【進学校の横比較】女子・共学最上位編(桜蔭・女子学院・豊島岡+渋幕・渋渋)

学校比較 〜桜蔭x女子学院x豊島岡x渋幕x渋渋〜 学校の横比較シリーズ

前ページからの続きです。

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3. 入試の比較

最後に中学入試の比較です。

偏差値の推移

入手できている2009年以降の四谷大塚50偏差値を使います。ちなみに50偏差値表を見るのは、過去記事(50%偏差値表って何に使うの?)で書きましたが、50%偏差値が合否ラインになっていて難易度をより正しく表していると考えているためです。

(画像タップで拡大します)
四谷大塚結果50偏差値一覧(2009年〜2023年入試)より
年度ごとだと重なりが出て見づらいので、3年平均でグラフ化しています

渋渋以外の4校は、2010年前後はほぼ同じくらいに固まっていました。豊島岡は2月2日という違いもありますが、このときには既に難関校となっていたようです。

その後、女子学院が一度低迷した感じですが、2019年あたりからまた上昇してきたようです。

大きな変化として見えるのは、やはり渋幕・渋渋の難化ですね。渋幕は、やや低めだった第2回でも桜蔭を上回るようになり、2018年からはどちらの回も最高値に張り付いています。渋渋は2015年くらいまでは1ランク下っぽかったのが、今や完全に最難関の一角という感じになっています。

入試問題のポイント

続いて入試問題の違いについてです。これは四谷大塚中学案内に掲載されている情報を参照します。基本的には前年度の入試問題分析ですが、学校の傾向としてポイントだと思われるところにアンダーラインを引いておきます。

算数国語理科社会
桜蔭大問4問は例年通り。問題の難度は全体的に
例年よりやさしいが、計算の煩雑さは変わら
ず、正確に粘り強く取り組む力が求められた。
桜蔭の算数は、粘り強い計算力や素早い処理
と共に、与えられた課題を正しく整理する
論理的課題解決能力を重視する問題
が多く出
題される。桜蔭を目指す受験生は、6年生の
学習を開始する段階で十分な基礎力を備え、
複雑な計算に怯むことなく立ち向かう精神力
を鍛えることが肝要である。
論説的文章(論説文または随筆文)と物語文
の長文二題構成は例年どおり。文章の総字数
は約8000字弱、記述総字数600~800字程度

いずれも桜蔭の標準的な文量。論説的文章で
は、文化・文明論、芸術論、哲学的エッセイ
など、小学生には難解と思われる文章が出題
される
傾向にある。物語文では、少年・少女
を主人公とした現代ものが基本だが、人間と
同じ大きさのうさぎが登場したり、飛べない
チドリや架空の生物が主人公といったファン
タジー系の作品も出題される。
作図は4年連続で出題されなかった。過去10
年と過去3年で比較すると、選択式の割合が
減少し、その分ことばや計算が増加している。
全体としては「身の回りの理科」を題材とし、
例年通り知識問題は基本的、難易度の高い計
算問題も無く
、やや易しめだった昨年より易
化した印象があり、高得点の戦いになったと
思われる。理科に関する基礎知識を正確かつ
確実に習得し、さらにその知識を用いて実験
や観察した結果等を分析して、推測・考察が
できる論理的思考力を身につけておきたい。
大問3題構成。Ⅰは地理分野、Ⅱは歴史分野。
基本的な用語を書かせる空欄穴埋め問題と記
述問題
。Ⅲは現代史と政治分野。一問一答形
式。基礎・基本の徹底が必要。地理分野では
都道府県の特色を整理できていること、歴史
分野ではできごとの因果関係を理解し、流れ
を把握していること、政治分野では用語や制
度を正確に理解した上、時事問題への関心を
持つこと。30分間で記述問題を含めて50問以
上を解くスピードも求められる
。常に「なぜ」
を意識しながら学ぶようにしたい。
女子学院大問は6題で総設問数は29問。全体的にやや
難化した
印象である。対策としては「基礎基
本の徹底」が最重要事項であることには変わ
らない
。幅広い分野での基本の復習を怠らず
に、一問一問を確実に素早く解き進む練習を
重ねたい。ただし、来年以降もこれまでより
ワンランク上の出題が増えていく可能性は大
いに考えられる。算数が得意な受験生であれ
ば、これまでの女子学院対策レベルを超えた
問題にも積極的にチャレンジして欲しい。
文学的随筆文と説明文の2題構成に、漢字の
書き取りが7問。例年2題あわせて5000字を
越えていたが、今年は約4400字に減った。2
題とも、本文にも受験生にも心配りが丁寧な
良問ぞろいだ。全体に易しめなので、不注意
ミスなく、確実に得点できたかが勝負の分か
れ目になる
。80点以上必要だろう。
記述や作図も含め、総小問数は62問と近年の
中ではかなり多かった。1問あたり約40秒で
解いていく必要があり、短時間での的確な処
理能力
が例年以上に求められた。今年は細か
い部分を問う問題が多く出題されており、中
途半端な知識・理解だと得点に繋げることが
難しい。日頃の学習から、重要な部分には線
を引いたり、グラフや表の意味を1つ1つし
っかり考えながらとらえていってほしいもの
である。
例年設問数が多いが、今年は大問3題、総設
問数33問と非常に少なく、スピードより正確
さが要求された。記述問題は4問、20~40字
前後と字数は少なめ。全体のおよそ半数が複
数選んで完答とする出題
。文章選択肢の情報
量が多く、得点しにくい。基礎・基本を徹底
し、文章を正確に読みとり、正誤を見抜く力
が必要。関連するものや類似のもの、できご
との順番や因果関係などをしっかり結びつけ
て理解していくことが重要。歴史の並べかえ
問題は時系列が近いものが見られ、難易度は
上がっている。
豊島岡計算と一行問題が8問、大問が4題で、大問
4題での総設問数は10問となる。各領域から
バランス良く出題された。全体を通して難問
・奇問はなく、学習したことがしっかりと身
についていればきちんと得点できる試験
であ
る。まずは計算力と、典型題を確実に解く基
礎力の強化を重点的に行おう。その上で、問
題のひねりを解きほぐす算数的読解力・応用
力を鍛えたい。
第1回の説明文は内容が複雑で読みづらい。
まるで高校に新しく導入される「論理国語」
(資料や図表の読み取りなど、「実社会」に
対応した科目)の問題例を見るよう。45字な
いしは60字以内の記述が、説明文、物語文の
両方に1問ずつある
。残りは主に5択問題で、
漢字の書き取り(3問)や語句の問題(意味、
擬態語・擬声語)も出題された。
解答形式は例年通り選択肢や数字が中心だが、
第2回には語句記述もあった。どの問いにも
条件を整理・把握する力や、そこから考えを
進めていく力を意識した内容が盛り込まれて
いた
。与えられた条件から色々な要素の関係
を把握・整理する能力の訓練も必要だが、普
段から学習する内容を、単なる知識として丸
覚えするのではなく、その結果に至る過程や
考え方を意識した学習を心掛けたい。また、
身のまわりのことも意識した、バランスの良
いしっかりとした理科の力を身につけておき
たい。
設問数は記述問題をふくめて25問、全体の6
~7割ほどが選択問題。過去問演習などで対
策をするとともに、特色や背景などをしっか
りと考え、論理的に分析する力をつけておく
必要がある。出題レベルは、基礎・基本を重
視したものであり、奇抜な出題はほとんどな
。正確な知識を定着させ、知識の関連づけ
を深める学習が求められる。
渋谷渋谷計算1問、一行問題5問、大問3題の問題構
成。一部の問題では式や考え方を書く欄が設
けられている。理由説明を記述する問題が出
題される
ことが多い。大問は思考力が必要で、
複雑な問題が出題される
。時間配分に注意し、
問題の選定をしっかりと行い、解ける問題で
確実に得点しておく必要がある。
物語文と説明文の読解2題(漢字の読み書き
7問を含む)は例年通りの出題で、説明文は
やや難(受験生には興味を持てないという意
味で)。物語文は人物の言動の理由や人間関
係を通して場面と主題について、説明文は文
脈を正確に読み取る力と筆者の考えについて

