全国統一小学生テストについて知っておくべきこと

全国統一小学生テスト 模試の情報まとめ

今週末に迫った四谷大塚の全国統一小学生テストについてまとめました。初めての方から中学受験生まで、受験前に気をつけておきたいポイントなどを中心に解説します。

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全国統一小学生テストとは

四谷大塚が実施する小学生向けの全国模試で、無料で受験できます。名前が長いので初めどう呼んでいいのかわからなかったのですが、全統小と呼ばれることが多いようです。

対象は年長〜小学6年生まで。6月のこの時期と、11月(3日のことが多い)の2回実施されます。

受験は、四谷大塚系列の塾の場合は通っている塾での申し込みとなり(直営校は必須受験)、指定された会場で受験することになります。外部生の場合はたくさんある会場の中から選んで受験することが可能です。

四谷大塚系列の塾に入塾したい場合は、この模試によって入塾テストの代わりになります。

全国統一小学生テスト 3つの特長

四谷大塚Webサイトでも紹介されている3つの特長は以下の通りです。

全国統一小学生テスト 3つの特長
  1. 全国規模での順位がわかる
  2. 全国の小学生・年長生を無料招待
  3. 連続受験で学力の推移がわかる

受験する側のメリットはそのままこの3点ということで良いでしょう。キーワードは、1.全国規模2.無料3.毎年実施です。

非常に大きな規模の模試なので、お子さんが全国の同学年の中でどのあたりの学力にいるのか、また学年が上がるに従ってどう推移しているかというのを確認することができ、今後の学習計画を考えるきっかけになると思います。

試験の概要

本年度の試験の内容は以下の通りです。

試験日:

2022年6月5日(日)(WEB申込締切:6月2日(木))

開始・終了時間の目安:

開始時間終了時間
年長生9:0010:00
小1・2年生9:0010:40
小学3年生9:0011:10
小学4年生9:0012:10
小5・6年生9:0012:30

試験教科と配点・時間:

算数国語理科社会合計平均点の目安
年長生100点(30分)なしなし100点配点の80%
小学1年生150点(30分)150点(30分)なしなし計300点配点の70%
小学2年生150点(30分)150点(30分)なしなし計300点配点の60%
小学3年生150点(35分)150点(35分)なしなし計300点
小学4年生150点(40分)150点(40分)100点(20分)100点(20分)計500点配点の55%
小学5年生150点(50分)150点(40分)100点(25分)100点(25分)計500点
小学6年生150点(50分)150点(40分)100点(25分)100点(25分)計500点
* 小学4・5・6年生は算・国・理または算・国でも受験可能

基本問題から応用問題まで幅広く出題され、だいたい6割程度の平均点になるような出題になっています。特に初めて受ける一般生は、学校のテストのような100点を取る問題ではないことに注意が必要です。

試験形式:

  • 年長生・1・2年生:記述式
  • 3・4・5・6年生:マークシート形式

低学年は記述式とは言うものの、低学年の子供にマークシートを理解させることが難しいためであって、本格的な記述問題ではなく数字を書いたり選択肢から選んで丸をつけるような、マークシートと同様の問題なのであまり構えなくてよいと思います。

中高学年はマークシート形式の選択肢問題ですが、算数については数字をマークするかたち(例えば答えが12なら①と②とマークするなど)できちんと答えを出さないと正解できないような問題も含まれています。とはいえ基本的には選択肢問題が主なので、中学入試の問題形式とはやや異なります。

出題範囲:

  • 年長生:考える力を見る問題
  • 小学1〜6年生:各学年1学期までの教科書の内容+応用力を試す問題

小学校各学年での習得範囲が出題されます。中学受験塾では4年生以降は基本的に先取りしていますが、塾での学習範囲ではなくあくまで小学校の学習範囲で出題されます。これは一般生に配慮したかたちと想像できます。

振替受験・オンライン受験

当日会場受験のみで、振替受験、オンライン受験ともにありません。

受験後の話

解答・解説

解答・解説は当日試験終了後、子供に配布されます。問題用紙も持ち帰ることができるので、問題用紙へ答えを記入してきてもらえば自己採点が可能です。他の模試と違って記述がないので、例えば回答する前に問題用紙の選択肢にマルしてから答えるなどしておいてもらえれば、ほぼ正しい点数が出せます。

