今年の東大理Ⅲ(理科三類)合格者数で、桜蔭が灘や筑駒をおさえ1位になったということでザワついていますね。こんな記事とか。

常にトップ争いをしてきた灘・筑駒・開成が3校ともやや奮わなかった感と、桜蔭がついに2ケタに乗せたということで一気に逆転となった感じです。
中学受験界隈でも大学合格実績に注目している人は多いでしょうし、東大や難関大学への合格者数ランキングは気になるところでしょう。
別に東大に入ることが全てではないし、ましてや親が理Ⅲを意識するなど危険思想以外の何モノでもないと個人的には思っています。ただ、東大合格者数ランキングを見て今年の開成はどうだったとか、今年受かりすぎて浪人生減るから来年は厳しいだろうねーとか好き勝手言って楽しんでいるのはアリなんじゃないかと思います。プロ野球見ながらあーだこーだ言っている親父と同じ感覚ですね。
ちょうどCASTDICE TVのYouTubeチャンネルでも過去10年の理Ⅲ合格者数を出していておもしろかったので、乗っかってみようかと思います。

東大理Ⅲ合格者数ランキング【2013〜2022年】
2013〜2022年までの過去10年の理Ⅲ合格者数の年平均人数でランキングします。合格者が1〜2人の学校が多すぎて抜け漏れの可能性があるので、年平均で1人を超えた(=合計10人を超えた)学校のみを一覧化しました。
No. | 学校名 | 年平均 | 2022 | 2021 | 2020 | 2019 | 2018 | 2017 | 2016 | 2015 | 2014 | 2013 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 灘 | 16.5人 | 10 | 12 | 14 | 21 | 15 | 19 | 20 | 15 | 12 | 27 |
2 | 筑波大附属駒場 | 10.3人 | 6 | 14 | 7 | 10 | 17 | 7 | 15 | 9 | 11 | 7 |
3 | 開成 | 9.6人 | 6 | 10 | 13 | 10 | 10 | 10 | 7 | 14 | 8 | 8 |
4 | 桜蔭 | 7.4人 | 13 | 8 | 7 | 6 | 8 | 7 | 6 | 9 | 6 | 4 |
5 | 聖光学院 | 2.6人 | 0 | 3 | 3 | 2 | 4 | 3 | 3 | 3 | 4 | 1 |
6 | ラ・サール | 2.5人 | 3 | 3 | 2 | 1 | 2 | 3 | 2 | 1 | 4 | 4 |
7 | 洛南 | 2.5人 | 0 | 2 | 3 | 4 | 2 | 3 | 1 | 2 | 6 | 2 |
8 | 麻布 | 2.5人 | 2 | 2 | 3 | 3 | 4 | 4 | 1 | 2 | 2 | 2 |
9 | 栄光学園 | 2.1人 | 3 | 0 | 2 | 2 | 2 | 4 | 3 | 1 | 3 | 1 |
10 | 渋谷教育学園幕張 | 1.8人 | 2 | 0 | 2 | 1 | 2 | 3 | 3 | 2 | 0 | 3 |
11 | 海城 | 1.7人 | 1 | 3 | 3 | 1 | 0 | 1 | 1 | 3 | 1 | 3 |
12 | 東海 | 1.4人 | 0 | 1 | 0 | 2 | 2 | 0 | 4 | 2 | 3 | 0 |
13 | 駒場東邦 | 1.4人 | 3 | 0 | 0 | 4 | 0 | 1 | 0 | 3 | 2 | 1 |
14 | 久留米大附設 | 1.3人 | 4 | 3 | 0 | 0 | 1 | 1 | 2 | 1 | 0 | 1 |
15 | 筑波大附属 | 1.3人 | 3 | 0 | 1 | 0 | 1 | 1 | 2 | 0 | 2 | 3 |
16 | 広島学院 | 1.2人 | 2 | 3 | 0 | 2 | 0 | 1 | 0 | 2 | 0 | 2 |
CASTDICE TVでも触れていましたが、上位4校と5位以下で圧倒的な差があります。桜蔭が今年トップに立ったことで急に注目された感がありますが、以前から4強の一角であったことが数字から分かります。またこの4校の中では、灘が強いというのは自明ですが、開成は常に一定の合格者は出しながらも一度もトップを取っていないというのも意外というかおもしろいです。
あとは東大合格者数ランキングでもお馴染みの顔ぶれな感じですね。ただ、このところランキング常連の日比谷高校は0.3人(2014、2021、2022で1人ずつ)で、東大合格者の伸びに比べると理Ⅲはそれほど増えていないようです。よく見れば上位は中高一貫校がほとんどなので、理Ⅲレベルだと高校受験後からでは間に合わないとかもあるのかもしれません。
また聖光学院が東大ランキングに比べて少ない点も気になりますが、この学校はリアルに塾いらずのようで鉄緑会の在籍人数も少ないので、考えようによっては鉄緑会比率がこの数字に関係しているという風に見えなくもないです。
ちなみに上位4校だけでも合格者全体の4割を占め、上に挙げた学校で7割に達します。凄まじい寡占化ですね。東大が学生の多様性に危機感を表明し(理Ⅲだけの話ではないでしょうが)、推薦入試の門戸を開いたというのもこれを見ると理解できます。(寡占化が悪いことなのかどうかの議論はさておき)
その他、首都圏の中学受験でよくお目にかかる学校を挙げると次の通りです。
巣鴨(0.8人)、浅野(0.7人)、早稲田(0.6人)、女子学院(0.6人)
以上、東大理Ⅲ合格者数ランキングでした。
ランキング上位の学校が偉いとかではないし、学力の頂点として理Ⅲを目指すことの是非などの話も一旦置いておいても、まあ最難関と言われる理Ⅲを目指す最上位層がその学校にどのくらいいるのかというような感じで見てみるのもいいのかなと思います。
以上参考に、というより楽しんでいただけたら幸いです。
今回調査にあたって以下のサイトを大いに参考にしました。理Ⅲ入試が始まった年からの集計と考察があり、上位国私立校の寡占率が上がっていく過程が見え興味深かったです。私の母校も僅かな人数ながら名前があり少しだけ母校愛を感じました。 東京大理科Ⅲ類 累計合格者数ランキング
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