合不合とサピックスオープンのデータを合算してみた

受験データ 受験データ

前回記事(サピックスオープンの入試動向動画が秀逸)でも触れましたが、合不合と合判サピックスオープン(以下SO)の2つの模試の志望者データを合算すると、関東圏の上位校についてはかなり現実の志望者数に近くなるんじゃないかと思ったのでちょっと集計してみました。

6年生後半は四大模試といわれるものがあり、(1)四谷大塚の合不合判定テスト、(2)合格力判定サピックスオープンのほかにも、(3)日能研の合格判定テストと(4)首都圏模試センターの合判模試があります。ただ、首都圏模試は中堅校受験が中心と言われており、上位校受験者は(1)〜(3)のどれかを受けるのが一般的だと思います。日能研模試は無視できないですが、最近の流れから上位校受験者のボリュームゾーンは(1)(2)で見ておいても問題ないだろうと思うので(日能研分を割引けばよいかと)、手元にあるこの2つの模試で見てみます。

ちなみに、合不合の結果資料データには男子のものしか記載がなかったため、残念ながら女子校や男女混合で判定する共学校のデータは含めることができませんでした。

集計の前提条件

9月に実施された、以下の6年生の模試を対象とし、志望者数を合算します。

  • 第3回合不合判定テスト
  • 第1回合格力判定サピックスオープン

集計対象:

  • 男子校および男女別判定の共学校(男子分のみ)
  • サピックス偏差値46以上
  • 2月4日以降の受験回は除外 (※)
  • 埼玉・千葉入試も除外 (※)
  • 2021入試の受験者数と比較し極端な数値だった学校を除外(後述)
  • ※第1〜第4志望に書いていない可能性や、別日程の結果に左右されデータの信頼性に欠けるため

データの有効性を確認するため、2021年度本番入試の受験者数と、昨年の模試データ(2021年度受験者の模試データ)から、全受験者に占めるこの2つの模試の割合を出してみました。試しにサピックス偏差値上位5校を抜粋すると次の感じで、いずれも100%前後に収まっています。

サピ偏差値学校2020年9月模試/本番入試受験者
70筑波大駒場97%
67開成108%
64聖光学院①101%
63渋谷教育渋谷②98%
62麻布92%

そして、以下の学校はこの模試が占める割合が小さかったり受験者の母数が少なかったりで、データの信頼性が低いと判断し除外しています。

  • 慶應湘南藤沢(サピックスでは男女別集計だが、学校発表の実受験者は男女混合になっている)
  • 逗子開成①②(ともに50%以下)
  • 鎌倉学園①②(ともに50%以下)
  • 国学院久我山①②(ともに60%以下)
  • 高輪AB(ともに60%以下)
  • 東京都市大付属②(48%)
  • 法政第二①(49%)
  • 学芸大世田谷、学芸大竹早(母数が少なくブレが大きい)
  • 公立中高一貫校(40%以下)

結果、抽出した入試は33校、46回分で、平均値は90%、中央値は89%になります。

実受験生の90%がこの2つの模試を受験していたというのは割合として多いと思いますが、合不合とSOを両方受験していたり、このあと志望校を変更した受験生もいたことを考えると、妥当と考えてもいいんじゃないでしょうか。

あと全体的な傾向として、中堅校と神奈川は割合が低めに出ているので、この分は少し割り引いて考える必要があると思います。これは、サピックスの母集団の傾向からきているのと、神奈川方面では日能研が強いためと考えることができると思います。

昨年より増加の入試回

ではデータを見ていきます。分かりやすくするため、模試の年度ではなく入試年度で書いています。

昨年(21年)→今年(22年)で増加率の高い入試回から順に並べています。参考までに、一昨年(20年)→昨年(21年)のデータと、本番入試での受験者数増減も併記したので、去年の実際の動きも見れるかと思います。

