電車通学する学校の場合、入学時から必要になってくるのが通学定期券です。
比較的簡単に購入が可能になってきた通勤定期券に比べると、通学定期券の方は通学証明書の提出が必要などやや面倒な点が多く、いざ購入しようとしたときに戸惑うことも多いと思います。
ちょうどこの春からモバイルSuica/PASMOの通学定期券が可能になったというのもあるので、通学定期券の購入方法と注意点についてまとめてお伝えします。
この記事を読んでいただくことで、通学定期券をスムーズに購入できるようになると思います。
なおSuica/PASMOに絞っている通り、首都圏の交通機関のみの情報となります。
2種類のSuica通学定期券と注意点
通学定期券の種類
2023年3月よりモバイルSuica(とモバイルPASMO)が通学定期券に対応したことで、次の3つの方法を選択できるようになりました。
- モバイルSuica(Android、iPhone等)
- カード型Suica
- 磁気定期券(従来型)
磁気定期券は昔から変わらないと思うので、ここでは1と2のSuica通学定期券の購入方法について触れていきます。
(厳密にはiPhone/Apple Watch対応はモバイルSuicaとは言わず「Apple PayのSuica」と表現するらしいですが、ここでは便宜上モバイルSuicaと表記します)
ちなみにモバイルPASMOやPASMO(首都圏の私鉄・地下鉄・バス)でもほぼ同様のようなので、ここではSuicaをPASMOに置き換えて読んでいただければと思います。PASMO独自の情報がある場合は補足します。
通勤定期券との違い
用途としては同じものですが、通学定期券は大幅に値引きされていることもあって、誰でも簡単に購入できるわけではなく、通学している証明のもとに購入できるものになっています。
通勤定期券の買い方と大きく違う点は次の2つです。
1. 通学証明書が必要
通学定期券の購入には通学証明書が必要です。
これは1年生入学時はもちろんそうですが、進級したあとに購入する際も必要となります。例えば4月5日からの6ヶ月定期を購入し10月にも継続購入すると翌年の4月4日までが利用期間となりますが、その次に購入する際は4月1日をまたぎ学年が変わるため、通学証明書の再提出が必要となります。年度をまたがない継続購入の場合(10月に同内容で3ヶ月や6ヶ月定期を買う場合など)は通学証明書の提出の必要はなく、即時購入が可能となります。
通学証明書は入学準備書類の中で申請していると思うので、3月中に学校から送られてきていると思います。(学校によっては入学後のケースもあるようですが)
在校生は年度替わりに学校から発行されるはずです。我が家も3学期の終業式あたりでもらってきました。
2. 通学証明書の確認プロセスが必要
通学定期券は通学証明書を確認した上での購入になり、証明書もアナログの紙ベースであるため、現時点では残念ながら自動化ができていません。
具体的な手順は後述しますが、モバイルSuicaにしてもカード型Suicaにしても一旦通学証明書の確認作業が入ります。そのため、通勤定期券とは次の点が異なります。
- モバイルSuicaの場合:即購入ではなく、購入予約→承認→購入の流れ
- カード型Suicaの場合:券売機での購入はできず、みどりの窓口で購入
*ただし、同一年度内で継続購入の場合はこの限りではありません。(詳しくは後述)
マイナンバーなどを使ってこの辺りの手続きも簡略化されるといいのですが、デジタル庁の今後に期待、というところでしょうか。
モバイルSuicaの通学定期券を購入
ではここから通学定期券の具体的な購入方法に入っていきます。
モバイルSuicaについてここで改めて解説することはしませんが、スマホに搭載されているICチップを使い、カードではなくスマホをかざして改札を通ることができるものです。対応端末については以下に記載があります。
中学入学を機にスマホを持たせる家庭も多いと思うのでタイミング的にはちょうど良さそうですが、注意点が2つあります。
- iPhoneの場合、利用者が13歳未満だとSuica発行ができない
- スマホの電池残量がゼロになるとSuicaも使えなくなる(改札も通れない)
1点目はAppleの仕様なので、4月あたまが誕生日の子以外は、とりあえず1年生の間はSuicaカードで頑張って、誕生日を迎えたあとに切り替えるしかなさそうです。
2点目は、予備電力機能が実装された端末以外ではこうなります。ちなみにiPhoneだとXS/XR以降の端末には予備電力があるようで、Suicaをエクスプレスカードに設定してあれば、電源切れ後5時間程度は予備電力で使用可能とのことです。
- iPhoneの「設定」アプリを起動し、「ウォレットとApple Pay」を選択
- 「エクスプレスカード」をタップし、発行したSuicaを選択
まあいざとなれば係員に話してなんとかなるかもしれませんが、モバイルバッテリーを常備するなど何らかの対応方法を考えておく必要もあるかもしれません。
購入方法(新規・進級時の購入)
モバイルSuicaで通学定期券を購入するチェックポイントは次の通りです。
- 予約登録可能期間は使用開始日の14日前から2日前まで
- 即購入ではなく承認後の購入になるので余裕を持った手続きが必要
(4月期は正午12時までの予約分を原則当日通知、その後は翌日通知) - 保護者のクレジットカードで代理決済が可能
(クレジットカード決済は定期券購入時のみで、通常のSuicaチャージをクレカ決済で行うことは不可)
購入の流れは次の通りです。
ということで、基本的にスマホ上で完結するため駅に行く必要がないというのが大きなメリットになると思います。
具体的な手順は次の特設サイトがよくまとまっているので、こちらの手順に沿ってやれば間違いはないでしょう。
ちなみに年度をまたがった購入の場合、「前回内容から購入」を選べば入力内容を簡略化することができるようです。