記号選択か記述(3問計約200字)で問われ
た。
大問2題で生物分野で枝や葉のつき方、化学
・物理複合分野でプリンターのインクについ
てで、記述が多く、作図もある。聞いたこと
のあるような用語を説明している本文を読み
解くことで、科学的な思考を深める
ことにな
るため、時間内にしっかり理解しながら考え
られることが必要となっている。
受験生にとって初見となる資料を用いて、習
得した知識を角度を変えて活用できるかを試
す問い
が目立つ。今年も五街道の標高のグラ
フなどが出題された。日頃からさまざまな資
料に触れ、資料をよみとる力を見つけておき
たい。また例年、時事問題の出題も多い。
渋谷幕張大問5題の構成。題意を読み取る力、条件を
まとめる力、思考力、そして計算力
が求めら
れる。過去問で出題傾向に慣れておきたい。
また、年によって難度の変動が大きいので、
どのような問題が出ても慌てることなく、解
けそうな問題を確実に解いていく冷静さも必
要。近年は一次入試で「定規・コンパスを
使った作図問題」が出題されていないが、二
次入試では出題が続いている。募集要項に
「定規コンパスの携行」の記載がある限り、
作図対策は怠れない。
大問2問構成。記述問題は昨年の4題から1
つ増えて5題に、そのうち2題が字数制限の
あるもの(60字以内と70字程度)となってい
る。言語事項は語意・慣用表現・文学史など
であった。大人の視点で書かれた文章を、受
験生がいかに工夫して表現するかを見たい

というのが本校の出題の最大の特色であろう。
「長文やデータから必要な内容・条件を読み
取る力があるか」「初見の内容と、これまで
学んだ知識や経験を結びつけてどのように課
題を解決するか」の2点がポイント
となり、
基本的な知識・計算力に加え、分析力・洞察
力が求められる。過去問演習の際は、問題文
や条件をよく読んで正しく把握することや、
理由を考えながら解くことを意識したい。ま
た、机上の学習だけでなく、日常の生活や身
の回りのことに幅広く興味・関心を持ち、思
考することを心がけたい。
一次・二次とも昨年同様大問3題。出題分野
もほぼ例年通り。時事的なテーマを切り口に
政治分野を中心とした政治国際、歴史分野、
地理分野
例年、身の回りのものが取りあげ
られている
。現在の道具・制度・習慣などに
ついて、その歴史や変遷を追いかけてみるこ
とを心がけたい。初見の資料や図版などから
答えを導いていくため、基礎知識を活用して
「推理」する能力を鍛えていくこと。さらに
は、論理的に思考するための基礎となる「読
む力」を身につけてるようにしたい。
出典:四谷大塚中学案内

それぞれざっくりまとめるとこんな感じでしょうか。

  • 桜蔭:算数と国語は難度が高い、特に国語
  • 女子学院:短い時間の中で大量の問題を解くスピードが求められるイメージ
  • 豊島岡:このレベル帯としては基本的な問題で高得点が必要な感じ
  • 渋渋・渋幕:記述・思考力、情報を読み解く力が必要

それぞれ違った特徴のある出題に見えます。

4. まとめ

以上、女子と共学の最上位校グループをまとめました。何かの気付きになったり判断材料になるものが少しでもあればと思います。

それぞれの学校ごとにまとめたこちらもぜひご覧ください。

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