2022年 各塾の夏期講習比較 – 6年生版

夏期講習の比較 塾・サービスの比較

大手塾の夏期講習情報が出揃ったので、比較と共にまとめました。

塾を比較検討している方や、自宅学習組の検討材料に、また他塾の様子が気になる方にも参考にしていただければと思います。

首都圏の中学受験大手4塾(サピックス、早稲田アカデミー、四谷大塚、日能研)にグノーブルを加えた5塾について調査しています。各塾のWebサイトを中心に情報を集めて作成していますが、もし間違い等あれば指摘していただければと思います。

長くなるので、6年生と4・5年生で2回に分けてお届けします。

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6年生

6年生の夏休みは受験の天王山とも言われる通り、各塾とも力が入っているようです。皆が頑張って勉強する期間なので意外に差は出来づらいと言われることもありますが、逆にやらなければ脱落するとも言えるのかもしれません。

どの塾もひと通りのカリキュラムが終わり、ここから1つギアを上げて受験対策に入っていきます。ここからは、これまで通りに塾のカリキュラムに乗ってやっていく選択肢もあれば、逆転を狙って何かに特化していくなど別の選択肢を考えることもできます。色々な情報源に当たりながら良い意思決定をしていただければと思います。

情報の前提は以下の通りです。

  • ほとんどが受講するであろう志望校別特訓も併せて記載
  • サピックス・四谷大塚・日能研は校舎ごとに日程や時間が異なりそうなので、代表的な一例についてピックアップ(日数や時間数、カリキュラム等は共通)
  • 日能研は難問コース・応用コース・標準コースがあるとのことだが、Webで公開されている標準コースの情報を記載
  • 早稲田アカデミー・日能研は2科目受講も可能だが、ここでは4科目受講の情報のみを記載

スケジュール

各塾のスケジュールをカレンダーに置きなおすと次のようになります。

夏期講習スケジュール6
クリックで拡大します

集中特訓をお盆期間に入れている早稲アカを除き、7月からお盆前までビッシリ埋まっているのが6年生のスケジュールのようです。お盆期間後は塾によって様々で、早稲アカと四谷大塚が最後までガッツリスケジュールを入れているのに対し、サピックスとグノーブルは空白期間があります。この空白期間は、肯定的に見れば家庭ごと独自の取り組みを入れることで差別化を図ることができる、否定的に見れば家庭の負担が増える(金銭面や時間など)という感じですかね。

夏期講習比較

サピックスグノーブル早稲田アカデミー四谷大塚日能研(標準コース)
日程7月22日〜8月9日
8月15日〜8月16日
7月24日〜8月6日
8月17日〜8月20日
7月21日〜8月2日
8月16日〜8月28日
7月21日〜8月10日7月21日〜8月10日
8月16日〜8月26日
日数18日間16日間24日間18日間28日間
時間13:30〜19:30
(7/22・23は15〜21時)
13:30〜19:009:00〜16:509:00〜17:2014:00〜20:35
拘束時間6時間00分5時間30分7時間50分8時間20分6時間35分
弁当持参なしなしありありなし
授業時間100分×3コマ
小テスト30分×2コマ
100分×3コマ
テスト30分
80分×2コマ
110分×2コマ
 70分×5コマ
1日あたり360分/日330分/日380分/日400分/日350分/日
総時間数6,480分5,280分9,120分6,400分8,400分
受講料
(カッコ内は外部生)
210,100円149,600円
(158,400円)
172,700円
(219,300円)
139,700円179,960円
単価
(カッコ内は外部生)
1,945円/時間1,700円/時間
(1,800円/時間)
1,136円/時間
(1,443円/時間)
1,310円/時間1,285円/時間

時間数や受講料は志望校講座も合わせて考えた方がいいので、ここではそれ以外のポイントについてコメントします。

まず大きく違うのが時間帯です。グラフにしてみました。

夏期講習時間帯-6年

サピックス・グノーブル・日能研が午後だけに対して、早稲アカ・四谷大塚は午前から夕方までの日中の時間帯になっています。学力の定着には、塾の授業を受けたあと家庭でそれを復習するということが基本なので、午後スタートの塾の場合は、午前中を復習時間に使えるという点でスケジュールが回しやすいのではと考えられます。昼間授業の塾はその分を夜にやる必要があり、他塾よりは1日のサイクルを回すのが大変になりそうです。

