【偏差値】2022年と2023年の各塾の偏差値表を比較してみた

塾偏差値表の比較 受験校選びのTIPS

前ページからの続きです。

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偏差値を色付けしてわかりやすく

今度は個別の偏差値上下をもう少しわかりやすく見てみようということで、色付けしてみます。色の違いは次の通りです。

  • 赤:2022年より上がった学校(入試回)
  • 青:下がった学校(入試回)
  • 黄色:偏差値表に新しく掲載された入試回
  • 色の濃さは変動の大きさを表す

全部は見きれないので、とりあえず偏差値50以上というところで切っています。

2月1日男子 四谷大塚80

【2023年入試】四谷大塚結果Aライン80偏差値一覧より
【2023年入試】四谷大塚結果Aライン80偏差値一覧より

色付けすると見やすくなりませんか。そして気になったポイントは以下の感じです。

  • 共学化した新興校でプラスが大きい(広尾・広尾小石川・都市大等々力など)
  • 神奈川の男子校が軒並み下がっている(慶應普通部・サレジオ・逗子開成・鎌倉学園)

1点目は近年の流れの通りという感じですが、今年は男子校に出願が集まったように見えた(過去記事:2023年入試 東京・神奈川出願状況)割には、偏差値では共学校の上昇が大きくなっているようです。不思議。

2点目は他の日程でも同様で、栄光学園(67→66)、浅野(65→64)などもあり、上昇は聖光学院のみでした。別に神奈川県の受験者数が減ったわけでもなさそうなんですが(日能研入試分析ブック2023より)、何か要因があるんですかね。

ちなみに、これらはあくまで四谷大塚(合不合判定テスト)を基準にしたもので、見る人の中心も四谷系の人がメインになるでしょう。一応合不合が最大の母集団ではあるものの、日能研やサピックスも近い受験者数がいて無視するわけにはいかないので、このあとは日能研とサピックスの偏差値表についても見ていきます。

男子2月1日 日能研R4

日能研R4は次の通りです。(R4は日能研の80%判定偏差値表)

日能研 2023年中学入試結果R4一覧より

こちらは四谷より色のつき方が激しく、全体的にピンクが目立つので上昇しているところが多いのがわかります。2023年の動きで特徴的なのは以下でしょうか。

  • 広尾学園が四谷偏差値でいう3番手グループに入った(早実が逆に脱落気味)
  • 都市大①がいきなり60につけている(四谷はⅡ類でも57、Ⅰ類は53)
  • 新興校といわれる学校の上昇度合いが大きい

広尾小石川・都市大等々力が+5、開智日本橋が+4、広尾学園・三田国際・青学横浜英和・高輪・成蹊が+3など、上昇幅の大きなところが目立ちます。このうち高輪と成蹊を除いた6校は、共学化し校名変更した学校という共通点があり、日能研偏差値でのキーワードはこれでしょうかね。

あと新規に1日入試に参入した都市大①が60というのは、さすがにちょっと高すぎる気がするんですがどうなんでしょう。日能研から受かりづらかったとかあるんでしょうかね。

男子2月1日 SAPIX(80%)

最後にサピックス偏差値です。

ちなみにサピックスから一般公開されている偏差値表はないので、今回はリセマムのサピックスオープンを元にした2024年中学入試 予想偏差値[合格率80%]を使用して一覧にします。前年比較も同じく予想偏差値を使います。偏差値50までしかないのが残念ですがご了承ください。

リセマム【2024中学受験】SAPIX男子偏差値(2023年4月)より

とりあえず開成がぶっちぎっているのが目立ちますが、それ以外の配置はそんなに他と変わらないですかね。気になったのは以下のポイントです。

  1. 開成だけが飛び抜けて高い
  2. 61〜56が2番手集団、53〜50で3番手集団という感じ
  3. 午前は変動が少ないが午後はマイナスが目立つ

開成が飛び抜けているのは、合格が難しいというのもありますが、サピックス上位層(60ちょい上〜)だと開成を受けている人が圧倒的に多いためと思われます(サピックス合格力判定資料より)。サピックスは開成に向けたカリキュラムなので麻布などには向かない(だから偏差値が低い)という話も聞きますが、まあそういう要素もあっただろうと思いつつも、そもそも今は上位層が受けていない、という方が大きいのではと個人的には思います。

2番手には四谷・日能研と同じような集団が作られています。違いがあるとすれば広尾学園が既にこの集団の中に入って安定しているという点ですかね。あとは3番手集団で、逗子開成が1上がったり芝が1下がったりと、ちょっと他塾と違った動きがあるのが気にはなります。

午後入試はマイナスが多い一方で都市大付属②が+2と上昇しています。下げた学校からすると、都市大付属に少し流れたのかなという推測が成り立ちそうです。

女子2月1日 四谷大塚80

では女子2月1日に移ります。まずは四谷大塚から。

【2023年入試】四谷大塚結果Aライン80偏差値一覧より
【2023年入試】四谷大塚結果Aライン80偏差値一覧より

何となく男子より女子の方が上下動が激しい感じがします。最大で+3の山脇学園があります。

  • 男子と同様に共学校のプラスが目立つが、女子校でもプラス幅の大きな学校がある
  • 附属系のマイナスがやや目立つ
  • 神奈川の女子校が弱い(フェリス・日本女子大・横浜共立・横浜雙葉・清泉など)

大きなプラスは男子と同じくいわゆる共学新興校が目立ちますが、女子伝統校(東洋英和・山脇学園・富士見など)もありますね。マイナスは大学附属校に多い感じがします。

あとは男子と同じく神奈川の女子校が下がっていて、ここに載っていないところでも、清泉女学院①(46→45)、鎌倉女学院①(50→49)②(51→48)など下げが目立ちます。上昇はトップ校の洗足学園のみというのも男子と同じ傾向で、どういう背景があるのか気になります。

女子2月1日 日能研R4

続いて日能研R4です。

日能研 2023年中学入試結果R4一覧より

こちらは上位戦線に異常ありです。

  • 女子学院が一歩後退し桜蔭と渋渋の2校でのトップ争い、66〜62の8校で2番手集団を形成中
  • 午前入試は共学校、午後入試は女子校の上昇が目立つ
  • 神奈川の女子校がさらに弱い

2022年は桜蔭・渋渋・女子学院が67で横並びだったのが、上下に綺麗に分かれてしまいました。そして2番手集団は女子学院(66)からフェリス(62)まで含めて大きな塊になった印象です。

偏差値50台は共学新興校のプラスが目立つという、四谷と同じ傾向です。上昇幅はこちらの方が大きいですが。

そして神奈川の女子校の弱さがここでも目立ちます。表にある以外でも、日本女子大(50→49)、横浜共立(51→49)、横浜雙葉(51→46)、清泉女学院①(47→44)などかなりきつい下げが見えます。これはやはり何かあるとしか思えないです。(がよくわかりません)

女子2月1日 SAPIX(80%)

最後はサピックスです。

リセマム【2024中学受験】SAPIX女子偏差値(2023年4月)より

あまりコメントするような動きは見えないんですけど、とりあえず他の偏差値表との違いをふまえつつみるとこんな感じでしょうか。

  • 桜蔭と渋渋の2校でトップ争いをしつつ、雙葉(59)までは先頭集団に見える
  • 午後入試でマイナスがやや目立つ

ちなみに女子は開成のような飛び抜けた偏差値の学校がありません。ただよくよく調べていくと、偏差値表では語れない裏が見えてきます。この辺はのちほど、最後の章で深掘りしてみます。

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