屋上利用など、運動スペースの充実が図られた。

入学試験

第1回入試:筆記試験(国語・算数・社会・理科)[2月1日]
第2回入試:筆記試験(国語・算数・社会・理科)[2月3日]

年度定員受験者数合格者数実質倍率入学者数
2023年度第1回200名723名257名2.8倍223名
第2回100名963名228名4.2倍103名
2022年度第1回200名662名261名2.5倍220名
第2回100名911名270名3.4倍93名
2021年度第1回200名706名259名2.7倍220名
第2回100名847名256名3.3倍104名
データ元:早稲田中学校・高等学校 過去の入試結果

2回受験のチャンスがありそれなりの合格者数は出すので、偏差値は高いですがチャンスはそれなりにあるという印象です。

学費

入学金
高校入学金
300,000円
200,000円
年学費776,200円
授業料
設備費
維持費
教材費等
PTA会費
生徒会費
444,000円
151,200円
108,000円
55,000円
10,800円
7,200円
総額(高校卒業まで)5,157,200円
データ元:早稲田中学校・高等学校 学費など

進学先

年度卒業生数推薦数推薦
進学率
政治経済教育社会科学国際教養文化構想基幹理工創造理工先進理工人間科学スポーツ科学
定員167名20名13名20名15名15名4名11名9名15名14名16名9名6名
2022年度315名153名48.6%20名13名17名15名15名2名11名9名15名13名15名7名1名
2021年度306名159名52.0%20名13名20名15名15名4名11名9名15名14名16名6名1名
2020年度299159名53.2%20名13名20名15名15名0名11名9名15名14名16名8名3名
データ元:早稲田中学校・高等学校 大学進学状況

外部受験による他大学への進学状況は以下の通りです(合格者数ではなく進学者数)。

東京大京都大一橋大東工大国公立医旧帝大*国公立計早稲田大慶應大私大医東京理科大MARCHその他私立大計
2022年度31名4名5名8名10名3名66名11名17名4名2名1名1名36名
2021年度24名2名1名1名16名3名55名17名7名2名1名4名7名38名
2020年度24名3名3名7名6名6名58名10名9名3名1名2名8名33名
データ元:早稲田中学校・高等学校 大学進学状況

進学率も出してみました。

早稲田推薦進学率国公立大進学率私立大進学率浪人等
2022年度48.6%21.0%11.4%19.0%
2021年度52.0%18.0%12.4%17.6%
2020年度53.2%19.4%11.0%16.4%

進学校としてはかなり現役進学率が高い方だと感じます。

早稲田大学への推薦枠を半分持ちながら実態は進学校という、他にあまり例のない特殊な学校と言えるでしょう。それだけに、いわゆる大学附属校だと勘違いして入ると大変な思いをするかもしれません。推薦枠は毎年余るらしいので、とにかく早稲田大であれば(やりたいことなど関係なく)どこでもいいという考えならまあいいのかもしれませんが、周りが受験に向かって勉強している中で手を抜けば希望学部への進学は厳しくなるので、ベースは進学校だと理解して選ぶべき学校だと思います。

早稲田摂陵高等学校

2009年に早稲田の系属校になった、大阪府茨木市にある学校です。元々中学校が併設されていましたが、2023年に閉校し高校のみとなりました。代わりに、定員30名全員分の推薦枠があるWコースが設置され、大学との連携を強化する方向へと動いています。

入学試験

本校会場入試:一般入試(5教科)/資格点数化(5教科)/帰国生(3教科+面接)/吹奏楽(3教科+実技+面接)[2月10日]
所沢会場入試:一般5科/一般3科/帰国生[1月22日]
大宮会場入試:一般3科[1月24日]

年度定員受験者数合格者数実質倍率
2023年度245名1311名861名1.5倍
2022年度245名1496名821名1.8倍
2021年度245名1320名720名1.8倍

