【2024入試】2月入試志願者数の振り返り

2月入試の結果分析 入試データの分析

前ページからの続きです。

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2月3日午前入試

合計数を集計していて気付いたことですが、2月3日入試はここ数年一貫して減少を続けています。1日・2日入試は2023年までは増加基調で今年減少という流れで、昨年ピークをつけたと思われますが、3日は2020年から一貫して減少基調でした。

これは午後入試の浸透と無関係ではなく、1日・2日の午前・午後とフルで受け続けると既に4回の入試機会があったことになり、その間に志望校に合格し受験終了する人が増えたのではと想像します。もうひとつは、3日午後入試も増えてきているので、午前は休んで午後に備える人も一定数いるんだろうと思われます。

男子は一部の進学校のみが増加

表の赤字・青字が5年平均と比べた上下を表していますが、数年単位での増加を示す赤字は基本的に男子進学校という感じになっています。

*合計値は東京大附属の人数を前年の190人として集計

男子最難関の筑駒に触れないわけにいかないと思いますが、2024年は通学範囲の拡大という大きなトピックがありました。基本的に通学圏とされている範囲からでないと受験できない(割と広めではありますが)ので、これが広げられたことで受験生増が予想されていました。結果は若干のプラスで、個人的にはまあ妥当なところかなと思います。名実ともトップ校なんでチャレンジしたい層は一定数いると思いますが、まあトップでなくとも近場に良い学校があれば現実的にそっちを選ぶというのも合理的な選択だと思うので、増えてもこのくらいかなと思います。むしろ全体的に国立校離れと言える動きは感じるので、来年以降はどちらかというと減少方向じゃないかなと個人的には予想しています。

せっかくなので国立校に触れていくと、筑波大附属はやや減少、学芸大竹早はこのところずっと減少を続け、東京大附属は今年の数字がまだ出ていませんが去年までは毎年減少と、基本的に国立校は減少方向の動きです。お茶の水女子だけは増加でしたが、ここはかなり人数が少ないのでちょっとしたことで大きくブレるところだと思います。ちなみに筑波大附属は2021年に8教科入試だったところから実技系をなくし4教科にしたことで大きく受験者を増やしましたが、その2021年がピークで減少方向にあります。かつては名門校として多くの優秀層を集めていた国立附属校ですが、大学入試の現役志向の高まりと、私立中高の先取りというか6年一貫教育が進んでいく中で、徐々に私立校にその座を明け渡しつつあるように見えます。

次に私大附属校を見ますが、慶應中等部は今年微増ですが昨年の大幅減のまま水準は変わらず、立教新座は微減、学習院も昨年の大幅減からの微増という感じで、こちらも総じてあまり強くはありません。他の入試回のところでも触れましたが、附属校人気は2020年あたりで一旦のピークを打ったと考えて良いと思います。

最後は男子進学校です。ここは1日・2日入試の併願として利用されることが中心だと思いますが、まず目立つのは早稲田の増加ですかね。昨年も増加でしたが、今年はさらに増やし2020年以降では最大数となりました。海城はやや減少でしたが、減少幅はそれほど大きくなく過去5年では昨年に次ぐ規模になりました。この2校は毎年ほぼ同じ人数でしのぎを削っている(?)感じですが、今年は早稲田に軍配が上がったようです。

海城・早稲田と同レベル帯で比較対象にもなるだろう浅野は今年微増ですが、数年単位で見ると2020年がピークでやや減少方向です。浅野は2023年の東大合格実績が良かったので個人的にはもっと伸びるかと思い意外でしたが、これは神奈川の受験生が減少に転じていることと関係あるのかなと感じています。同じ神奈川では逗子開成がややマイナスでしたが、過去5年では昨年に次いで多い数なので、もしかすると浅野チャレンジを回避し逗子開成という動きもあるのかなと想像します。同じく神奈川の桐光学園は半減に近い大きな減少でした。立地的に競合しそうな桐蔭学園はこの日程にはいないので、ちょっとこの要因はわからないです。

残る2校ですが、ここは都市大付属が減少、成城が大きな増加ということで明暗分かれた感じです。都市大が2023年から4日→3日へと日程変更になっていて、立地的にも偏差値的にもある程度競合しそうな2校だと思います。都市大がⅡ類でもう少し上の層を集めるのかなという想像をしていましたが、あまりそういう動きにはならなかったようです。

最後に合計数ですが、冒頭で触れたように基本的に減少方向です。東京大附属の数字が仮置き(昨年の190人)で集計しているのでそこ次第ですが、1万人の大台を割り込む可能性が高いのではと思います。

