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2. 教育内容の比較
教科学習に関しては、国立であり受験向けの授業はしないという筑駒と、中高一貫教育で文科省カリキュラムより先取りする私立2校では大きく異なります。
筑駒の場合はそもそも教科書の内容にもあまり触れないようなアカデミックな授業という話はよく聞きます。
ただこの学習カリキュラムに関してはこれ以上深掘りできる情報が少なく、意味のありそうな比較材料があまり見当たらないので、一旦は国立と私立の違いという点だけに留めておきます。
代わりに、教科授業以外のプログラムについて比較表にします。
教育環境
今、世の中的に関心を集めているであろうポイントは次の3点かなと思います。
- グローバル教育
- 探求型学習・キャリア教育
- ICT
ということで主にこの3つのポイントでまとめます。
1. グローバル教育 | 2. 探求型学習・キャリア教育 | 3. ICT環境/教育活用 | その他特徴的な教育 | |
---|---|---|---|---|
筑波大附属駒場 | ・生徒研究交流会(韓国・台湾) ・国際交流拠点 | ・筑波大学との連携 | ・プログラミング教育事例 | ・稲作実習 ・三大行事(音楽祭・体育祭・文化祭) ・筑駒アカデメイア |
開成 | ・カレッジフェア・ようこそ先輩 | ・全員がSurfaceを所持 | ・運動会 | |
聖光学院 | ・海外ホームステイ(カナダ・NZ・フィリピン) ・海外研修(ボストン・シリコンバレー・SSH) ・短期留学(NZ) ・English Camp | ・聖光塾 ・選択社会科演習 | ・全員がChromebook所持 ・Aidemy導入(Python) ・ELSA導入(英語Speaking) | ・選択芸術 |
各項目の詳細は表の学校名のリンクから見てみてください。
まず聖光学院から触れますが、この学校が筑駒・開成に肩を並べるほどに上昇してきた理由は、もちろん大学合格実績が伸びたのが一番でしょうが、こうした周辺プログラムが充実しているというのも大きいのかなと思います。以前聞いた学校説明会では、聖光塾など学業以外の取り組みを充実させたことで結果的に大学合格実績も伸びたというような話もしていました。
筑駒は自由ということでこの手のものは少ないのかなと勝手に想像していましたが(個人のイメージです)、国立大学附属という教育研究のための学校という背景があるので、SSH(スーパー・サイエンス・ハイスクール)や国際交流拠点校であるなど、逆にこういうアカデミックなプログラムが充実していそうな感じです。
開成は学校側が引っ張るより自主性に任せるというイメージですかね。その分(?)自由度が高く学費も安めという話を聞いたことがあります。
鉄緑会率
大学受験のために追加で塾が必要なのかというのは親的に気にするポイントだと思います。
とりあえず東大に圧倒的な実績があり、指定校の在籍者数も公開している鉄緑会の通塾割合がどんなものか見てみたいと思います。
生徒数 | 鉄緑会在籍者数 | 割合 | |
---|---|---|---|
筑波大附属駒場 | 854 | 598 | 70% |
聖光学院 | 1388 | 115 | 8% |
開成 | 2128 | 1125 | 53% |
*鉄緑会在籍者数は鉄緑会Webサイトの公開情報(2022年8月)より
一般論として、学校のQ&Aではほとんどの学校が塾は不要ですと答えている一方、実際には東大合格実績の高い学校ほど通塾率が高いというのが実態と聞きます。鉄緑会の数字だけではわからないし、高校の間だけ通うという人も含まれるはずなので、あくまでもひとつの目安でしかありませんが、面白いのでちょっとコメントしてみます。
開成は生徒数の半分が鉄緑会在籍ということです。確かに絶対数は多いですが、開成=鉄緑会みたいなイメージもある中で半分というのは、多いのか少ないのか微妙なところかなと個人的には思います。高校から入塾する人も多いだろうと考えると、中1から6年間ガッツリという人はそこまでメジャーではないのかもしれません。
筑駒に関しては7割ということで、こうなってくると鉄緑会がデフォルトというイメージになりますね。学校が受験向けのカリキュラムではないということと、国立なので学費が安いというのが理由になりますかね。
聖光学院はそれに比べかなり低いですが、横浜から代々木は遠いだろうという立地の影響と、塾なしで学校で完結させるという学校の方針という両方の影響がありそうです。
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