学費

入学金200,000円
年学費792,000円
授業料
施設協力費
生徒会費
PTA会費
諸経費
研修旅行費(1・2年)
600,000円
総額(高校卒業まで)2,576,000円
データ元:早稲田摂陵高等学校 募集要項

進学先

年度卒業生数推薦数推薦
進学率
政治経済教育社会科学国際教養文化構想基幹理工創造理工先進理工人間科学スポーツ科学他大(国公立)他大(関関同立)他大(関東難関)他大(私大医学部)
2022年度298名26名8.7%12303233101239 [医学部(1)]103 [同志社(10)/立命館(32)/関西(29)/関学(32)5 [東京理科(1)/明治(2)/中央(1)/法政(1)]2
データ元:早稲田摂陵中学校・高等学校 進学実績

早稲田大学への推薦枠:40名程度

早稲田佐賀中学校・早稲田佐賀高等学校

2010年、早稲田大学創立125周年記念事業として、創設者の大隈重信の出身地である佐賀県に系属校として開校しました。中学・高校とも首都圏入試があるので、首都圏からも受験し進学する人が一定数います。

校風・教育の特徴など

  • 半数の推薦枠があるが「難関国公立大学や医学部などに合格できる学力、実力で早稲田大学に合格できる学力」を身につけることが教育目標とされている
  • 校則や寮の規則は厳しめという口コミが多い
  • 全寮制ではなく福岡などから通学することも可、在校生の出身エリア割合は次の通り
九州首都圏他地方帰国生
高校362名(54%)246名(37%)41名(6%)23名(3%)
中学217名(57%)132名(35%)22名(6%)8名(2%)
データ元:早稲田佐賀中学校/早稲田佐賀高等学校 エリア別在校生出身地

入学試験

高校
推薦入試(専願):筆記試験(本校:3教科)+面接(個人)+調査書等+実技(体育系)[12月11日]
帰国生入試(専願/併願):筆記試験(本校/首都圏:3教科)+面接(個人)[1月8日]
一般入試(1月・専願/併願):筆記試験(九州:5教科/首都圏:3教科)[1月8日]
一般入試(2月・併願):筆記試験(本校/首都圏:3教科)+面接(集団)[2月18日]

年度定員受験者数合格者数実質倍率入学者(男)入学者(女)
2023年度120名1523名1072名1.4倍94名39名
2022年度120名1567名1076名1.5倍79名41名
2021年度120名1469名986名1.5倍86名36名
データ元:早稲田佐賀中学校/早稲田佐賀高等学校 入試情報
*募集定員は一般入試(1月)で九州入試80名、首都圏入試40名です。それ以外は全て若干名と記載されていて、入試結果は全ての入試を含んだ数字です

中学校
新思考入試(専願/併願):筆記試験(本校/首都圏:総合I・Ⅱ/総合I・英語)+面接(専願のみ)+調査書等[12月4日]
帰国生入試(専願/併願):筆記試験(本校/首都圏:総合I・Ⅱ/総合I・英語)+面接+提出書類[12月4日]
一般入試(1月・専願/併願):筆記試験(九州/首都圏:4教科)[1月9日]
一般入試(2月・併願):筆記試験(本校/首都圏:2教科)+面接[2月5日]

年度定員受験者数合格者数実質倍率入学者(男)入学者(女)
2023年度120名1311名861名1.5倍85名58名
2022年度120名1496名821名1.8倍92名51名
2021年度120名1320名720名1.8倍89名37名
データ元:早稲田佐賀中学校/早稲田佐賀高等学校 入試情報
*募集定員は全入試合計で九州入試80名、首都圏入試40名です。

学費

入学金*110,000円
授業料494,400円
施設設備費等294,000円
総額(高校)2,475,200円
総額(中学+高校)4,950,400円
*1 各課程の入学時
入寮費*1150,000円
寮費(4人部屋/中学)468,000円
寮費(4人部屋/高校)438,000円
寮費(1人部屋)*2540,000円
食事522,500円
総額(高校)*23,031,500円
総額(中学+高校)*26,003,000円
*1 入寮時に一度のみ
*2 1人部屋は高校生のみ、総額に306,000円プラス

