同偏差値帯の進学校を集めて横比較してみようという企画です。
大学合格実績や教育内容、入試情報などを深掘りし、グラフ化するなど見やすくして横比較していきます。
- 志望校や併願校をまだ絞り込めていない
- 東大ランキング以外の進学実績を見てみたい
- 教育内容・環境を横並びで比較してみたい
- 単純に国私立の中学・高校に興味がある
基本的には学校のWebサイトを中心とした公開情報をまとめたもので、表に出てこないような裏話ではなく、複数の学校を横比較することで見えてくるものを発見するという感じです。
記事全体の構成は次の通りです。
記事の全体構成
- 大学合格実績の比較[ページ1]
- 教育内容の比較[ページ2]
- 入試の比較[ページ3]
- まとめ[ページ3]
*ページ分けしているため、各ページの目次ではページ内の項目のみを表示しています。
データの羅列だけではつまらないのでそれぞれ簡単にコメントを入れていきます。極力第三者的な視点で書くつもりではありますが、それでも好みや主観は入ってしまうと思うのでそこは割り引いて見ていただければと思います。
第1回は男子最上位と思われる筑波大学附属駒場(筑駒)・開成・聖光学院を取り上げます。
1. 大学合格実績の比較
まずは一番分かりやすい大学合格実績の比較から。昨今の現役重視の流れを汲んで、現役合格のデータを使用します。
より分かりやすくするため、同難易度の共学校である渋谷教育学園幕張(渋幕)と渋谷教育学園渋谷(渋渋)の2校を比較対象として、グラフを並べて表示することにしました。この2校は次回以降も並べて表示することで比較できるようにします。
国公立大学現役合格率(2022年)
国公立大学は、卒業生数を現役合格者数で割った数字を合格率として集計します。


*合格者数データは各学校Webサイト、卒業生数はインターエデュより
*重複カウントを避けるため、旧帝大には東大・京大、医学部には東大理Ⅲと京大医学部、旧帝大と他国公立には医学部の数字を含みません
*渋幕の医学部データは進学情報誌さぴあより
*渋幕の旧帝大は北大・東北大のみのデータです(それ以外の旧帝大は他国公立に含まれます)
この3校が合格実績としては抜けています。次回以降の比較として渋渋・渋幕と並べていますが、だいぶ差があるのがわかると思います。
東大でも差がありますが、東京一工(東大・京大・一橋・東工大)に医学部を加えた黄色のところまでで見るとこの3校がほぼ50%の横並びで、渋渋・渋幕とは20%ほどの差があるのがわかります。
渋渋・渋幕については男女共学校なので、単純比較してどちらがすごいとかいうものではなく比較の軸として見てもらえればと思います。
いちオヤジがこの3校についてコメントするのもおこがましいですが、傾向の違いを無理やり見るなら、開成と聖光学院が似たようなグラフなのに対し、筑駒は東大と医学部にほぼ特化しているように見えるという感じでしょうか。
まあいずれにしても学年の半数が東京一工か医学部に現役合格するということで、ちょっと想像を絶する世界に見えます。(逆に、中学受験の超トップ層を集めたこの3校でも半分しか現役合格していないという見方もできるのかもしれませんが)
私立大学現役合格者数(2022年)
私立大学は重複合格が多く合格率が意味をなさないので、合格者数を積み上げたグラフにします。ただ卒業生数もわかるようグレーで表しています。


*合格者数データは各学校Webサイト、卒業生数はインターエデュより
*渋幕の医学部データは進学情報誌さぴあより
ここでは3校のうち聖光学院だけ明確な違いが出ています。
筑駒・開成はMARCHまで入れても卒業生数より少ない人数しか合格者を出していませんが、聖光学院は早慶だけでも卒業生数の100%を超えます。
(一人で複数学部を受験し合格を取るのは普通にありえるので、100%を超えるのはおかしなことではありません)
これは聖光学院の現役志向が強く、私立大学への現役進学を選ぶ人が多いためと考えられます。渋渋・渋幕も同様の傾向があり、これは女子もいる共学校ならではの動きと考えられます。
逆に筑駒・開成は現役では妥協せずに、ダメなら浪人して難関国公立を目指す志向が強いというのが言えるんだろうと思います。
筑駒・開成は進学者数も公開してくれているので、進学率グラフも出してみました。

*進学者数データは各学校Webサイト、卒業生数はインターエデュより
私立大学には合格者数の1/6〜1/7くらいしか進学していない感じです。
ちなみに聖光学院の割合はわかりませんが、仮にこの割合だとして私立大学進学者数を勝手に計算してみると60人(25%)くらいになり、これと国公立のデータと合わせると聖光学院は80%以上が現役進学しているイメージになります。
大学合格実績を見るとき、ランキング順位でどっちが上とかいうところにどうしても目がいってしまいますが(私も)、こういった、進学に対してどういう考えの人が多いのかという学校の雰囲気をイメージする方が学校選びには大事な気がしますね。
余談ですが、私自身の出身校(地方公立高校)を振り返ると、一応地元ではトップ進学校で東大も出していましたが早慶でも年に10人くらい、学年の半分以上は浪人という感じだったので、時代もありますが全然違うなと思って見ています。
海外大学合格者数(2018〜2022年)
もうひとつ、海外大学への合格者数も比べてみます。単年度だと波が大きいので5年間の表を出します。
上位大学計 | 全大学計 | 2022 | 2021 | 2020 | 2019 | 2018 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
筑波大附属駒場 | 1 | 3 | 0 | / 0 | 0 | / 0 | 1 | / 1 | / 2 | / 0 | ||
開成 | 80 | 101 | 12 | / 21 | 18 | / 23 | 33 | / 34 | 9 | / 13 | 8 | / 10 |
聖光学院 | 15 | 39 | 4 | / 4 | 3 | / 3 | 5 | / 17 | 3 | / 3 | / 12 |
*年度ごとの数字は[上位大学/全大学]となっています。空欄はデータが取れなかった年度です。
*上位大学はTHE世界大学ランキング100位以内などを基準としています。具体的にはこちらの記事の指標となります。
*具体的な合格大学名(上位大学)は各学校名のリンクからご覧ください。


開成は10年ほど前から海外の難関大学への合格者を出すようになっていて、5年間累計にすると結構大きな数字になります。
以前書いた記事(過去記事:海外大学合格実績ランキング)でも触れていますが、一般的に海外志向が強いとされている渋渋・渋幕の2校と、実はそれほど大きく変わらないレベルで海外大学へ輩出しているところはちょっと世間のイメージと違うかもしれません。特に世界ランキング上位への割合が高いのが特徴かと思います。
聖光学院も上位の大学を中心に毎年コンスタントに合格者を出しています。一方で筑駒からはあまりいなさそうです。
実際の進学者数は開成でも多くて年10人くらいなので全体から見ればそれほど大きなボリュームにはなっていないし、そもそも奨学金枠など経済的な問題も大きいのでこのデータは慎重に見るべきだと思いますが、一応学校の違いとして挙げられます。
次ページへ続きます。
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