中学受験をする・しないに関わらず、小学校低学年の習い事のひとつとして通信教育を検討している方も多いと思います。
兄の中学受験を終えた我が家も、弟が小学校に上がるタイミングで通信講座を検討したので、その結果を共有しようと思います。
- 小学校低学年の通信講座を具体的に検討している方
- 費用を抑えながら中学受験の準備をしておきたい方
- 今どきの通信教育について何となく興味がある方
中学受験を視野に入れた場合、高学年のコースへの繋がりなども考えると、中学受験も手がけている以下の3つがスタンダードになるかと思います。
- Z会(3年生から中学受験コースあり)
- ピグマキッズ(中学受験塾サピックスの低学年向け通信講座)
- リトルくらぶ(中学受験塾四谷大塚の低学年向け通信講座)
あと通信教育といえば進研ゼミということで、これに進研ゼミを加えた4講座について比較検討していきます。
初回はZ会です。
Z会の小学生向け通信講座
今がどうなのか知りませんが、親世代にはハイレベルというイメージがあるZ会です。上を目指したい家庭には良いブランドイメージと言えそうです。
Z会の小学生向け通信教育は、1〜2年生向けと3〜6年生向けで大きく分かれています。
1〜2年生向けには以下の2つのコースがあります。
- 小学生コース(紙ベース)
- 小学生タブレットコース
3〜6年生向けには以下の3つのコースがあります。
- 小学生コース(紙ベース)
- 小学生タブレットコース
- 中学受験コース
Z会には中学受験コースがあるので、1〜2年生はその準備段階として区切られているのでしょう。Z会でペースを掴んでいれば、そのまま中学受験コースに進んでZ会で中学受験を走り切るというのもアリなのかもしれません。
この記事の主題は低学年講座の比較なので、ここでは1・2年生向けコースに絞ってご紹介します。
小学生コース(1・2年生)
この小学生コースが従来からのいわゆる通信教育のコースです。
冊子形式のテキストで日々の学習をし、月一回添削問題を解いて送って丸ツケをしてもらうという形式です。
特長
以下の特長が謳われています。
- 低学年の知識を使って考えれば解ける「良問」で力と自信を伸ばす
- 紙面も学習サイクルもシンプルで、集中でき学習習慣がつく
- 基礎から発展まで段階的に無理なく引き上げ
- 添削指導でやる気が育つ
キャラクターなどを使って気を引くのではなく、あくまでシンプルに学習に専念するというのが基本的な考え方のようです。
1年生は1日15分、2年生は1日25分と、それほど無理のない学習時間設定で習慣付けを重視するというのは、個人的には共感できます。
教科・講座
国語・算数のほか、理科・社会のベースとなる経験学習、デジタル教材の英語とプログラミング学習がセットになっています。またオプションとしてみらい思考力ワークというものがあります。

国語・算数については後ほど他のサービスとの比較で確認するとして、ここでは特徴的ないくつかのものを見てみます。
経験学習
3年生以降の理科・社会の学習につなげるため、興味・関心を引くための教材です。いわゆる「勉強」に入る前の段階で、楽しんで興味をたせて持っておくのは非常に重要だと思うので、その意味ではとてもいい教材だと思います。

みらい思考力ワーク
知識を覚えるのではなく、少しひねった問題を頭の中で考える訓練をするための教材です。おそらく中学受験の難関校を見据え、思考力を養うことを主眼に置いたものでしょう。
具体的には下のようなものです。1年生には難しいだろうと思うくらいのレベル感なので、それもあってオプション講座なんだと思います。親がうまく導いて自分で出来るようになればとても効果は高そうですが、下手をすると勉強嫌いになったり思考せず解き方だけを覚えることに陥りそうなので、親力が試されるものだと思います。

英語とプログラミング学習
iPadなどで学習するデジタル教材です。ただ設定時間少なく、英語は月1回(15分)、プログラミング学習は年4回(15分/回)という程度のものなので、まあおまけ程度の位置付けで考えておけばよいと思います。
レベル(2年生)
1年生にはレベル分けはありませんが、2年生は学習量を「ハイレベル」「スタンダード」から選択します。1年生の学習の様子を見て、もしくはスタンダードをやってみて、物足りなければハイレベルに移行すれば良いのかなと思います。
*2023年よりコース分けがなくなったようです。
学習量
Z会で設定している1日の学習量は次の通りです。
- 1年生:1日あたり15分
- 2年生:1日あたり25分
教材(月あたり) | 想定時間(月あたり) | ||
---|---|---|---|
国語・算数 | テキスト(10分/回):各10回 ドリル(5分/回):各15回 | 15分×10日(国語テキスト+ドリル) 15分×10日(算数テキスト+ドリル) 10分×5日 (国算ドリルのみ) | ⇒計25日 /350分 |