女子は増減まちまち

女子は、男子とは少し違った傾向が見え、国立や私大附属、進学校というカテゴリではなく、個別の学校ごとに増減が違っているようです。

*合計値は東京大附属の人数を前年の206人として集計

男子と同じくカテゴリわけしながら見ていきたいと思いますが、まず国立校については、筑波大附属が大きめの減少、一方でお茶の水女子が大きな増加傾向、学芸大竹早は減少、東大附属は2024年はわかりませんが減少方向のようです。基本的には減少方向と見て良いと思いますが、唯一お茶の水女子だけが、2023・24年と増加を続けています。ここは筑波大附属と逆相関の関係にあるように見えるので、筑附からお茶の水への移動という見方でいいのかなと思います。

私大附属校は、慶應女子はまあ横ばい圏、学習院女子は昨年減少からの大幅増、日本女子大は減少方向、昭和女子大も毎年減少している感じです。慶應女子は男子ほど減少傾向にはないようです。学習院女子は前年の減少からの反動増に見え、ここは隔年で増減している感じですね。(学習院女子は学習院への推薦が約半数、日本女子大の内部進学率は約75%は、昭和女子大は35%ということで微妙ですが、一応こちらで触れることにしました)

残るは女子進学校です。豊島岡・鷗友は大きめの減少、東洋英和は2年連続の増加、横浜共立・大妻は昨年減少からの反動増、富士見は横ばい、東京女学館は2021年を底とした緩やかな増加傾向、晃華学園は減少傾向というイメージです。目立つのは東洋英和の2年連続増加で、2月1日も含め、ここ数年下がっていたところからの見直しが入っている感じがありそうです。

合計数は、こちらも男子と同じく基本的に減少傾向です。東京大附属の数字はこちらも仮置き(昨年の206人)で集計していますが、大きく減少した2023年からさらに減少する可能性は高そうです。

共学は前年並みか

男子・女子でも同様でしたが、ここでも過去5年で見たときに減少となる青字のところが多いです。ただ合計値で見てわかる通り、既に昨年大きく減少してはいるので、昨年と比較した場合はほぼ横ばいという感じです。

*合計値は横浜国大横浜の人数を前年の202人として集計

国立は学芸大世田谷が横ばい圏、学芸大小金井がやや減少傾向という感じです。横浜国大横浜はまだ数字が公表されていません。学芸大学附属の中学は男女別定員の学芸大竹早も含めて3校ありますが、附属高校は1校しかなく半分以上は高校受験することになるので、それもあってか志願者も偏差値も総じて低下傾向にあると感じます。

私大附属校は明大明治が昨年の大幅減からの反動増、法政大学は緩やかな減少、明大八王子・専修大松戸はまあ横ばい圏といったところです。ここはまあ特に大きな動きはなさそうに見えます。

進学校では、東邦大東邦山手学院の大きな減少が目立つ感じですかね。山手学院は今年は全日程で減少ですが、過去5年で見たとき、この日程での減少が特に大きいようです。

あとは成城学園公文国際はまあ横ばいと言っていい動き、そして安田学園は他の日程同様にここも増加基調です。

合計数は、横浜国大横浜(昨年の202人で仮置き)次第で増減が変わる微妙なところですが、2021年をピークとした減少傾向ではあります。

全体としては減少傾向

最初に触れた通り、2月3日午前入試の全体としては、既に数年前から減少傾向に入っています。全体の流れも踏まえて、来年以降の入試では戦略を考えていけると良いのではと思いますね。

*東京大附属・横浜国大横浜は未発表のため、この2校は前年度の数字を使用して集計

2月3日午後入試

2月3日の午後入試もそこそこの数があったので、午前と午後で分けて見ることにしました。

全体感としては割と増減が激しいなという感じを受けます。今年は合計数がマイナス1151ということで、ここだけ切り出すとめちゃくちゃ減ったように見えますが、数年で見れば実は2023年だけが突出して高いことに気付きます。その要因を見ていけば芝国際でほぼ説明がつくので、要は2023年が芝国際バブルで高かっただけで、今年は元に戻ったと見ることができるでしょう。ただそれでも2022年よりは300名の減少ということなので、傾向としても減少方向ではあると思います。

過去5年平均との上下(赤字・青字)で見たとき、高いのは国学院久我山(男女)・共立女子・開智日本橋・都市大等々力・かえつ有明の5校でした。ただ明らかな増加トレンドと思えるのはかえつ有明くらいで、あとは5年前と比べてもほぼ横ばいと言えると思います。

一方、減少傾向に見えるのは、恵泉女学園・三田国際・広尾小石川ですかね。恵泉は2021年からは横ばいの感じですが、三田国際はピークの2022年からは半分以下に、広尾小石川は本科の方が半分近くに減少しています。まあ国際系と言われる学校は1回あたりの合格者数が少なく倍率が高いので、適正値になってきたという見方で良いとは思いますが。あとは芝国際の減少の最大値はここでしたということくらいです。

次ページでは公立中高一貫校について集計します。

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