【2024入試】2月入試志願者数の振り返り

2月入試の結果分析 入試データの分析

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2月1日午後入試

午後入試は男子・女子と共学とで違った動きになっていて興味深いです。それぞれ見ていきます。

男子は増加が多い

男子は大きく伸ばしたところの増加数が多いのが特徴的です。減少もそこそこありますが、減少傾向というよりはせいぜい横ばいかなという印象です。

まず大きな減少と言えるのは鎌倉学園ですが、ここは午前入試で大きく伸ばしていたので、別に学校が敬遠されたわけではないと思います。要因は正直よくわかりませんが、可能性があるとすれば桐蔭学園が増加しているので、鎌倉学園を午前に移して午後は桐蔭という層が増えたのかなという仮説は立ちます。立地的には、同じ神奈川県とは言えエリアがだいぶ違うのでどうなんだろうという疑問は残りますが。

その他で減少は世田谷学園・都市大付・国学院久我山の3校ですが、ここ数年単位で見ればすべてほぼ横ばいと言える数字なので、特別に減少した感はありません。基本的には昨年増加した反動で、数年単位では横ばいという見方の方が正しいと思います。

一方で増加の方ですが、数年単位で見ても最高値またはそれに近いところが目立ちます。過去最高に近いのは巣鴨・桐蔭学園で、獨協・佼成学園に至ってはおそらく過去最大数だと思われます。それぞれの増加の理由はよくわからないというのが正直な感想ですが、巣鴨の増加や都市大(Ⅱ類)の高止まりなどを見ると、偏差値上位層が午後入試を抑えに使う動きが加速しているのかなというのは感じますかね。と言うなら、偏差値50台前半の3校についても同じような気はしますが。

合計数を見ると年々増え続けていて、2024年もさらに増加していたという結果になっています。2月1日午前はマイナスになっていたので受験生総数は減少が予想されますが、午後入試を活用する層はさらに増加中ということになります。

女子も増加が多い

女子は1校あたりの人数は男子ほど多くないですが学校数は多く、こちらもマイナスよりプラスが目立ちます。

ここは前年比プラスマイナスよりも、5年平均と比べての上下を見た方がいいと思うので、赤字か青字かに注目してみます。すると、プラスが8校、マイナスが8校と並びます。

まずプラスの学校から見ていきます。品川女子は昨年大きく増加して今年-3なので増加をキープという感じ、湘南白百合は算数も国語も爆増と言っていい伸びでしょう。国語は昨年大きく増加し今年もそれをキープ、算数は2年連続で大きな増加となりました。あと大きな増加と見えるのは桐蔭学園で、ここは男女とも大きく増加しています。

山脇学園は国語と算数で上下が分かれましたが、国語にしても高止まりという方が実態に合っていそうなので、高いところで横ばいという感じです。普蓮土は隔年現象に見えるので数年で均せばほぼ横ばい、跡見学園もほぼ横ばいといったイメージです。大妻中野は複数年単位でV字的な回復といったところでしょうか。

次にマイナスになっている学校に目を向けますが、まず似たような動きなのが田園調布東京女学館です。ここは2021年(コロナ初年度)に大きく減少し、そのあとはほぼ横ばいという推移を辿っています。国学院久我山・恵泉女学園もそこまで顕著ではないものの似たような動きで、共に2020年をピークに減少しているのが確認できます。晃華学園昭和女子大はまあ横ばいと言っていい動きだと思います。あとは清泉女学院ですが、ここは2021年をピークに減少を続けています。昔のイメージとの差が大きい学校のひとつだと思いますが、ここは立地の影響が大きいんですかね。

全体感としては横ばいと大きなプラスの学校が多い印象で、合計の数字にこれは現れています。昨年より230名の増加で、これは2020年のピークを超え過去5年で最大の数字になりました。このあとの共学校の数字も見ることでハッキリすると思いますが、午後入試が増えたというより女子校への回帰が進んだと見ていい動きだと思います。