PASMOはこちら。
購入方法(継続)
4月に6ヶ月定期を購入したあと10月に切れる際など、年度をまたがずに継続購入する場合は通学証明書を提出する必要がありません。
そのため次のようなシンプルな手順で購入が可能です。
詳しくは先ほどと同じリンク先から「同一年度内の継続購入」の手順に従って購入してください。
PASMOはこちら。
継続購入のチェックポイントは次の通りです。
- 更新日の14日前から継続購入が可能
- 同一年度内であれば、期限が切れた定期券でも通学証明書なしで購入が可能
(新規購入扱いとなるが、前回の記録情報を使って購入が可能) - 年度をまたぐ場合、有効期限が4/30以前となる定期券しか継続購入できない
(例えば3月に3ヶ月定期券を購入する場合等は、通学証明書の提出が必要)
このほか、細かな条件等については各事業者のサイトを参照してください。
Suicaカードの通学定期券を購入
Suicaカードで通学定期を購入する際の注意点は次の通りです。
- こども用Suicaはそのままでは使えないので変更手続きが必要
こども用Suicaの有効期限は小学校卒業の3月31日までとなっていて、そのままでは継続使用できなくなるので、JR駅の多機能券売機またはみどりの窓口で大人用へ変更手続きをします。
購入方法(新規・進級時の購入)
事前にネットで入力する方法もありますが、Suicaの場合、最終的にはみどりの窓口に行かなければなりません。
こんな感じで、ネットde定期を使っても結局はみどりの窓口には行かなければいけないので、せいぜい手書きする手間が省けるくらいのメリットしかありません。
まあとはいえ、最近はみどりの窓口の閉鎖が相次いでいるため長蛇の列の可能性が高いので、少しでも時間短縮したければ事前入力しておくメリットはあると思います。
PASMOの場合は、事業者によっては券売機で購入することもできるようです。
東京メトロの例を挙げましたが、他の事業者でも対応しているところは似たような感じでできるようです。
購入方法(継続)
継続購入の場合は駅の券売機を使って購入することができるので、わざわざみどりの窓口のある駅へ行かずとも購入することができます。
継続したいSuicaカードを持って駅に行き、手順に従って券売機を操作すればOKです。詳しい手順は次のサイトにあるのでご確認ください。
継続購入のチェックポイントは次の通りです。
- 更新日の14日前から継続購入が可能
- 同一年度内であれば、期限が切れた定期券でも通学証明書なしで購入が可能
(新規購入扱いとなるが、前回の記録情報を使って購入が可能) - 年度をまたぐ場合、有効期限が4/30以前となる定期券しか継続購入できない
(例えば3月に3ヶ月定期券を購入する場合等は、通学証明書の提出が必要)
このほか、細かな条件等については各事業者のサイトを参照してください。
その他 気になるポイント
何ヶ月定期を購入すべきか
6ヶ月・3ヶ月・1ヶ月から選びますが、夏休みがあることもあり6ヶ月を買うのは無駄になるのではと悩む人も多いのではないでしょうか。
私立中高だと7月上旬に期末テストがあり、その後はほとんど登校日がないまま夏休みに突入することになるので、入学式の日から3ヶ月でちょうど休みに入るイメージになります。そのため、4月には3ヶ月定期券を買っておき、9月に改めて定期を買い直すというのも一定の合理性がありそうです。
実は我が家は昨年そういう判断をし3ヶ月定期を購入しました。そしてその結果、、、
7月に即6ヶ月定期券を継続する
という結果に相成りました。要するに6ヶ月定期券を買っておけばよかったということです。
- 部活や学校の夏期講習などで結局ほぼ毎日学校へ行くことになった
- 計算すると1ヶ月あたり5日以上学校へ行くなら定期券の方が安かった
ということで結論ですが、以下の人を除き6ヶ月定期を買うということでいいと思います。
- 部活に入らない、もしくは入部しても夏休みに出席する見込みがない
- 学校の夏期講習や補習がない(一部の伝統校を除くと大体何らかありそうです)
この両方に当てはまる人のみ、3ヶ月定期が得になるのではと思います。ただそもそも通学定期券は相当な割引率なので、プライベートでも同路線を使う可能性が少しでもあるなら、長期間定期を切らさず持っておいて損はないのではと思います。
JRと私鉄・地下鉄の乗り継ぎ
地元が私鉄沿線で学校がJR駅、地元がJR沿線で学校が地下鉄駅など、必ずしもJR線だけで完結するわけではない人も多いと思います。
その場合でも、別々に定期券を購入することなく連絡定期券を購入することができます。
ただし、以下のケースでは購入できないのでご注意。
- Suica:発駅・着駅ともにJR線でない場合(私鉄→地下鉄など)
- PASMO:乗車駅がPASMO定期券発売業者でない場合
PASMOの場合は乗車駅に縛りがあるので、額面通りに受け取ればJR→私鉄のような買い方はできないことになりますが、その場合でも乗車駅と降車駅を入れ替えれば(私鉄→JRにすれば)買えるので、実質的にはSuicaと同様に、乗車駅・降車駅のどちらかがPASMO事業者であることが条件になると考えられます。
まとめ
Suica(PASMO)通学定期券の購入方法は次の3種類です。
- モバイルSuica/PASMO→スマホアプリから購入
- カード型Suica/PASMO→窓口での購入
- 磁気定期券(従来型)→窓口での購入
ただしいずれにしても通学証明書の確認手順が必要なので、通勤定期券よりはひと手間かかるというのが通学定期券となります。
モバイルSuica/PASMOの購入申込は2日前までになっていたり、窓口も混雑が予想されるので、いずれにしてもギリギリではなく余裕を持った購入を検討しておいた方が良いでしょう。
通学定期券購入の参考になればと思います。
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