気付けば過去問の時期に入っていますね。
以下の記事にも多数アクセスいただいているので、いよいよ本格的に過去問に着手されている方も多いのだと推察します。
ちょっと時期が遅くなってしまいましたが、昨年の我が家が過去問をどういうスケジュール感でやったのかを簡単にまとめます。別にこれを推奨するわけでも何でもないですが、個人的にはこのやり方を取ったことで、結果論ですが塾に依存しない方法を見つけた(ある意味で中学受験をハックした)とも思えるので、ひとつの例として考えてもらえればと思います。
前提のはなし
開始時期
予習シリーズ上期のカリキュラムが終了したあと夏休みからのスタートで考えていました。当初は7月中にも少しできるかなと考えましたが、夏休み開始とともに夏期講習もスタートしてしまったため見送ることとし、夏期講習の前半が終了したあとのお盆休み期間にスタート、ということになりました。
第一志望の考え方
我が家では第一志望、第二志望という考え方は捨てました。また絶対に御三家というような、特定の学校へのこだわりも排除しました。ある程度偏差値に幅を持たせた中から親の方で行かせたい学校リストを作って、その中のどこかへ引っ掛かればいいというのが基本的な考え方です。そして過去問はその考えに従って進めていくことになります。
親の方はそれで良いですが、子供のモチベーションという意味では目標となる学校は必要なので、そちらは別途設定しています。(具体的には渋幕、聖光学院、海城の3校でした)
入試1年前に1回分は解いた
入試の1年前となる5年生2月(厳密にはカリキュラム空き期間の1月末)に1度、海城の過去問を解いています。これは、そもそも入試問題がどんなものかを知っておくのと、1年後にはこのレベル感の問題を解けるようにならないといけないんだという意識付けの意味で実施しています。年度は前年分の入試問題を使いました。
ちなみに下の記事で以前書きましたが、1年前のことなど子供は全く覚えておらず過去問を消費してしまうという心配は無用なので、1年前に志望校の過去問を1つ解いておくというのはお勧めできると思います。
具体的なスケジュール
スケジュールのイメージ
さて実際のスケジュールのイメージですが、前述の通り第一志望、第二志望という考え方は持っていないので、当然ですが第一志望を10年分、併願校を3年分とかいう考え方でもありません。
志望校群の中で、難易度の低い学校から徐々に階段を登っていき、到達できるところまでいこう、というのが基本的な考え方です。難易度というのは問題の難易度ではなくあくまで合格最低点を超えられる難易度、ということなので、要するに学校偏差値がこれにあたります。図にするとこんな感じです。(こんな綺麗に行くかよと思いますがあくまでイメージで)

夏の段階でもある程度勝負になりそうな学校から過去問をスタートし、ひとつずつクリアして難易度を上げていくイメージです。階段1段の高さや最終到達点は結果を見ながら都度調整でいいと思っています。また、最初の1段目をどの学校にするか(どの辺りが適正か)というのは、まあやってみないとわからないという感じではありますが、我が家の実績から考えると持ち偏差値マイナス10〜15あたりなら行けそうな感じはします。全然歯が立たないなら時間がもったいないのでもう1段下げる、もしくは一旦過去問は中止するという判断も必要かと思います。
具体的スケジュール
我が家の場合は、たまたま6月に営業を受け相談に乗ってもらった個別指導のトーマスから、現時点でも高輪か世田谷学園から始めたらどうかと提案を受けたので、世田谷学園からスタートして様子を見ることにしました。(トーマスは契約しなかったので申し訳なさついでに書くと、トーマスメインで進める場合は過去問中心ということなので、ここに書くものと似た進め方をしているのではと想像します)
また、9月からは色々な塾で学校別模試も始まるので、それをマイルストーンとして設定し、過去問演習もそれに合わせてスケジュールしていくことにしました。先ほどのイメージ図に具体的な学校名を入れると次の感じです。

おそらく塾に通っていると6年下期の土日はオプション講座などで忙しく、独自に過去問をスケジュールするような時間は取れないと思います。その意味では、塾なしだからこそできたスケジュールかもしれません。決して過去問だけをやっていた訳ではありませんが、6年下期の予習シリーズには全く手をつけず、1/3を過去問、1/3をテスト(週テスト、模試、模試過去問等)、1/3をその他問題集という感じで時間配分し、問題集の代わりとして過去問を使っていったのでそれなりの数を消化できたんだと思います。
あとは上の学校名を見てもらえばわかりますが、問題傾向が大きく離れていない学校が多いというのはポイントかもしれません。例えば麻布や武蔵などがこれに混ざるとちょっとしんどくなるので、もしもそちらの志望度が高ければ受験校全体のラインナップを変更し、記述主体の学校で揃えることにしたと思います。
実施状況
実際に進めた様子は過去ブログを中心に紹介します。