共学校は大きく減少した

集計してみて気付いたのですが、共学校に関しては午前より午後入試の方が人数が多いので、2月1日の主戦場はこちらだと言えるでしょう。定員も学校によって大きな差があり、2桁から4桁までが並んでいるので一概にこうと言いづらいところはありますが、全体感としてはマイナスのところが多いです。

過去5年でプラスになった(赤字の)ところが少なく5校しかないので、まずはそこから見ていきます。

広尾学園はISGと本科で上下が分かれましたが、総数で見ればほぼ横ばい推移と見ていいかと思います。で、数字も大きく目立つのが東京農大第一で、今回一気に200近く増やして1000人を超えました。これは2025年から高校入試を廃止し完全中高一貫化するというアナウンスが大きく、特に定員も増えてはいないとは思いますが大きく増加しました。神奈川大附は完全に隔年現象に見えるので数年単位では横ばい、都市大等々力も昨年増えた分をキープした格好ですが2020年と同水準という感じです。最後に安田学園ですが、これは目に見えて増加傾向にあります。午前入試のところでも触れましたが、全日程で大きな増加を続けているので要チェックかもしれません。

次に減少の学校ですが、こちらは多いです。その中で、数年単位で見ればほぼ横ばいと言えるのが4校、開智日本橋・山手学院・淑徳・かえつ有明といった辺りです。それ以外は、ここ数年でみても比較的大きな減少と言えるところになるので、ちょっと個別に見ていきます。

まず広尾小石川ですが、ISGはまあ横ばい、本科は昨年大きく減りさらに今年も減らした結果、一昨年の半分近くになりました。トータルでは2021年の583人から200以上減の384人になっています。ここは受験生離れというよりは高すぎた倍率が是正され、ようやく適正な数字に落ち着いてきたのかなと考えます。

三田国際はISC(かつて本科と呼ばれた)が3分の2に、IC(インター)が半分以下に激減しました。ただICについては、この減少分と同程度の数が午前で増えていたので、単に午後から午前に移動しただけに見えます。なぜかはよくわかりませんが。ISCが100名以上減少していますが、入試回によっても大きな増減があり、入試の評価が定まっていないのか、受験生の動きが見えづらい印象を受けます。

芝国際は全ての入試回で激減で、ここでも-673となかなか見ない数字でした。青稜も今年は全ての入試回で比較的大き目の減少でした。昨年偏差値が大きめに上昇していたので敬遠されたのか、何か別の要因があるのかはよくわかりませんが。

あとは数年単位で見て減少と言えそうなのがドルトン東京・日本大学・東洋大京北で、この3校は2020・21年あたりをピークにやや大きめに減少しているイメージです。

ということで学校数で見ても減少が多い感じですが、合計でもマイナス940ということで結構な減少幅になっています。過去5年の推移で見ても、2023年までは順調に人数を拡大してきたところで、今年急ブレーキがかかったという風に見えます。

共学から別学への揺り戻しか

以上見てきたように、全体感としては男子校・女子校(一部共学も含む)は増加したのに対し、共学校は大きく減少したのが1日午後の入試でした。合計値のところだけ抜粋してみます。

こうして見ると、女子の動きが特徴的だなと思いますが、ここ3年ほど低めに推移していた女子の数が一気に増え、代わりに共学が大きく減らしたというのが確認できます。トータルでは減少していますが、これは共学校が減らした分ということになります。

ということでひとつ考えられるのは、ここ何年か続いてきた女子校から共学校への流れが止まったかも?というところです。少なくとも1日午後入試で見る限りは、共学校から女子校へ逆流する動きが確認できます。共学校と一緒くたにしていいのかもよくわかりませんが、特に新興系の共学校が多く出願者数も多い1日午後入試で、少し数字の雰囲気が変わったことは注目に値する変化だと思います。

2月2日入試に続きます。

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