学校名サピ偏21→22年20→21年本番入試の増減(20→21)
1渋谷教育渋谷①58128%101%98%
2東京都市大付①52125%97%89%
3鎌倉学園(算数)59124%79%74%
4暁星②46121%86%59%
5本郷②55121%98%91%
6明大中野①48120%88%103%
7暁星①46119%103%86%
8慶應普通部59118%98%96%
9攻玉社①46115%86%84%
10武蔵60112%99%99%
11青山学院49110%83%89%
12巣鴨①48110%92%83%
13早稲田②61109%91%88%
14早稲田実業56108%100%92%
15巣鴨(算数)61108%87%85%
16攻玉社②53108%96%91%
17慶應中等部59107%106%107%
18麻布62107%94%87%
19聖光学院①64105%87%86%
20渋谷教育渋谷②63104%112%120%
21海城②61103%105%104%
22城北①46102%100%98%
23高輪(算数)55102%100%103%
24筑波大附属62101%118%144%
25早大学院56101%96%95%
26海城①58100%106%102%

去年のデータで見てみると、模試での増減と本番入試で大きく(10ポイント以上)違ったのは、暁星②(86%→59%)、明大中野(88%→103%)、筑波大附属(118%→144%)くらいですかね。明大中野はわかりませんが、あとの2校は昨年と一昨年で入試変更があったので、その影響かと思います。そのほかの学校は、模試の志望動向がそれなりにリンクしているのではと思います。

増加が目立つのは渋渋で、①も②も2年連続で増加、②は実入試でも120%増加しています。それ以外では、明大中野、慶應中等部、海城①②、高輪(算数)、筑波大附属が、本番入試で受験者が増加した上で今年も志望者数を増やしています。

昨年より減少の入試回

減少は以下の20回です。

学校名サピ偏21→22年20→21年実入試の増減(20→21)
27本郷①5099%116%101%
28桐朋①4797%87%100%
29浅野5897%104%98%
30早稲田①5997%107%93%
31城北②5095%95%88%
32開成6795%91%88%
33芝①5194%113%103%
34筑波大駒場7092%93%100%
35桐朋②5492%89%97%
36国学院久我山(ST②)4892%109%91%
37立教池袋①5089%81%79%
38学習院②4888%130%93%
39サレジオ学院①5688%119%118%
40巣鴨②5388%116%89%
41駒場東邦6086%116%108%
42栄光学園6286%98%99%
43世田谷学園 算数5986%86%82%
44世田谷学園①4683%104%62%
45学習院①4779%114%98%
46世田谷学園②4879%108%75%

最初のデータよりも、昨年度増加の学校が多いなというのが目立ちます。これは昨年増やした反動という感じですかね。

ただ、早稲田①、国学院久我山(ST②)、学習院②、巣鴨②、世田谷学園①②など、模試では大きく増加傾向だったにも関わらず本番入試では減少に転じた学校もあります。これらの学校が、去年の本番入試の減少の反動で増やすのではなく、その流れのまま(?)、今年も減少傾向にあるというのはちょっと不思議というかおもしろい傾向だなと思います。また、このあたりが12月模試までどんな動きだったのかは追い追い見ていきたいと思います。

傾向はあるのか

大学附属校が人気とか、何かわかりやすい傾向があるのかとだいぶ眺めてみたものの、まあ早慶の附属校はたしかに増加傾向が継続してはいるものの、これといって顕著な傾向はわかりませんでした。

それよりも、やはり合不合やSO単体で見たときとはだいぶ傾向が変わるのがおもしろいというか、こちらの方がぶれ幅が小さくなるので外しづらくなると思います。

例えば2年連続で増加傾向と書いた渋渋ですが、昨年の渋渋①について、合不合のデータでは81%なので減少と思うところですが、SOでは121%となっていて大きく見方が分かれたと思います。これを合算すると101%なので前年並みのデータとなり、実際の本番入試では98%で微減となっていたので、サピックス側で驚いた人はいるかもしれません。

逆パターンだと、暁星②は、合不合137%、SO69%となっていて、合算数値は103%、本番入試は86%で減少となったので、合不合だけを見ているとだいぶ違った結果になったと感じると思います。

ここから言えるのは、もし併願校を決める際に志望者数の増減を材料にするのだとすると、1つの模試の傾向だけを見て決めるのはちょっと危ないのかなということです。まあ上に挙げたのは極端な例ですし、そもそもそんなデータで受験校決めるなよというのもあると思いますが、模試の母集団によって傾向が変わる場合はあるというのはちょっと頭に置いておいてもいいのかなと思います。

あとは、この先それぞれ3回の模試があり、この数字がどういう動きをするのかは個人的に非常に興味があるところなので、できる範囲で追いかけてみたいなと思います。

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