提出課題 | 1枚(15分) | 15分×1日 | |
経験学習 | 1回(2時間) |
教材(月あたり) | 想定時間(月あたり) | ||
---|---|---|---|
国語・算数 | テキスト(15分/回):各10回 ドリル(5分/回) :各15回 | 20分×10日(国語テキスト+ドリル) 20分×10日(算数テキスト+ドリル) 10分×5日 (国算ドリル) | ⇒計25日 /450分 |
提出課題 | 1枚(20分) | 20分×1日 | |
経験学習 | 1回(2時間) |
教材(月あたり) | 想定時間(月あたり) | ||
---|---|---|---|
国語・算数 | テキスト(15分/回):各12回 ドリル(5分/回) :各20回 | 20分×12日(国語テキスト+ドリル) 20分×12日(算数テキスト+ドリル) 20分×4日 (国算ドリル×2) | ⇒計28日 /560分 |
提出課題 | 1枚(20分) | 20分×1日 | |
経験学習 | 1回(2時間) |
計算してみると、2年生に関しては1日あたり20分なんでZ会の公称値とちょっと違うのですが、まあ大体こんな感じのイメージということで。
これ以外の教材については各学年・コース共通で以下の通りです。
みらい思考ワーク (オプション) | テキスト(15分/回):4回/月 デジタル問題:4回/年 まとめテスト:3回/年 |
英語 (デジタル教材) | 15分×1回/月 |
プログラミング学習 (デジタル教材) | 15分×4回/年 |
小学生タブレットコース
専用タブレットではなく、自宅のiPadなどを使って学習を行うものです。(現在はZ会キャンペーンでiPadの割引クーポンがあるようです)
特長
Webサイトでは以下の特長が謳われています。
- 余計なゲーム等がなく学習に集中できるシンプル設計
- 基礎から応用までハイレベルなタブレット学習
- スケジュール配信とヒント機能で一人で学習が可能
- 教科を超えた思考力を育む「みらいたんけん学習」
- 紙のワークブックを併用し書く力も身につく
- 学習を見守るサービスも充実
こちらも小学生コースと同様にシンプルという点にこだわっているようです。後ほど比較のところで見ますが、一人で学習できるというのを主眼に置いていると感じます。
教科・講座
算数・国語以外には次の講座があります。
みらいたんけん学習
「ちしき」と「しこう」の2つの軸で、既存の強化にとらわれない幅広い知識と思考力を育むものとのことです。
小学生コースの経験学習とみらい思考力ワークに相当するものと考えるとわかりやすいと思います。


細かく比較はしていませんが、想定学習量から見ても小学生コースの経験学習とみらい思考力ワークよりはだいぶシンプルな内容になっていると想像します。
英語とプログラミング学習
こちらは小学生コースと同じものと思われます。月1回や年4回程度のものなので、おまけだと思ってよいでしょう。
学習量
Z会で設定している1回あたりの想定時間は15分です。
教材(月あたり) | 想定時間(月あたり) | ||
---|---|---|---|
国語・算数 | 授業:各8回/月 | 15分×8日(国語授業) 15分×8日(算数授業) | ⇒18日 /240分 |
まとめテスト:各1回/月 | 15分×2日(まとめテスト) | ||
みらいたんけん学習 (ちしき・しこう) | 各1回/月 | ||
英語 | 1回/月 | ||
プログラミング学習 | ミッション:4回/年 フィールド:1回/年 |
コースの比較
小学生コースと小学生タブレットコースがありますが、実際に受講を検討する際にどちらのコースを選べばよいのか、教材と費用の面から比較してみます。
国語
Z会のページにあるテキストのサンプルを見てみます。
ちょうど同じ問題がキャプチャとして使われています。問題1の記述がどうなっているかわかりませんが(選択になっていそう)、選択問題については同じものが出題されていて違いはなさそうです。
タブレットコースの記述問題については、紙の教材が別途あるのでそちらを使うようです。
この比較だけで見ると、小学生コースは冊子で内容を100%カバーしているのに対し、タブレットコースは学習環境がタブレットと紙で分かれてしまったり、問題文が俯瞰して見れなかったりと使い勝手に不安がありそうなので、小学生コースの方が間違いはなさそうに見えます。
ただし、Z会のページの「おためしコンテンツ」から実際のタブレット教材に触ってみた印象では、その月で学ぶポイントをひとつひとつ解説を聞きながら進んでいくことができるので、子供が自分で学習するには良いと感じました。