見返してみると、上のイメージともちょっと違う進め方だったようで、初回が世田谷ではなく都市大付属だったというのはまあご愛嬌としても、8月中は、計画を立てるために色んな学校を試してみたというのが実際のようでした。以下、月ごとに見てみます。
8月:距離感の把握
都市大をスタートに各校1回分ずつ実施しました。ブログ記事にはしませんでしたが、実は芝のあと早稲田もやっています(撃沈しました)。
どの程度いけるものか様子を見ながら、学校による出題傾向や問題難易度の違いなども把握していきました。
このときの記録によると、結果は
都市大(○)
世田谷(◎)
本郷(×)
芝(◎)
早稲田(×)
という感じです。
必ずしも偏差値通りの結果でないというのは面白いですが、そんなことよりもこの時点で進学したい学校で合格最低点を超えられたというのは精神的に大きな支えになりました。また、自分も一緒にやって合格への距離感もある程度把握できたことで、下期のやり方に多少失敗しても何とかなるだろうと思え、自信を持ってチャレンジングな計画を立てることができた気がします。
9月:距離を詰める
8月末から9月で、丸一日取れる日を中心に本格的に過去問演習を始めました。
最初の結果で世田谷が良かったので自信を持てたこと、また9月にジーニアスの芝オープンが控えていたことの2点から、若干背伸びだとは感じながらも本郷と芝の過去問演習に着手しました。
このときの状況はこんな感じです。
結果はともかくとして、ここまでいくつかの過去問をやって感じたのは、合格最低点の取りやすさと偏差値はやはり比例するんだなというところでした。決して問題自体の難易度が比例するわけではなく、問題が難しくても合格点が低くてクリアしやすいとか、できたと思っても合格点が高くてなかなか越えるのが大変というケースもありました。芝の記事でも書いていましたが、同じ学校でも偏差値の高い第2回は合格点が高くハードルも高いというのも実感として感じました。
ついでに芝オープンの記事についてもリンクしておきます。
これは非常にためになる模試でした。結果も良かったので自信にもなりました。告知期間が短くすぐに埋まってしまうのですが、芝が志望校にあるなら受けて損はないと思います。海城とか、他の学校もやってほしいですがね。
10月:計画変更
当初の予定では、10月は海城をやるつもりでした。
ただ、過去問演習を詰め込んだおかげで息子がやや過去問に飽きていたことから、少し計画を見直すことにしました。それともう一つ、本当に渋幕を受けるのか、距離感を測るために10月1日にやった過去問からちょっと考えたことがありました。
結論から言うと、10月はまとまった過去問演習は中断して、コベツバWebを中心に算数強化月間にすることにしました。細かいことを言えば、国語は8月から毎日ずっと過去問をやっているし(大問1つずつというかたちでバラして毎日実施)、他の教科もバラして平日に実施したりしているので別にゼロではないですが、今月は海城!とテーマを決めて実施するのはやめました。
大きな理由は、何となくの目標に設定していた渋幕受験が現実的になってきたから、というのがあります。この段階までは、本当に渋幕を受けるのかは決めておらず、千葉受験は市川との両睨みで考えていました。そして上の記事の通り、過去問をやってみてチャレンジする腹づもりができたため、学校別模試を含め11月は渋幕月間にすることを決めました。
ってこれなら最初の予定通りなので、計画通り海城から渋幕でいいのでは?というところですが、渋幕をやって感じたことがあります。それが算数の完成度不足でした。15点や20点の得点力のまま過去問演習を繰り返したところで効果はたかが知れています。
過去問でももちろん演習にはなりますが、分野や出題のされ方にどうしても偏りが出てしまうので、その学校に寄せていくという点では良いですが、総合力を上げるという観点では不安も感じます。ということで、渋幕で戦える算数力を目指し、上述のような算数強化に舵を切ったというかたちです。
11月:渋幕月間
11月は、3日の学校別サピックスオープン模試から始まり23日のNN渋幕模試まで、その間を渋幕の過去問で埋めるようなイメージで、渋幕特化の1ヶ月でした。その結果がこんな感じです。
- 学校別サピックスオープン-渋谷幕張(2021.11.3)
- 学校別サピックスオープン渋幕 結果(2021.11.6)
- NN入試本番体験講座 渋谷幕張(2021.11.23)
- NN入試本番体験講座 渋谷幕張 – 結果(2021.11.25)
- 過去問登頂記 – 渋谷幕張(2021.11.25)
10月時点では手も足も出なかった渋幕に対し、算数強化と過去問演習を重ねた結果、勝ち越しまでいくことができました。模試に関してはどちらも不合格判定でしたが、かなりギリギリのところまで詰めてきた感触です。模試の結果が物語る通り、やはり渋幕受験生は息子から見たら格上の母集団だと思います。ただ、過去問演習によって学校に寄せていくというのはこういうことなんだと、身をもって理解できたのがこの1ヶ月だったと思っています。
