なぜ中学受験するのか(進学校編)

なぜ中学受験するのか 受験校選びのTIPS

既に中受沼にどっぷりハマってしまった方々にはあまり関係ない話かもしれませんが、改めて中学受験について高校受験と比較しながら考えてみたいと思います。最近、中学受験に猛反対されている学者先生もいたりして(Yahoo!ニュース「茂木健一郎氏が中学受験を批判」など)、世間的にも話題だったりするのでちょうど良い機会でもあるかと思います。(ちなみにこの件については特に取り上げるつもりはありませんが、個人的には主張されていることは全然腹落ちしませんでした)

中学を選ぶ理由、高校を選ぶ理由については様々あると思いますが、あまり手を広げる余裕もないので、大学へ入学するというのをひとつのマイルストーンとして、その点に絞って取り上げようと思います。

これから受験ルートを考えようと思っている方も、まさに走っている方も、このまま走り続けていいのか迷っている方も、何か考えるための材料になればと思います。

思ったより書くのに時間がかかりそうなので、2回に分けます。

  1. 進学校編(この記事)
  2. 付属校編
[AD]

はじめに

一応、最初に私自身の立ち位置を明らかにしておこうかなと思います。

基本的に(ブログをやっているくらいなので)中学受験には賛成ですし下の子(小1)もまずは考えようと思っていますが、高校受験も選択肢としてはありだと思っています。受験を終えた兄の周りを見ると、思っていた以上に小学6年生というのは子供の成長度合いに差があり(見た目でも大人と子供くらい差がある子もいる)、成長段階による有利不利や、子供ごとの適応力の差は大きいと感じました。そのため、中学受験をやってみて、無理があるなら高校受験に向かうというのは子供のためにも良いことだと思います。

ただ1点だけ考えを述べるとすれば、何となく公立小から公立中に行って流れで高校受験するのではなく、小学校高学年の段階で中学受験も一旦は比較検討した上で判断した方が良いということですかね。親世代と現代では受験事情がだいぶ異なっているため(特に首都圏)、自身の経験をもとに何となく高校受験に向かうと、後々事情を知って後悔することにもなりかねないと思います。

選択肢としてどちらの受験が向いているのかを考えた上で積極的に高校受験を選ぶ、もしくは中学受験した上で高校受験でリベンジという流れであればよいのですが、単に小学生に受験勉強は可哀想だという先入観だけで避けるのであれば、子供の可能性という意味でもったいないと感じます。

ちなみに私自身は中学受験に全く縁のない地方で育ち、息子が4年生に上がるときまでは中学受験など1ミリも考えてもいなかったところからスタートしています(むしろ反対派だったかも)。しかし情報を仕入れる中で、上のような考えを持つに至りました。

そもそも中学受験がいいことなのか云々の話もあるとは思いますが、ここではいち保護者として、現実問題として今の状況がどうなっていて、その中でどう判断していくかという観点で見ていきたいと思います。

進学校を比較するにあたり

今回の内容を書くにあたって、過去に読んだ本やYouTube動画から引き出してこようと思ったのですが、色々見てまわった結果、ひとりの先生の動画が一番まとまっていてわかりやすかったので、それを紹介するかたちにしようと思います。

YouTube動画を紹介するのがメインの記事になってしまいそうですがご了承ください。

大きく2つの観点で分けて見ていきます。

  1. 中高6年一貫のカリキュラムの優位性
  2. 進学実績の比較

なおここでは、

  • 中学受験=中高一貫の進学校へ入学する
  • 高校受験=高校から進学校(主に公立高校)へ入学する

という前提に立っています。

実際は、中学受験する中でも6年一貫教育ではない国立や公立中学があったり、中学・高校の両方から受け入れている学校もあったりするので、上の分類はやや強引な感じはします。ただ、中高一貫校では高校受け入れを取りやめて完全一貫教育に舵を切る学校が増えていたり、高校受験では公立高校を主軸として私立高校は併願(一部の超上位校と付属校は除く)として位置付ける流れがあったりするので、大きな流れとしては問題ないかなと考えています。

中高6年一貫のカリキュラム

よく言われることとして、中高一貫校は先取り勉強をするので大学受験に有利になるというものがあります。

一般的に中高一貫の進学校では、中学の学習内容を中2くらいまでで終了し、中3から3年かけて高校範囲を学習、最後の高3は大学入試に向けた勉強に充てると言われていて、これが先取りと言われます。

ここでふと立ち止まってみると、高校範囲は中3〜高2まで3年間かけてやるんだ、ということに気付きます。先取りというと全体をギュッと縮めてハードに勉強するイメージですが、実は縮めているメインは中学範囲です。

中学の標準的な学習内容を眺めてみると、大して難しい勉強ではないことがわかります。中学受験を走り切ったあとだと、主要4科目ではむしろ新しいことの方が少ないのではとさえ見えてきます。その範囲をギュッと縮めて、より高度な高校範囲の学習に充てようというのは理にかなっていると感じます。

このあたり、学力との関係を最もわかりやすく話されているのが次の動画です。

特にこのグラフ。

傾きがどの程度正しいかは別にしても、考え方として非常にわかりやすいと思います。

つまり、中高一貫校が先取りしているのではなく、公立校のカリキュラムが極端に高校偏重になっていると考えた方が実情に近いと考えられます。

自分の経験からしても、中学と高校のギャップが大きかった記憶があります。その当時と比べても、いわゆるゆとり教育の際に中学の学習範囲を高校へ先送りしたものも多く高校が大変という話はよく聞くので、個人的には納得感が大きいです。