紙だとどうしても親のサポートが必要になりそうなので、あまり手をかけられない、もしくはできるだけ自分で勉強させたいと考える家庭にはタブレットはありじゃないかと思います。
小学生コースの分量については、見開き1ページが1日分(1回分)という感じなので、毎日やるものとして多過ぎず少な過ぎずちょうどよいと感じました。ざっくり、テキストの方で読解問題をやり、ドリルで漢字や知識をやるといった分け方だと思います。
算数
こちらもZ会のページから見てみます。
こちらも、小学生コースの方は一般的なドリルの形式に対し、タブレットコースは先生の解説もついた授業形式になります。国語と同様、紙面で試行錯誤することが向いている問題はタブレットコースでも紙の教材でサポートするようです。
タブレットの場合、数字の入力方法など使い勝手の面が気になるところですが、iPadキーボードやスタイラスを使う必要はなく、画面上に数字と演算記号が出てきて選択するかたちなので、使い勝手もそれほど悪くないと思います。
問題の難易度は学校での学習を少し先取りする感じで、幼児教育に取り組んでいないと手をつけられないようなレベル感ではなく、少しずつ階段を上っていくようなイメージで取り組めそうです。
費用
入会金は無料なので、会費のみを考えればよいことになります。毎月払いと12ヶ月一括払いを表にしました。これ以外に6ヶ月払いもありますが、割引率でも期間でもあまり選択する理由がわからないのでここでは割愛します。
ちなみに12ヶ月一括払いにして年途中で解約した場合でも未受講月の分は払い戻されるので、すぐ辞める可能性が高い場合以外は毎月払いを選ぶ理由もあまりないと思います。
※2023年より2年生のレベル分けがなくなり、料金改定もされているので修正しました。(ちなみに2022年より全体的に1割程度の値上げが行われたようです)
1年生(毎月払い) | 1年生(12ヶ月一括払い) | 2年生(毎月払い) | 2年生(12ヶ月一括払い) | |
---|---|---|---|---|
小学生コース | 5,200円/月 | 4,420円/月 | 5,600円/月 | 4,760円/月 |
小学生コース +みらい思考力ワーク | 6,200円/月 | 5,270円/月 | 6,600円/月 | 5,610円/月 |
+みらい思考力ワーク | ||||
小学生タブレットコース | 3,900円/月 | 3,315円/月 | 4,600円/月 | 3,910円/月 |
比較の考察
国語、算数の両方に共通して言えることですが、親のサポートを減らして授業形式で丁寧に理解を進めたい場合はタブレットコースが向いていると感じました。
一方で、授業形式ではどうしても時間はかかってしまうため、理解度が速かったり先取りしていたりして、勉強にあまり時間を取られたくない、もしくは他の学習もどんどん進めたいという場合には小学生コースの方が合っていると感じました。
設定されている学習量は、小学生コースが175分/月に対し、タブレットコースは120分/月と70%程度になっていて、かける時間の量から考えてもタブレットコースは軽めの内容になっていると考えられます。
金額差は月1000円強とそこまで大きくはないので、親のサポートを含めどういう学習をさせたいかによって選択する感じかなと思います。
Q&Aより
小学生コース本科と小学生タブレットコースは、学習カリキュラムが同じのため同時受講はできません。ひとり1コースがおすすめされていますが、高学年で教科を分けて受講するなどのケースでは受講することも可能です。詳しくはZ会のページへ。
「国語+算数+経験学習」の3教科セットでの申し込みとなります。
さいごに
他の通信講座との比較はまとめで詳しく書きたいと思いますが、Z会は簡単すぎず難しすぎず、低学年で無理なく学習を進めるのにはちょうどよい難易度・分量でないかと感じました。
経験学習も、理科・社会の入り口として親子で楽しんで取り組むのに良い教材だと思います。この2科目は興味を持つかどうかで大変さがかなり変わるので。
またタブレットコースであれば子どもが自分で取り組むことも可能な仕組みになっていると感じたので、あまり手をかけられない家庭にはこちらを選ぶのもありだと思います。
みらい思考力ワークについては余力があればやっても良いと思いますが、無理して取る必要はないかなと思いました。こういうのは教え方が難しいので、もしかして下手に手を出して勉強嫌いにするくらいならやらない方がマシかもしれません。
総論として、低学年向けコースとしては実績もありそうで、中学受験を見据えた場合はこれがひとつのスタンダードと捉えてもよい感じがします。
以上、Z会についての内容でした。
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