12月:受験校確定に向け
12月は、10月にやれなかった海城を軸に置きつつ、受験スケジュールを決定するためにいくつかの学校の過去問も解きました。
海城の記事を書いていなかったようなのでざっくり結果だけ書くと、
9勝1敗
というのが結果でした。海城に関しては10月くらいから科目をバラしてやっていたりして、その合計ではほとんど合格最低点を超えていたのであまり心配はしていませんでした。ただ、仕上げのつもりで冬休みにやった直近年度2回分の結果が芳しくなく、1回は唯一の敗戦、もう1回も合格最低点プラス3点とギリギリだったことで、かなり焦ったのが記憶として残っています。この辺りの心境はこちらで書いていました。
それ以外、志望校確定のために実施したのは以下の2校です。
どちらも塾の模試に近いような問題形式で、イメージ的にはサピックス勢が強いのかなというのを感じました。聖光に関しては、ギリギリのところでチャレンジするには渋幕と傾向が違いすぎるのを感じ、共倒れになる危険性を回避するため渋幕に絞ることにしました。栄東はA日程受験は決定しているため別に特待入試にこだわる必要もなかったのですが、入試日程的に余裕があるので対策せずにチャレンジするならいいだろうという判断で、本人の意向もあってこちらは受験することにしました。
1月:直前期
直前期は過去問と解き直しがメインですね。1点悩みどころは、何回分の過去問を残しておくかというところでしょう。結局我が家では、栄東・渋幕・海城について、それぞれ最近年度の2回分を残しておき直前期に実施しました。まあでも以前やった問題も結構覚えていなかったりするので、別にまっさらな過去問を残していなくても問題なかったかもしれません。
それ以外は一度解いた過去問を繰り返し実施しています。直前期の過去問についてはこちらに書いているので参考まで。
まとめ
以上が、我が家でやった過去問演習のイメージと実施状況でした。ざっくり全体感としてはスケジュールイメージに書いたような流れを描きながら、途中で様子を見ながら順番を入れ替えたり必要な要素を入れ込んだりしています。
塾通いしていたらそもそも同じことをやるのは難しいでしょうし、ハードルは高いと感じられるかもしれませんが、まとめとして考え方のポイントだけ挙げます。
考え方のポイント
個人的にはこれが最重要だと思っています。大まかな方向性はもちろんあると思いますが、この中のどこかに着地してくれれば御の字、というおおらかな親の姿勢が必要です。そもそも過去問の取り組みだけに限らず、中学受験に対する心構えとして大事なことだと私は思っています。
上のポイントとも被りますが、第一志望・第二志望や併願校という考え方だと、どうしても第一志望を優先したスケジュール作りとなり、そのレベルへ到達しないことに対する不安が増大します。これは受験後にも悪影響があり、併願校へ妥協して進学するイメージを持ったり、第一志望へ合格したことに変な優越感を持ってしまったりということが考えられます。
これに対し、ひとつひとつ志望校の階段を登っていくイメージを持つと、安心感や達成感を味わいながら進めることができ精神的に安定します。実際に渦中にいればそんな穏やかに進められることなど決してなかったですが、それでもある程度冷静に物事を見られたのはこのアプローチのおかげだったと考えています。
これには、”監督ではなく伴走者になる”、”受験に積極的に関わる”、という2つの意味があります。
1つめは、上司と部下、監督と選手のような上下関係を作るのではなく、選手である子供と一緒に走ることで、一緒に壁にぶつかっては悩み、一緒に乗り越えていく姿勢でいくということです。先に書いた過去問取り組みでもそうですが、構想した通りにいかないことも多々出てくるものなので、その都度考えながら試行錯誤して、自分たちなりの最適解を見つけていけば良いのではと思います。
幼少時から含めて感じたことですが、子育ては関わるほどに楽しくなる性質のものだと思います。特に中学受験に関しては親の関わり方が子供に大きく影響を与えることができる最後のチャンスでもあり、父親目線では戦略を立て実行し検証していくという戦略ゲーム的な側面もあるので、楽しみながら参加してみてはと思います。
最後に
色々書きたいことが出てきて長文になってしまいました。
我が家が塾なし(厳密には週テストを受けていますが)で中学受験を乗り切ったというと驚かれることも多いのですが、そのカラクリの一端でも見ていただけたかと思います。ざっくりいえば、6年上期までは(通信でも何でも)何らかのかたちで塾カリキュラムは必要、6年下期は別になくてもいい、というのがいまの個人的見解です。
記事にするのが遅くなってしまったので今年の6年生に間に合ったかわかりませんが、どこかひとつでも参考にできるポイントがあればと思います。
長文にお付き合いいただきありがとうございました。
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