進学先

年度卒業生数推薦数推薦
進学率
政治経済教育社会科学国際教養文化構想基幹理工創造理工先進理工人間科学スポーツ科学一般受験者数他大(国公立)他大(私立)
2022年度215名92名42.8%7名6名9名9名8名7名10名10名4名1名1名10名10名123名23[東京(1)/九州(1)/医学部(7)]154[早稲田(7)/慶應義塾(1)/上智(1)/東京理科(5)/MARCH(22)/関関同立(14)/医学部(1)]
2021年度229名110名48.0%10名7名10名10名10名9名10名10名8名2名4名10名10名119名18[東京(1)/一橋(1)/大阪(1)/九州(2)/北海道(1)/医学部(2)]158[早稲田(1)/慶應(1)/東京理科(4)/MARCH(9)/関関同立(14)/医学部(2)]
2020年度194名91名46.9%9名8名9名9名9名8名7名3名8名5名3名6名7名103名14[京都(1)/九州(2)/東北(1)/医学部(2)]131[早稲田(2)/慶應(3)/東京理科(2)/MARCH(11)/関関同立(12)/医学部(1)]
データ元:早稲田佐賀中学校/早稲田佐賀高等学校 大学合格実績

まとめ

以上、早稲田大学の入試と、附属校・系属校を見てきました。

進学先の横比較

最後に進学先を一覧表でもう一度出しておきます。各学校とも2022年度のデータです。

年度卒業生数推薦数推薦
進学率
政治経済教育社会科学国際教養文化構想基幹理工創造理工先進理工人間科学スポーツ科学
早大学院不明470名110名76名25名45名30名10名27名14名68名35名30名0名0名
早稲田本庄308名303名98%73名35名14名32名20名13名21名16名38名28名13名0名0名
早実394名375名95%65名33名42名55名50名11名25名20名29名16名23名4名2名
早稲田315名153名49%20名13名17名15名15名2名11名9名15名13名15名7名1名
早稲田摂陵298名26名9%1名2名3名0名3名2名3名3名1名0名1名2名3名
早稲田佐賀215名92名43%7名6名9名9名8名7名10名10名4名1名1名10名10名
シンガポール校*106名68名64%6名5名6名5名10名3名9名9名5名5名5名9名5名
*シンガポール校については、卒業生数と推薦数は実数、学部ごとの人数は推薦枠です。

親世代の意識とのギャップ

もう一度、早稲田大学の入試で見たポイントを挙げてみます。

  • 全定員に対する一般入試の割合は50%程度(共通テスト利用を含む)
  • 入学者に占める内部進学者の割合は20%前後
  • 人気学部ほど一般入試枠は少ない(政治経済など)

附属校・系属校は増えていて、さらに総合型選抜の拡大、私大定員の厳格化などが重なっているので、少なくとも親世代の受験とは様相が変わっているというのはおさえておくべき視点でしょう。

だから附属校が得だとかいう単純な話ではなく、受験全体を俯瞰して見たときに早慶の影響は大きいので、まずはそんな視点で見ていただければいいのかなと思います。

それぞれの家庭の実情に合わせ、受験を考える際の材料にしてもらえればと思います。

最後に個人的な感想を入れておきます。今回挙げた附属校・系属校の中では、個人的には早稲田本庄に最も興味を持ちました。附属校=大学にエスカレーターで上がれる学校という視点を離れ、大学予科と考えて、学部を決める前に広く教養を得る学校と見ると面白いなと思いますね。高等学院も同じ位置付けで考えられているのでどっちでもいいですが、帰国生や男女がいる点や自然環境が豊かな点などは、大学で学問をするための準備環境という観点でより魅力度が高いと感じますね。男女で募集定員が違う点だけはなんだかなぁと思いますが。

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