【進学校の横比較】男子最上位校編(筑駒・開成・聖光学院)

学校比較 筑駒 x 開成 x 聖光 学校の横比較シリーズ
更新情報
  • 2023.9.28 進学実績を3年平均に変更(2021〜2023年)
  • 2022.11.18 初版投稿(2022年実績ベース)

同偏差値帯の進学校を集めて横比較してみようという企画です。

大学合格実績や教育内容、入試情報などを深掘りし、グラフ化するなど見やすくして横比較していきます。こんな感じでシリーズ化しています。

基本的には学校のWebサイトを中心とした公開情報をまとめたもので、表に出てこないような裏話ではなく、複数の学校を横比較することで見えてくるものを発見するという感じです。

こんな方におすすめ
  • 志望校や併願校をまだ絞り込めていない
  • 東大ランキング以外の進学実績を見てみたい
  • 教育内容・環境を横並びで比較してみたい
  • 単純に国私立の中学・高校に興味がある

記事全体の構成は次の通りです。

記事の全体構成

  1. 大学合格実績の比較[ページ1
  2. 教育内容の比較[ページ2
  3. 入試の比較[ページ3
  4. まとめ[ページ3

*ページ分けしているため、各ページの目次ではページ内の項目のみを表示しています。

データの羅列だけではつまらないのでそれぞれ簡単にコメントを入れていきます。極力第三者的な視点で書くつもりではありますが、それでも好みや主観は入ってしまうと思うのでそこは割り引いて見ていただければと思います。

男子最上位校編では筑波大学附属駒場(筑駒)・開成・聖光学院の3校を取り上げます。これは、偏差値と合格実績を見比べた時に、この3校が頭ひとつ抜けていると考えられるためです。

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1. 大学合格実績の比較

まずは一番分かりやすい大学合格実績の比較から。昨今の現役重視の流れを汲んで、現役合格のデータを使用します。また並び順は、東京一工医(東大・京大・一橋・東工大と国公立医学部)の黄色ラインを基準にしています。

より分かりやすくするため、同難易度の共学校である渋谷教育学園幕張(渋幕)と渋谷教育学園渋谷(渋渋)の2校を比較対象として、グラフを並べて表示することにしました。この2校は次回以降も並べて表示することで比較できるようにします。

国公立大学現役合格者割合(2021〜2023年)

国公立大学は、卒業生数を現役合格者数で割った数字を合格率として集計します。

(画像タップで拡大します)
一工:一橋大+東工大、旧帝大:北海道大+東北大+名古屋大+大阪大+九州大
*合格者数データは各学校Webサイト、卒業生数は日能研入試情報より
*重複カウントを避けるため、旧帝大には東大・京大、医学部には東大理Ⅲと京大医学部、旧帝大と他国公立には医学部の数字を含みません
*渋幕の医学部データは進学情報誌さぴあより
*渋幕の旧帝大には名古屋大・九州大は含まれません(他国公立に含まれます)

この3校が合格実績としては抜けています。渋渋・渋幕と並べているので、次回以降の記事と比べてみていただければと思います。東大での差が大きいですが、東京一工医で見ても、この3校が50%前後で、渋渋・渋幕とは20%ほどの差があるのがわかります。(渋渋・渋幕については男女共学校という違いがあるので、単純に比較してどちらがすごいとかではなく比較の軸として見てもらえればと思います)

いちオヤジがこの3校についてコメントするのもおこがましいですが、傾向の違いを無理やり見るなら、開成と聖光学院が似たようなグラフなのに対し、筑駒は東大(と医学部)にほぼ特化しているように見えるという感じでしょうか。

まあいずれにしても学年の半数が東京一工か医学部に現役合格するということで、ちょっと想像を絶する世界に見えます。ただ逆の視点で見ると、中学受験(と高校受験)の超トップ層を集めたこの3校でも、現役合格は半分程度でしかないという見方もできるのかもしれませんが。