ただ別の観点から見ると、昼間授業の早稲アカ・四谷大塚は学校の授業時間帯と同じような時間で授業をやってくれるので、共働きや一人親など、昼間家に誰もいない家庭にはありがたいかもしれません。午前が空いていたところで、自分一人でも勉強できる子でないと意味がないですし。

1日あたりの授業時間は、グノーブルがやや少なめですが、他の季節講習や他学年に比べると大きな違いではないと思います。6年生は、1日6時間前後は塾でやらないといけないということですね。1日10時間を40日間で、合計400時間が夏休みの目標と言われたりもするので、塾で6時間、家庭で4時間というのが勉強時間のひとつの目安ですかね。(我が家はそこまでできませんでしたが)

あとは受講料を総時間数で割った時間単価も一応出していますが、サピックス・グノーブルが単価高め、それ以外は似たような感じと分類できそうです。

志望校別特訓比較

 サピックス
夏期集中志望校錬成特訓
グノーブル
学校別特訓
早稲田アカデミー
夏期集中特訓
四谷大塚
8月特訓
日能研
(情報なし) 
日程8月18日〜8月23日
(or 8月19日〜8月23日)
8月8日〜8月9日
8月10日〜8月11日
8月9日〜8月13日8月16日〜8月31日
(この期間内で10日間)
 
日数5日間2日間/コース
(2コース受講可)
5日間10日間 
時間13:30〜19:309:00〜17:208:50〜18:309:00〜17:20 
拘束時間6時間00分8時間20分9時間40分8時間20分 
弁当持参なしありありあり 
授業時間80分×4コマ
小テスト40分
105分×4コマ   
1日あたり360分/日420分/日 400分/日 
総時間数1,800分840分 4,000分 
受講料
(カッコ内は外部生)
70,400円28,600円/コース
(30,800円/コース)
68,750円
(72,600円)
66,000円 

志望校別に分かれた夏期特訓講座です。早稲アカは以前はここで合宿をやっていましたが、コロナ禍以降はNNの冠のついた志望校別の特訓講座に変わりました。四谷大塚は8月特訓と名前が付いていますが、昨年の情報では過去問演習をやったようです。日能研は情報がありませんが、夏期講習のスケジュールを見る限り特訓講座が入る余地はなさそうですね。

時間帯について見てみると、ここでもサピックスは夏期講習と同じく午後だけですが、グノーブルは昼中に移動しており、グノーブル・早稲アカ・四谷大塚が昼間の時間帯に設定されています。グノーブルは校舎と志望校によって受講する日が変わる感じで、基本的には前半・後半どちらかの2日間を受講することになりそうですが、志望校によっては前半・後半両方を受講するパターン(開成と筑駒とか)もありそうです。

我が家は夏期の志望校別講座はどこも受講しなかったので内容について細かくは語れませんが、基本的には冠校の傾向に沿った問題集(プリント)の問題演習で、下期に各塾で行われる志望校別講座の導入的な位置付けと思っていいかと思います。早稲アカは最終日に模試的なものがあるようです。

なお四谷大塚は少し異なっていて、昨年の情報によると、この特訓期間中に第一志望校の過去問10年分を解き、その結果をAIで分析して下期の問題演習(AI演習)で利用するということのようです。個人的には虎の子の過去問をここで使ってしまうのはもったいないと感じますが、まあそれはあくまで個人の意見なので、昨年の実績や経験談などから各自で判断していただければと思います。

夏期トータル時間・金額

時間数と受講料について、結局のところ夏期のトータルでどのくらいになるかを集計しました。特訓講座だけ他塾のものを受けるということもあるかもしれませんが、各塾のスケジュールを見るとあまり現実的とも思えず、また特訓講座を受講しないというのもあまりメジャーな考え方ではないと思うので、基本的にはそれぞれの塾でこのくらいになると考えて差し支えないと思います。(日能研は標準コースの情報なので、上位クラスだともう少しかかるのかもしれません)

SAPIXグノーブル早稲田アカデミー四谷大塚日能研(標準コース)
合計時間数8,280分6,120分9120分+特訓5日10,400分8,400分
受講料
(カッコ内は外部生)
280,500円178,200円
(189,200円)
241,450円
(291,900円)
205,700円179,960円
その他
オプション等
 夏期理社特訓
(4日間24,200円)
   

