埼玉を皮切りに首都圏の中学入試が本格スタートしました。
2024年の埼玉入試のトピックは何といっても開智グループですね。開智所沢中等教育学校の新規開校と、その開智所沢が開智入試を使って合格判定するということで、開智中学の出願者が激増しています。そしてその影響なのかはわかりませんが、埼玉入試全体が活況になっている印象があります。
ということで、埼玉上位の3校(栄東・開智・大宮開成)を中心に2024年の埼玉入試を見てみます。
まだ入試期間の真っ最中でもあり、結果発表後にこちらのデータも更新します。淑徳与野の動きも気になるので、ある程度出揃ったところで考察も追加します。
埼玉初日入試の出願者数
埼玉の解禁日となる1月10日(午前)は、1000人以上を集める大規模入試が以下の4校で実施されます。
入試日程と偏差値 | サピックス | 四谷大塚 | 日能研 | 首都模試 |
---|---|---|---|---|
栄東 A日程 | 50 | 58 | 59 | 72 |
開智 第1回 | 43 | 54 | 54 | 67 |
大宮開成 第1回 | 46 | 53 | 55 | 66 |
埼玉栄 第1回 | 34 | 42 | 45 | 57 |
ここでは、偏差値的にやや差のある埼玉栄を除く上位3校について集計します。
埼玉3校の出願者数
まず、栄東・開智・大宮開成の3校の出願者数を積み上げて見てみます。
2024年は、3校合計で1万人を超える規模となっています。2020年も近しい数字に見えますが、このときは栄東A日程が1日で実施されていたので、その分が大きく異なります。
実受験生数ではなくあくまで出願者数ではありますが、受験生の歩留まりはどの学校も95〜98%とかなので、それを踏まえれば、この3校だけでも1万人近くが実際に受験しているということになります。これだけの受験生が大宮近辺に集結していると考えるだけでも凄いことだなと思いますね。
今回の埼玉入試については、開智の伸びによって押し上げられたという分析はされると思いますが、それが開智(と開智所沢)だけに留まらず、栄東・大宮開成にも波及して3校全体の数字が大きく伸びているというのは考察しがいのある動きだと思います。
結局、開智所沢の開校によって開智が他校から受験生を奪ってきたというよりも、埼玉受験に目を向けさせる効果の方が大きかったということになるのではと思われます。
個別の学校についても見てみます。
栄東 A日程
栄東については別記事で詳細化しているので、グラフだけ再掲します。
ここ3年で急増しているのが見て取れます。詳しい考察はこちらへ↓
開智 第1回
開智は、2024年から先端1が第1回へと名称変更になりました。さいたまスーパーアリーナも会場になっている大規模入試です。結果も含めて表示します。
2023年以前は先端1入試
冒頭で触れた通り、この開智の入試が爆増しています。昨年もやや増加していましたが、それよりさらに1.5倍増という激しい増え方になっています。
これは開智所沢の開校に伴い、開智と開智所沢を合同入試にしたことが最大の要因です。出願時に「開智中学校のみ判定」「開智所沢のみ判定」「両方判定」を選択し、1回の受験で両校の判定ができるという仕組みになっています。開智所沢単独での入試はないので、2校分が合体した入試ということで志願者が増えるのは当たり前と言えば当たり前ですが、元々規模の大きい開智ということで影響も大きいと考えられます。
結果を見ると、受験者増に伴って合格者も増えているので、実質倍率は前年と変わらずということになりました。後ほどこの辺りは考察したいです。
ちなみに開智と開智所沢でそれぞれデータが出ているので表にしてみます。
開智 | 開智所沢 | 差(開智所沢を基準) | |
---|---|---|---|
定員 | 110 | 100 | -10 |
出願者数 | 2,525 | 2,309 | -215 |
受験者数 | 2,384 | 2,154 | -229 |
合格者数 | 1,459 | 1,628 | +173 |
実質倍率 | 1.63倍 | 1.32倍 |
開智は「開智中学校のみ判定」「両方判定」を選択された人数
開智所沢は「開智所沢のみ判定」「両方判定」を選択された人数
両校の合否判定をするのか、片方だけの合否判定にするのかを出願時に選択するようですが、特に追加コストがかかるわけでもなく絞るメリットもないので、両方判定を選んでいる人が多いのではないかと想像できます。
結果を見て特徴的なのは合格者の数ですね。母集団がほぼ同じとすると、合格者数が多い分だけ開智所沢の方が合格しやすかったということになるでしょう。この辺りが難易度(偏差値)の差として出てくるんだと思います。
大宮開成 第1回
大宮駅徒歩圏内の大宮開成でも、1月10日に第1回入試が行われています。こちらは以下の通りです。
*特待T合格の人数も含みます
大宮開成は2022年から大きく人気化して2000人を超える規模となりましたが、2024年はさらに200人ほど上積みされました。2000人規模の入試というのはほぼ定着したように見えます。
結果を見ると、受験者増の割に合格者数は増えなかったことから、実質倍率はやや上昇しています。
これ以外の学校
ということでこの3校だけでもざっと1万人規模の入試になったわけですが、この他の学校でも同日に入試を行なっているところはあります。
ということで上の3校以外について、とりあえず出願者数の増減だけ見ておきます。
出願者数 | 2024年 | 2023年 | 増減率 |
---|---|---|---|
青山学院浦和ルーテル 第1回 | 375 | 265 | 141.5% |
埼玉栄 第1回 | 1,940 | 1,710 | 113.5% |
城北埼玉 第1回 | 340 | 363 | 93.7% |
浦和実業 第1回特待* | 481 | 536 | 89.7% |
城北埼玉 特待 | 352 | 400 | 88.0% |
星野学園 第1回* | 446 | 568 | 78.5% |
西武文理 第1回 | 701 | 905 | 77.5% |
増加は青学浦和ルーテルと埼玉栄、それ以外は減少だったようです。これを見ると、受験生を奪われたかたちに見える学校も多そうですが、規模の大きい埼玉栄でも増加しているということなので、埼玉全体として大きく増やした印象の方が大きいです。
なお、これらの学校も合わせ、埼玉の1月10日入試全体で集計するとこんな感じです。
出願者数 | 2024年 | 2023年 | 増減率 |
---|---|---|---|
埼玉全体 | 15,115 | 13,658 | 110.7% |
全体で1500名程度の増加、前年比110%ということでした。中学受験生は昨年並みと予想されているので、そこからすれば埼玉入試の活況ぶりが伺えます。これまでよりも、お試し受験を超えて現実的な進学先として合格を確保しておきたい、という流れになってきているのかもしれません。
次ページでは1月12日までの入試データを見てみます。
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