千葉入試データのレポート、市川・東邦大東邦に引き続き、第3弾は渋谷幕張をお届けします。入試結果データが判明し次第このページを更新していくので、後日再アクセスいただければと思います。
2023年 渋谷幕張一次入試 出願者数
出願は1月10日で締め切られています。ここでは、数年前からの推移を含めてグラフにして出します。

昨年比で1.03倍ということで微増というかほぼ横ばいでしょう。コロナ影響で一気に落ち込んだ2021年から、2022年はやや回復しましたが、2023年はさらに増加という流れのようです。その中でも女子が増えていて(昨年も)、最も多かった2019年に次ぐ人数となっているのが目立つところです。
次に難易度確認のため偏差値の推移を見てみます。

*男子は実線、女子は点線で表しています(サピックスと日能研は男女同じだったので同一で表記)
ここ数年は高値安定という感じであまり変動はなさそうですが、前年より合格者を100人減らし渋幕ショックと言われた2020年にサピックス偏差値が上がっているところが目立つという感じでしょうか。ちなみに翌年には合格者数を増やし難易度は戻っています。なので、2020年のような大きな変動さえなければ、昨年並みになるのかなと思います。
あと女子の増加が気になったので、出願者と合格者の男女比を出して難易度に違いがあるかを見てみます。すると、2021年までの5年間では以下の割合で綺麗に揃っていました。(表示は男子:女子)
出願者数7:3 → 合格者数3:1(9:3)
(合格者割合は男子がやや多くなります)
ところが2022年はこの比率が変わっていて、女子の比率が増えています。
出願者数2:1(6:3) → 合格者数7:3
合格者割合の方も、単純に受験者増の分だけ伸びたというよりも若干女子寄りに変化していて、男子優位が多少修正されています。
今年の出願者の男女比は2:1となっているので、ここまでは昨年と同様の動きです。となると一過性のものとも思えないので注目してみたいと思います。女子の高学力層が増えたということなのか、それとも問題の傾向による一時的なものなのか、今年の結果を見て分析できればしてみたいと思います。
ともあれ、まずは受験生が力を出し切れることをお祈りしたいと思います。22日まで関東地方の天気ははもちそうなので、大きな混乱なく終わってほしいですね。頑張れ受験生!
昨年の我が家の様子を記した次の記事も参考になればどうぞ。
2023年 渋谷幕張一次入試 入試結果
入試結果が発表されたので更新します。
合格者数と実質倍率
数字は学校Webサイトで公開されているので、ここではグラフにして出します。

実質倍率はやや低下
昨年より受験者数は増加しましたが、合格者数が昨年より50人以上増加したため実質倍率はやや低下しました。ちなみに合格者数が700名を超えたのは2019年以来となります。
男女差は拡大
出願者数のところで男女の難易度差について触れたので、ここでも調べました。上ではざっくりの比にしましたが、ここでは全体を100%としてパーセンテージで出します。
出願者数の男女割合 (男子/女子) | 合格者数の男女割合 (男子/女子) | |
---|---|---|
2017〜2021年平均 | 69.5%/30.5%(±0.5%) | 74%/26%(±1%) |
2022年 | 67%/33% | 71%/29% |
2023年 | 67%/33% | 73%/27% |
出願者数は昨年と同じく女子が多めだったのですが、合格者数は例年並みの割合に戻ってしまいました。つまり、例年よりも合格者の男女差は拡大し、女子には厳しい入試になったということが言えると思います。
平均点・合格最低点
平均点と合格最低点は次の通りです。
2023 | 2022 | 2021 | 2020 | 2019 | 2018 | |
---|---|---|---|---|---|---|
配点 | 350 | 350 | 350 | 350 | 350 | 350 |
受験者平均点 | 176.7(50%) | 195.8(56%) | 171.8(49%) | 185.8(53%) | 174.6(50%) | 165.3(47%) |
合格最低点 | 187(53%) | 209(60%) | 182(52%) | 204(58%) | 188(54%) | 179(51%) |
得点差(得点率差) | 10.3(2.9%) | 13.2(3.8%) | 10.2(2.9%) | 18.2(5.2%) | 13.4(3.8%) | 13.7(3.9%) |
難易度はやや下がった可能性あり
平均点・合格最低点ともやや低めで、問題が難しめだったかもしれません。
難易度(合格のしやすさ)を見るために受験者平均点と合格最低点との得点差(赤字部分)を出していますが、これが10.3点と2021年に次いで低くなっています。ここから判断すると、やや易化したということが言えるかもしれません。
科目別平均点
科目別平均点は次の通りです。
2023 | 2022 | 2021 | 2020 | 2019 | |
---|---|---|---|---|---|
国語(100点) | 48.6 | 56.5 | 56.7 | 48.8 | 46.7 |
算数(100点) | 47.8 | 52.0 | 41.9 | 45.0 | 39.4 |
理科(75点) | 35.1 | 42.8 | 38.3 | 48.9 | 42.7 |
社会(75点) | 45.1 | 44.5 | 34.8 | 43.1 | 45.7 |
合計(350点) | 176.7 | 195.8 | 171.8 | 185.8 | 174.6 |
社会が昨年並みである以外は全ての科目で平均点が下がっています。特に理科は過去5年で最低となりました。昨年は渋幕としては比較的高得点の勝負になりましたが、ことしは例年並みの難しい問題セットになったと見て取れるかと思います。
コベツバ入試速報
算数に関してはコベツバで解説しているので、リンクと要約を記載しておきます。

- レベルAが50%、レベルCが1問、残り40%強がレベルB
- [1][2]が思考力で結構大変な問題だった
- [3]は読解もあり丁寧に解かなければいけない問題、ただ全体の中では一番完答しやすい大問(ただ[1][2]でヘロヘロになった頭では間違えやすかったかもしれない)
- [4]-(1)はサービス問題、(2)は過去に西大和学園で類題が出ているが、かなり難しいので飛ばしてよかっただろう
- [5]は一見思考力に見えるが入れ子構造を見て解法に気付いたかどうか、また作図問題は出されたが作図自体がハンデにならない感じで出されている
- 例年通りの出題構成、難易度といえる
渋幕の入試は持ち物に三角定規やコンパスがあり、10年ほど前までは一次でも二次でも作図問題が出ていましたが、近年は二次のみでの出題となっていました。今回何年ぶりかで一次に作図問題が出題されたとのことで、今回は作図自体は難しいものではありませんでしたが、最低限の作図対策は必要そうではあります。
さいごに
受験生はおつかれさまでした。合格された方はおめでとうございます。
今年の渋幕一次は、数字を見る限りは昨年より少しだけ合格しやすかったと言えるかもしれません。ただ、女子には例年にも増して厳しい入試だったかもしれません。まあいずれにせよハイレベルな戦いではありますし、科目ごとの問題の難しさなど少しの要因で合否が分かれることは往々にしてあると思います。
まだ受験が続く方については、合格であっても気を抜くことなく、もし残念でも前を向いて、ここでの経験を次に活かせるように取り組んでいってほしいと思います。
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