早稲アカの志望校別特訓の時間数が公開されていないので明確には言えませんが、仮に1日6時間だとしても5日で1,800分になるので、夏期講習を足すと合計12,000分近くとなります。ということで、時間数では早稲アカがダントツ1位、次いで四谷大塚、という感じです。グノーブルが少し時間数少なめですが、講習費用も安めではあるので、オプションを取ったり個別を入れたりという自由度があると考えても良いのではと思います。

カリキュラム

カリキュラムについては、学習カリキュラムはどの塾も6年上期までで終了しており、夏期講習は全範囲をカバーするということで基本的な違いはないと思いますが、科目ごとの時間数の違いを見比べてみようと思います。

サピックスグノーブル早稲田アカデミー四谷大塚 *日能研(標準コース)
算数1,800分1,600分2,640分1,600分2,520分
国語1,800分1,600分2,640分1,600分2,520分
理科900分800分1,920分1,600分1,680分
社会900分800分1,920分1,600分1,680分
算国:理社2:12:111:81:13:2
* 四谷大塚の時間割は不明なため、春期講習の情報から推測

算国と理社の割合が、サピックス・グノーブルが2:1に対して他塾は理社が多めです。四谷大塚は不明ですが、仮に春期講習同様に1:1だとすると(春期講習の各塾の割合もほぼこんな感じだったので)、理社に相当時間を割くことになるのがわかります。もしこれだと算国はサピックスよりも少なくなりますね。このあたりの割合についてはどちらが良い悪いというのは一概には言えないと思いますが、この特徴を踏まえて、苦手科目の時間が少なめなら別途補強するとか、考えてみてもいいかもしれません。

次に、分野の分かれている理科と社会を少し深掘りしてみます。

理科

4分野それぞれ、コマ数とテーマを挙げてみます。ただし、四谷大塚と日能研は参考になる情報がなかったので割愛します(日能研はほぼ全分野のテーマが挙げられていてコマ数の記載もないので)

サピックスグノーブル早稲田アカデミー
物理4(電気/光/力学x2)3(力学x2/電磁気)4(電気磁石/音光/力学x2)
化学2(気体/中和)2(計算/総合)2(物質の変化x2)
生物1(森林と食物連鎖)1(総合)2(植物/動物人体)
地学2(星/月)1(天体)2(天体/大地気象)

共通して言えるのは物理が厚めということですかね。化学も計算分野である気体や中和を中心にやりそうです。これを見る限りは、塾ごとの分野の違いはあまり大きくはなさそうです。

社会

社会は3分野のコマ数だけ挙げました。四谷大塚と日能研は情報なしです。

サピックスグノーブル早稲田アカデミー
地理443
歴史445
公民102

こちらも地理と歴史がメインということで大きな違いはなさそうですが、公民はグノーブルがゼロに対し早稲アカが2コマと、ややスタンスが違いそうではあります。

昨年の我が家

以上、各塾の夏期講習・志望校別特訓の比較でした。テーマごとに横並びで比較してみたので、それぞれの塾のスタンスの違いが見えたかなと思います。

ちなみに昨年の我が家ですが、さすがに長期の夏休みを自宅学習だけで乗り切る自信はなかったので、比較検討した結果、早稲アカの2科目講習(算国)に通うことにしました。早稲アカを選んだ理由については昨年の記事をご覧ください。

早稲アカ夏期講習中の様子もいくつかアップしてあります。

志望校別特訓についてはどこも受講せず、代わりに過去問演習をスタートしました。過去問については考えたことも多かったので別途書きたいと思いますが、基本的には受験を考えている学校を中心に10校程度ピックアップし、偏差値の低い方から着手していった感じです。夏休み期間は偏差値50台の学校を中心に行いました。

過去問を始めると受験との距離感が掴めてきて、それまで漠然とした不安の中で走ってきたところに何となく道が見えた感じがして、親の方の精神的な安定材料になったと思います。完全に塾任せならあまり関係なさそうですが、少なからず親がサポートするのであれば、過去問をどうスケジュール組んで進めていくのかは最も大事なポイントではないかなと感じました。

志望校別特訓は、内容をみる限り個人的には受けなくても大丈夫だったと感じていますが、志望校の冠がついた講座というのはそれだけでテンション上がるでしょうし、周りからの刺激という意味では受けるメリットはあるでしょう。スケジュールなども踏まえて検討されるといいと思います。

山場といわれる6年生の夏休み、これから計画を立てる方も多いと思いますが、考える際の一助になればと思います。応援しています。

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