この時期は、各塾で2022年中学入試の報告会が行われています。
以前は会場開催でしたが、コロナ禍の一昨年からは動画配信をしてくれる塾がほとんどになったので参加しやすくなりました。
無料なので、他塾のものも参加してみることをおすすめします。複数の塾の話を聞くことで、全体的な傾向や塾のスタンスの違いなどを見ることができます。
登録したところで定期的にメールがくるくらいなので(邪魔なら配信停止すればよい)特に面倒なことはないと思います。Z会エクタスだけは動画URLより先に営業電話がきましたが。
ちょっと出遅れたので既に申し込みが終わってしまったところも多いのですが、配信期間をまとめると以下の感じです。
塾 | 申込締切 | 配信期間 |
TOMAS | 2/28 15:00 | 3/8~3/20 |
SAPIX | 3/8 10:00 | 3/18〜4/25 |
四谷大塚 | 3/15 24:00 | 3/14〜3/31 |
Z会エクタス | 3/19 (延長後) | 3/13〜3/26 |
日能研 | 不要(資料は4/30まで受付) | 3/16〜4/30 |
栄光ゼミナール | 不明(3/28現在申込可能) | 2/18〜5/8 |
早稲田アカデミー | 不明(3/28現在申込可能) | 3/2〜5/31 |
ここではざっと見て、各塾で言っていることの共通点と相違点を挙げてみます。(TOMASだけは申し込みが間に合わなかったので見れていません)
ご自身で聞かれた内容とは別の視点から、何か発見があればというところで。
今年の中学入試総括
メインセッションでは、今年の中学入試の総括がされています。
ここでは内容を聞くことももちろんですが、どういう構成を取っているかで各塾のスタンスも見て取れます。
科目別内容に比べると塾の独自色が出ている内容が多いのですが、共通して言われていた点を挙げると以下のポイントかなと思います。
次に、各塾ごとにどんな構成だったか見てみます。
あくまで個人的な感覚と前置きしますが、入試分析という視点で見ると、それに真正面から答えているという意味でサピックスが一番好感度が高かったです。分析内容も一番踏み込んでいると感じました。
無償イベントなので塾の宣伝はあって当然なのですが、王者の風格というのか戦略なのか、サピックスはあまり営業匂は出さないですね。サピックスオープンもそうでしたが、単なる数字の羅列ではなく1ランク上の分析を出してくれる印象があるので、可能であれば見ておいた方が良いと思います。
もう1つ、栄光ゼミナールの動画も今の入試全体の流れをおさえるには良い動画だと思いました。分析の対象校はサピックスより広めに取っていると思うので、中学入試全体を俯瞰してみるのにも良いと思います。
動画視聴期間も長い(まだ間に合う)ので、見ていない方はぜひ。
2022.4.8追記
日能研オン・ザ・ロードで資料請求すると、冊子の資料とともに情報共有広場へのログインが可能になります。ここにある科目別の分析資料がとても良かったのでおすすめします。国語の記述問題比率や算数の難易度、理科の計算問題出題比率などがランキング形式で出されていて、志望校の問題傾向を見るのにとても参考になると思います。
科目別分析
科目別分析については、科目ごとにどんなことが話されていたのかを挙げてみようと思います。公開情報にはなっていないのであまり個別の具体的な内容は書けませんが、特に複数の塾で共通して話されていた内容を中心に整理してみます。
算数
難問より典型題
難問をどれだけ取れるかを問う学校は少なく、難問への対応よりも基礎力の方が重要。典型題に対応できればほとんどの学校で十分合格点を望める。ただし解き方の暗記や知識だけで対応できる典型題そのままの内容は減少していて、そこからひとひねりしたり、計算負荷を増やしたような問題が増えている。典型題のバリエーションも増えているので、よく見られる問題の解法知識と技術の習得に力を入れるのと、精度を上げるための学習量や学習姿勢も大事である。
その場で試行錯誤する問題
知識を知っていることよりも、その場で試行錯誤して自分で解法を見つける出題が増えている。問題文には記載がないがグラフに整理することで解ける問題や、解き方ではなく気合で見つけていく場合の数などが今年度入試ではあった。途中式やグラフ、図に整理するなど考え方を表現するトレーニングを積んでおきたい。
国語
今の時代を反映した文章
直近2年以内に発表された作品が題材となることが多く、今の時代を反映した文章が出題されやすい。時事的なテーマにまつわる背景知識や用語を身につけておくことが必要で、世の中で話題になっていることにアンテナを張っておくべき。
大学入学共通テストの影響
大学入学共通テストの理念を意識して、思考力・判断力・表現力を問う出題が多く見られるようになった。2つの文章からわかることを問うもの、図やグラフの問題などもあった。
理科
時事問題
新型コロナ、月食、環境問題、SDGsなど。
身の回りのものをテーマとした出題
家庭にあるものや身の回りのものを題材として出題する学校が近年目立っている。勉強だけやっていればよいという考え方ではなく、手伝いなどを通して身の回りのことにも目を向けることが必要。
社会
知識と社会とのつながり
細かい知識よりもそれを活用する力が重要。土台としての知識は入れた上で、ニュースが社会に与えた影響を考えたり、社会のことを自分のこととして考える姿勢が必要。
現代社会に対する視点
感染症、SDGs、デジタル社会、貧困と格差、災害、ジェンダーと多様性など。新しい時代のカタカナ用語も知識として知っておく必要がある。
おわりに
説明会で抽象的な話を聞いてもなんとなくピンとこないかもしれませんが、それでも色々な視点の話を聞いてアンテナを張っておくことは大事なことかなと思います。過去問演習を進めて入試問題をいくつも見ていくとイメージがつき、色んな話が繋がるようになるんじゃないかと思います。
あと、動画だけではなく資料についても入手しておきたいですが、難関校受験を考えていれば以下の資料が有用だと思います。特に6年生でその塾の模試を受ける場合はぜひ入手しておきたいです。
- サピックス 合格力判定資料:
学校別に、前年の受験者・合格者の偏差値分布グラフがあるので、自分の偏差値だとどの辺りにいて合格の現実感がどの程度あるのかを把握できます。まあ同じものがサピックスマイページにもあるので、塾生や模試を受験した人は見ることはできますが、冊子で手元にあると複数の学校を見比べたりするのに便利ではあります。 - 日能研 入試分析ブック、中学入試問題2022:
学校別に、受験者・合格者の4年〜6年時の偏差値分布があるので、日能研模試がメインの人はこれが参考になると思います。また、学校別に出題分野の難易度をまとめた表もあり、これは入試問題の難易度を見るのに有用です。 - 四谷大塚 中学入試案内:
これは番外編で、夏ぐらいに四谷大塚生に配られる分厚い学校案内冊子です。前半の難関校だけですが、学校別に受験者・合格者の合不合・組分け・週テストの偏差値分布が載っているので、四谷系の生徒はもちろん合不合受験生にも有用だと思います。
あとは、各塾の資料で学校ごとに問題傾向を書いてくれているので、それらに目を通しておけば参考になるでしょう。
以上、参考になればうれしいです。
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