この点で、中高一貫校が大学受験に有利、というか、高校から大学受験をスタートすることが大変ということが言えるかと思います。

中高一貫校と都立高校の進学実績比較

次に、実際に進学実績としてどの程度の差が出ているのかを見ていきます。ここでは次の2つの動画が参考になります。

1. 旧帝大+東工一橋+早慶上理への進学実績比較

旧帝大+東工一橋+早慶上理への進学実績比較

他の動画に比べて若干わかりづらいかも知れませんが、これらの難関大学への進学率が高い学校(20%以上)がそれぞれどの辺りの学校になるかという比較です。私立大学は複数合格者が出るため実数ではないですが(ここでは1/3に換算している)、比較として大きなズレにはならないかなと思います。

例えば都立高校で20%を超えるのは進学指導重点校の7校と新宿高校(進学指導特別推進校)、あとは附属中学が併設されている都立武蔵・両国・白鷗の3校、計11校でした。一方で中高一貫校は38校、Y50(四谷大塚偏差値)くらいから上の学校名が挙がっています。数の上でもだいぶ差があるのはわかります。

あとは、例えば20〜40%に挙がっている学校を比較して、中学受験と高校受験それぞれで、この辺りの学校へ入れる可能性がどの程度ありそうかを考えてみる感じでしょうかね。

なお、2016年というやや古めのデータが使われているので、個別の学校比較よりは同難易度の学校の目安として考える方が妥当かと思います。

2. GMARCHへの進学実績比較

GMARCHへの進学実績比較

同様のデータのGMARCH版です。ただしこちらは難関校編に出てくる学校は抜いてあり、GMARCHが主戦場になるであろう学校での比較です。

この中では、GMARCH合格が40%を越えると進学先としてGMARCHが現実ラインになると定義されていて、都立高校では偏差値55から、中高一貫校(中学受験)ではY40くらいが目安ラインになります。具体的な学校名は動画に出ているので見てもらえればと思いますが、中学受験ではここから上と考えるとかなりの学校がこの範囲に入ってきます。

例えば中学受験で成績が上がらず撤退を考えようかという場合、もしくは併願校の下限ラインを考える場合に、高校受験に回ったとしてどの辺りまでいけるだろう、と考える際の材料になるかなと思います。

おまけ

内容からはズレますが、もうひとつおもしろい動画があるのでご紹介します。

なぜ元々公立王国だった日本の大学受験が今のような私立偏重になっていったのか、学習指導要領や大学入試の変遷なども踏まえつつ考察されています。これは特に地方の公立高校から難関大学へ進んだような親御さんが、都会の受験事情を時系列で理解するのに最適だと思います。

高校受験のメリットは

ここまで、ほぼ一貫して中学受験を持ち上げる話だけを取り上げてきました。

これではあまりフェアではないので高校受験のメリットも取り上げたいと思うのですが、ぶっちゃけ高校受験を推している本や動画をほぼ見かけません。中学受験メインで情報収集している私の問題もあるかもしれませんが。

ただ考えてみれば、普通に小学校から中学へ上がっていけば自動的に高校受験することになるため、わざわざ高校受験を選びましょう!と声を上げる意味がないからのような気がします。また、大体こういう記事を書くのは塾や家庭教師など受験産業の方々なので、高校受験は放っておいても仕事は来るが、中学受験は盛り上げないと仕事が増えないといったような事情もあるのかなと邪推してみます。

ということで、プロの見解の紹介はできず恐縮ですが、私の勝手な憶測を書いてみます。

1. 自分の受験として勉強ができる

中学受験はどうしても親の受験になりがちです。子供に自分で勉強する(身に付けようとする)意思が育っていないと、親が過干渉したり対立したりということが起こりやすくなります。また、今の中学受験では塾と子供だけで完結する受験は(特に難関校では)なかなか難しく、親がどれだけ関与できるかが結果にも反映される実態があります。そうして自分ごとにならずに受験を終えた場合、中高で沈んでいったり大学受験に向かっていく力が弱くなる恐れがあります。

高校受験の場合は、小学生のときより内面の成長が見込めることと、そもそも周りも全員受験を考えることから、自分ごととして受験に向かっていく可能性が高そうです。それらがうまく組み合わされば、中学受験時では届かなかったような学校に行くことも、高校へ入学した後もそのまま大学受験に入っていくことも期待できるのではと感じます。

2. 中学受験で上位層が抜けるため戦いやすいかも

中学受験をするのは小学校でも比較的成績上位の子たちが多いため、高校受験ではその層がごっそり抜けてくれることが想像できます。もちろん全員ではないし、そもそもの母集団が高校受験の方がはるかに大きいのでわかりませんが、上位層がある程度のボリュームで抜けていることは確かです。

特に中学受験勉強をある程度やり学力レベルも上がっていて最初から成績上位につけることができた場合、自己肯定感も上がって上位校を目指すという流れは作りやすくなるかも、という妄想が働きます。

3. 大学附属校に入りやすい?

どこかの本で、大学附属校は高校受験が一番入りやすいというのを見ました。これについては次回の記事で少し深掘りしてみたいと思います。

次回へ続きます。

コメント