全統小は結果返却まで10日以上空いてしまい、そこまで時間が経ってしまうともうほとんど問題を覚えていないことになるので、せっかく受けたテストを有効活用するためには当日か翌日くらいには採点し、間違えた問題の見直し・解き直しをやっておいた方が良いと思います。

返却資料

10日後以降に、受験した塾を通じて”君だけの診断レポート”という成績表が返却されます。四谷大塚の他の模試は、翌日には答案が返却され3日後までには成績がWeb公開されるという流れが通常ですが、この全統小に限っては返却までの期間が長く、成績も紙で渡されるという大きな違いがあるので注意が必要です。

一部郵送対応の塾もあるようですが、基本的には塾との面談が設定され、そこで結果について塾の先生と話をして資料が渡されるという流れになります。

ちなみにこれだけ大規模な模試を無料で提供してくれているのはなぜでしょう。四谷大塚は営利企業なので、小学生のためにボランティアでやっているというわけでは当然ありません。国が大規模な予算を投下して学校で実施する全国学力調査とはこの点で根本的に異なります。四谷大塚から見ればこれはマーケティング活動であり、最大の集客イベントということになります。つまり、これをきっかけに中学受験に関心を持ってもらい、最終的には入塾につなげるというのがゴールであると考えられます。
その意味で、いちいち成績資料をもらうのに面談されるというのは面倒ではありますが、無料で受ける見返りとして営業の場が設定されている点については社会人として理解を示したいです。別に言われるがままに入塾する必要はないですが、営業されるかと身構えるよりは、子供の今後のための情報収集の場として利用するくらいの気持ちで臨めばよいのではないでしょうかね。(もちろん良ければ入塾すればいいと思いますし)

成績表の見方 – 母集団の把握

四谷大塚の中学受験講座では組分けテストや合不合判定テストなどがありますが、それらの模試とこの全統小では母集団が異なります。また学年によって母集団の傾向も変わるので、中学受験生としてはここのあたりをきちんと理解しておく必要があります。

全統小の母集団をざっくり分類すると以下の通りです。

母集団の大まかな分類
  1. 四谷大塚系列塾(早稲田アカデミー含む)の塾生
  2. 他塾に通う中学受験生(SAPIX等)
  3. 中学受験勉強には着手していない一般生

低学年〜4年生(6月):低学年から中学受験塾に通っている生徒は多くはありませんが、このテストの受験生は中学受験を意識した家庭が多く、最終的には1.か2.になる生徒が多い母集団となります。そのため、比較的学力が高めの母集団であると考えられます。

4年(11月)〜6年生:1.の生徒は受験が義務付けられていたり推奨されていたりするので比較的多めですが、2.の生徒は一気に減り、3.の生徒が増えます。このため、受験勉強に取り組んでいる上位層がやや手薄になり、平均からそれ以下の層が増えるという構図になります。

なお、息子の過去の資料を見る限りは学年によって受験生の数自体は大きく変わらず、5月が2万人強、11月が3万人弱という感じでした(6年生では受験しなかったのでわかりません)。ただ4年生だけややイレギュラーで、5月も11月も25000人前後に収まっています。これは、4年生前期までは2.の他塾生も一定数受験し、11月には止めているという動きによるものと推察します。

一般生は学力が低い、みたいな書き方をしてしまいましたが、あくまで中学受験を前提としたときの学力の到達度合いが相対的に低いという意味なので、このテストを受けるような意識の高い家庭であれば、小学生全体から見ればだいぶ高い部類ではあると思います。

さてこれをふまえて、成績をどうみたら良いでしょうか。

成績表の見方 – 母集団をふまえて

低学年〜4年生

低学年の勉強と高学年の中学受験勉強は直結しないので(まあ土台にはなっていますが)、低学年のうちは順位や偏差値は気にしない方が良いと思います。直前対策などをやるかやらないかで結果も全く変わるでしょうし、決勝大会(後述)を目指す超トップ層以外はそこまでやる意義を個人的には感じません。ちなみにあわよくば決勝へ、などと考えてもまず届かないレベル感なので、幼少期から英才教育を施してきたのでなければ考えない方がよいです。