私立大学現役合格者数(2021〜2023年)

私立大学は重複合格が多く卒業生の割合で見てもよくわからないので、合格者数を積み上げたグラフにします。ただ卒業生数もわかるようグレーで表しています。

(画像タップで拡大します)
早慶:早稲田大+慶應大、上理:上智大+東京理科大、MARCH:明治大+青山学院大+立教大+中央大+法政大
*合格者数データは各学校Webサイト、卒業生数は日能研入試情報より
*渋幕の医学部データは進学情報誌さぴあより

ここでは3校の違いが出ています。

筑駒と開成はMARCHまで入れても卒業生数より少ない人数しか合格者を出していませんが、聖光学院は早慶だけでも卒業生数の100%を超えます。(一人で複数学部を受験し合格を取るのは普通にありえるので、100%を超えるのはおかしなことではありません)

このクラス帯の学校では、現役で国公立を受験する時に、難関私大を併願する人が多いかどうかで合格者数に大きな違いが出ます。これは、現役でダメだった場合に浪人で再チャレンジを選ぶのか、現役進学を選ぶのかという、その学校のカルチャーというか雰囲気などが反映されていると考えられます。

その観点だと、聖光学院が明確に現役志向だと見ることができると思います。渋渋・渋幕も同様の傾向がありますが、これは女子もいる共学校ならではの動きと考えられます。

筑駒・開成は進学者数も公開してくれているので、この次クラスの学校のものと合わせ、進学率グラフも出してみました。

(画像タップで拡大します)
*進学者数データは各学校Webサイト、卒業生数はインターエデュより

早稲田以外はあまり現役志向が強くないイメージの学校が並んでしまいましたが、とりあえず開成で、早慶合格者数から進学者数の割合を出してみると約17%になりました。ということで、私大合格者数の1/5〜1/6が進学者数というのが一つの目安になりそうです。

ちなみに、この割合を聖光学院に当てはめて計算してみると早慶の現役進学者割合は18%、国公立のグラフにこれを足すと、計算上は8割が国公立or早慶に進学しているイメージになります。

海外大学合格者数(2019〜2023年)

もうひとつ、海外大学への合格者数も比べてみます。単年度だと波が大きいので5年間の表を出します。

上位大学計全大学計20232022202120202019
574/ 40/ 00/ 01/ 1/ 2
聖光学院19344/ 74/ 43/ 35/ 173/ 3
開成811009/ 912/ 2118/ 2333/ 349/ 13
*合格者数データは各学校Webサイトより
*年度ごとの数字は[上位大学/全大学]となっています。空欄はデータが取れなかった年度です。
*上位大学はTHE世界大学ランキング100位以内などを基準としています。具体的にはこちらの記事の指標となります。
*具体的な合格大学名(上位大学)は各学校名のリンクからご覧ください。
(画像タップで拡大します)

開成は10年ほど前から海外の難関大学への合格者を出すようになっていて、5年間累計にすると結構大きな数字になります。一般的に海外志向が強いとされている渋渋・渋幕の2校と、実はそれほど大きく変わらないレベルで海外大学へ輩出しているところはちょっと世間のイメージと違うかもしれません。特に世界ランキング上位への割合が高いのが特徴かと思います。

聖光学院も上位の大学を中心に毎年コンスタントに合格者を出しています。一方で筑駒からはあまり多くなさそうです。

開成は進学者数も公開しているので見てみると、5年間で27人が実際に進学しているようです。合格者が100人なので、進学率はちょうど27%、約1/4ということになります(一般的にはもう少し低いようです)。

これだけの合格人数が出ていても実際の進学者数は年で数人からせいぜい10人くらいなので、全体から見ればそれほど大きなボリュームにはなっていないし、そもそも奨学金枠など経済的な問題も大きいのでこのデータは慎重に見るべきだと思いますが、一応学校の違いとしては挙げていいと思います。

次ページへ続きます。

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