合不合判定テストから見る第一志望者数推移

受験データ

受験データ収集がもはや趣味になってきている私にとって、合不合判定テストの参加者配布資料は格好の題材です。今回の第3回でも、受験生の第一志望校の増減データが出ているので、これを集計して分析してみたいと思います。

ちなみに冊子版にはミスがあり、10ページ目の「Data005 志望者増減-男子」のデータが女子のものになっていました。四谷大塚サイトから修正された状態のPDF版がダウンロードできるので、男子はそちらを参照するのをおすすめします。

今回のメインは「2022入試 志望者増減」です。7月の第2回合不合にて、各学校を第一志望にした人数が昨年比でどのくらい増減しているのか、志望者数上位50校分のデータが出ています。

これだけでも十分なんですが、実は私の手元に2年前からのこの参加者配布資料があります。別に不正入手した訳でもなく四谷大塚のサイトから普通にダウンロードできるものだったので問題ないでしょう。せっかくなので2年前からの推移も含めて集計してみようと思います。

個別の数字を出すのはさすがに憚られるので、グラフにして表してみます。元データは全て第3回合不合判定テストの参加者配布資料から(第2回合不合判定テストでの志望者数)となります。

志望者数の増減 – 男子

まずは男子の第一志望者数です。見づらくなるので上位1〜15位と16〜30位を分けてグラフにしました。それぞれの表で目盛りの値が異なりますのでご注意ください。

出典:第3回合不合判定テスト 参加者配布資料(2021年、2020年、2019年)

ここ2年で早稲田が圧倒的に増やしているというのが見て取れます。2019年では早稲田・開成・武蔵がほぼ同数だったのが、今年はもう1強というイメージになっています。

このほか、基本的に右肩上がりで常に人数を増やしてきたのが、早実、海城、麻布、本郷、巣鴨といったあたり。昨年共学化して人気になった芝浦工大附属や中央大附属も今年一気に上げています。この辺りの学校は数年前とはまた違ったイメージになっているのかもしれません。

昨年増えて今年減らす山型になったのは、開成、駒場東邦、渋幕、筑駒、明大明治。去年の実際の入試では難関校を避ける傾向があったようなので、その流れが続いているのかもしれません。

このほかの学校は、昨年は調整局面で今年回復するというV字型でした。そして、ほとんどの学校で昨年減らした分を取り戻しただけでなく一昨年よりさらに増加するという、Vよりチェックマークのような右上がりの形で人数を増やしています。

ちなみに昨年より人数を減らしたのは超難関校ばかりでした。50位まで見ても減らしたのは9校しかなく、全体でも増加181校/減少32校と、基本的には多くの学校で増加という感じです。

一昨年と比べたときに人数が減っている学校は、開成、早大学院、浅野、城北、渋幕、栄光学園、聖光学院、筑駒の8校(2019年は30位までしかデータがないのでそこまでに挙がったもの)。神奈川はトップ3校が軒並み減っていますが、これはコロナ禍で東京からの志望者が減っている影響でしょうかね。

いずれにしても減ったのは一部でしかもトップ校ばかり、大多数の学校は志望者を増やしていて、我々受験生親としてはちょっと気分悪くなりそうな、大変厳しいデータと感じます。

志望者数の増減 – 女子

次に女子の第一志望者数を見てみます。同じく1〜15位、16〜30位のグラフです。

出典:第3回合不合判定テスト 参加者配布資料(2021年、2020年、2019年)

男子と比べたときに、全体的な傾向として、比較的安定していて上下動があまりない学校と、激しく上下している学校とに2分化している印象です。女子は年によって急に人気を伸ばしたりというのが起こりやすいんでしょうかね。

まず上位ですが、女子学院が不動のトップという感じで人数も伸び続けています。で2位争いが吉祥女子・鴎友・豊島岡の三つ巴といった感じ。

2年連続で人数を増やすいわゆる右肩上がりなのは、鴎友学園、広尾学園、渋渋、あと圏外(2019年は30位以下だった)から、学習院女子、フェリス、富士見、成城学園、東邦大東邦が上がってきています。

昨年増やして今年減る山型なのは、豊島岡、桜蔭、渋幕、浦和明の星、市川と、男子と似ていて難関校が多い感じ。あとV字型も男子と同じく一昨年より多くなる右上がりのV字になっています。

人数減で目立ったのは雙葉と明大明治、ただ50位まで見ても昨年比で人数を減らしているのは11校、全体としても増加200校/減少17校という感じで、やはり増加している学校が圧倒的に多いです。一昨年比で減らしているのは、豊島岡、香蘭(-1)、立教女学院、雙葉、中央大附属、渋幕、明大明治、法政第二の8校。近年人気の高い学校が多いので、過熱による敬遠という見方でしょうか。

去年より厳しい?

7月の第2回合不合判定テストでのデータなので、これだけを見て中学受験全体を判断するのは早計だとは思います。時期もまだ早いし、他の模試から合不合に流れてきただけかもしれないし(まあ肌感覚として後者はない気がしますが)。

ちなみに第2回合不合判定テストの受験者は、男子だけでも昨年の7000人強から約8000人強へ1割以上増えているみたいです。(昨年の人数は公式ではなくブログからのデータですが)

元々、首都圏の小6児童数は2020年をピークに減少に転じ、それに伴って中学受験者数も頭打ちになると予想されていたと思います。ただ、このコロナ禍で私立学校が再注目されたこともあって、どうやら中学受験者の総数はさらに増える傾向にあるように見えます。大変な年に当たってしまったなという感じです。。。

そして、昨年は最上位校がやや敬遠され、その次クラスから中堅校までが激戦になったというのが言われていますが、このデータを見る限りその傾向は今年さらに加速しているようにも見えます。

こういうデータを見て第一志望校を諦めるとかいう使い方はするべきではないと思いますが、たぶん塾との面談で併願校を決める際の基礎情報にもなるものでしょうし、受験全体の流れを見ることもできるので、知っていて損はないと思います。単純にどんな学校が人を集めそうなのかを見るだけでも個人的には楽しいです。(まあそんな悠長なことを言っている場合ではないですが)

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