点数や順位の方に目がいきがちですが、見るべきは問題別成績一覧です。これは問題ごとに正答率と自身の正誤が一覧表になっています。この中で、正答率が高かったのに間違えた問題があればその原因を探って不得意そうなら復習し、逆に正答率が低かったのに合っていた問題があれば思いっきり褒め称えてカンチガイさせてあげます。上の母集団のところで触れた通り、比較的上位層が受けている可能性があるので、出来た問題については純粋にすごいと思っていいと思います。

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あとは、算数・国語で大まかな得意不得意の傾向を見る感じですかね。特に国語力は長年の積み重ねが差を生むので、もし低いようであれば読書習慣をつける、見るテレビを変える、親子の会話を見直すなど、普段の生活を少し工夫するよう考えるのがいいかもしれません。

5年生〜6年生

母集団のところで見た通り、4年生後半からは母集団が変わります。特に5年生以降は四谷大塚系以外は一般生が多くなります。これによって、全統小で出る偏差値は中学受験の評価としてはあてにならなくなります。具体的に言うと、四谷大塚の組分けテストと比較して、概ね5〜10の範囲で高く出ます。これは、通常の偏差値が50なら50台後半になるということを意味します。

四谷大塚生(早稲アカなど提携・準拠塾も)はその分を割引いて見る必要があるので注意してください。間違っても、この全統小とこの後に行われる組分け等の偏差値を見比べて、このときより下がったなどと叱りつけるようなことのないようご注意願います。組分けの方が正しい立ち位置を示していると認識する必要があります。ただ、通常より高く出るというこの特性を踏まえ、あえてこれを使って子供の自信を回復させるのに使用するというのもひとつの手なので覚えておくといいかもしれません。

一般生(外部生)の場合も、四谷大塚の通常の偏差値よりは高く出ているというのは認識しておいた方が良いと思います。全統小の偏差値と四谷大塚の学校偏差値表を見比べてみたり、自塾の偏差値と比べて高く出るので四谷大塚(や早稲アカ)はレベルが低いなどと考えるのは誤った判断につながる恐れがあります。

あとそれぞれの表については、基本的には低学年のところと同じく問題別成績や傾向を見るのが良いでしょう。1点だけ、くどいようですが6年生で出力される志望校判定はあまりあてにならないとだけ思っておいてください。

決勝大会

コロナ禍で中止になっていた決勝大会ですが、今年は実施されるようです。

成績優秀者のみが招待される決勝大会、6月26日(日)に東京の御茶ノ水にて実施されます。目安は50位くらいのようで、2〜3万人(しかも比較的レベルの高い層)の中ということを考えれば、いかに狭き門かがわかるでしょう。難しい問題も解いた上でノーミスでないと届かないと思います。

かつては決勝大会の付き添いの親に今半のすき焼き弁当が振舞われたり、さらに上位生(4年生の30名?)にはアメリカのIVY League視察旅行などのご褒美があったようですが、今年はどうなんでしょうか。Webサイトには特に情報はありませんでした。

まとめ

以上、四谷大塚の全国統一小学生テストについての情報でした。

中学受験塾が主催しているテストですが、中学受験勉強をスタートしていない一般の小学生を取り込んで開催される模試であるというのが大きな特徴です。そのため、母集団が通常の四谷大塚とは違うというのが、成績などを見ていく上でのポイントとなります。

最後に我が家の話ですが、今年中学受験を終えた兄は小2〜小5まで受験しました。正直、小5以降は受けなくていいと思っていましたが、本人が受けたがったので5年生までは受験しています。6年生は他の模試も増え、受ける時間がもったいなかったのでやめました。5年生以降は、先に書いたように本人のモチベーションアップに使うか、そうでなければ見送ってもいいのではと思います。現在小1の弟はまだ勉強始めたばかりで力試しするだけ無駄と思い今回はパスします。

なお、同様の模試は日能研でも開催されています。規模的には半分くらいのようですが、入塾するとしたらどちらがいいかをある程度考えた上で決めればよいかなと思います。

以上、参考になれば幸いです。

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